学研HDときずなHDの合弁会社「学研ファミーユ」について
1.学研HDとの合弁会社
2022年8月10日、きずなHDと学研HDが合弁会社を設立するという開示があった。
この開示の内容は以下の3点。
① 学研HDがきずなHDの普通株式69,000株(発行済株式総数の2.00%)を取得する
② 学研HDときずなHDは業務提携を行う。具体的には、学研HDの運営する高齢者向け住宅やグループホームの入居者にきずなHDの葬儀を紹介する。また学研HDがきずなHDの店舗開発に関する助言や支援を行う。
③ 学研グループである学研ココファンときずなHDが合弁会社「学研ファミーユ」を設立し、葬儀ホールを展開して葬儀業を行う。
なかなかインパクトのある開示だと思ったが、株価はあまり反応しなかった。Yahoo掲示板の書き込みも少なく、Twitterでもほとんど話題にもなっていなかった。
関心が薄く興味を持たれない話だと思いながらも、自分のためにまとめの記事を書いてみる。
2.学研HDとの業務連携の意味
私の世代で学研といえば「科学と学習」という小学生向け学習雑誌のことを思い出す。「学研のおばちゃん」と呼ばれた販売員が小学校に売りに来る月間の付録つき雑誌なんだけど、2010年には既に廃刊になってる。きっと若い人たちは知らない。
「科学と学習」を知らなくても、学研といえば教育出版や学習塾のイメージが強いだろう。しかし、学研の売上構成のうち教育分野が占める割合は49%と半分弱だ。
学研HDの売上占有率において、高齢者向け住宅やグループホーム、在宅介護サービスなどの医療福祉分野は41%と、教育分野とほぼ同等の規模に達している。
学研HDの子会社である「メディカル・ケア・サービス」と「学研ココファン」が、34都道府県に500棟、総定員17,188室のグループホームやサービス付き高齢者向け住宅を展開している。
今回の提携で、この500棟、17,188室の入居者が亡くなった時に、きずなHDの葬儀を紹介されることになるわけだ。
更に学研HDは2030年9月までに、国内で運営する介護施設数を現在の2倍である1,000拠点に増やす計画がある。
そのために、まず23年9月までにサービス付き高齢者住宅を65拠点、グループホームを31拠点増やす事になっている。
やはり大手は拠点の増え方が違う。増えた分の入居者もまた、きずなHDの葬儀を利用する事になる。
学研HD、介護施設1000拠点に倍増 IT化で大手先行: 日本経済新聞
また、「学研HDはきずなHDの葬儀ホールの店舗開発にも助言や支援を行う」ともある。
葬儀ホールの出店は地元住民の反対に合う事があるらしい。いわゆる「NIMBY(not in my backyard)」というやつだ。
これまでもきずなHDは計画通りにホールを出店している。学研HDによる店舗開発の支援が得られるという事は、今後の出店計画の確実性も増すと考えて良いだろう。
そして学研HDがきずなHDの株式を2%取得した。
この事実は上記の業務連携が行われることの裏打ちになると考えている。株主なのだから企業の業績が伸びてほしいと考えるのは当然だし、そのための協力も行う事になる訳だ。
3.合弁会社「学研ファミーユ」の計画
学研ココファンと設立する「学研ファミーユ」は葬儀サービスを提供する。
10年後の2032年を目処に100店舗体制を目指す予定だ。
最初に展開するのは神奈川県。神奈川県は学研ココファンの施設が87拠点存在するが、きずなHDの葬儀ホールは1施設しか存在しない。両社にとって出店に都合の良いエリアだ。
10年間で100店舗、ということは単純計算で年間10店舗出店することになる。
この出店スピードに合わせた数のスタッフが確保できるかは少し不安がある。当然きずなHDからも学研ココファンからも出向してくるのだと考える。
しかし学研ココファンは大企業だ。ココファンの子会社も含め、従業員数は6,000名を超える。それだけ社員がいるのなら、葬儀業でやってみたいと考える方も多少いるんじゃないかと期待している。
きずなHDの方も「ファミーユ」という自分たちのブランドを使用するからには中途半端な事はしないだろう。自らのノウハウを学研ファミーユにきちんと伝える事が期待される。
4.学研ファミーユのきずなHDへの業績貢献
学研ファミーユの出資比率は、学研ココファンが51%、きずなHDが49%だ。つまり学研ファミーユの利益の約半分がきずなHDに追加されることになる。
きずなHDは2030年までに全部で300ホールを出店する計画でいる。そこに学研ファミーユの100ホールが追加される事になる(利益の取り分は半分だけど)。
単純計算で年間10店舗出店する事になるが、初年度から10店舗出店することは考えにくい。
また、ホールを立ち上げてすぐに利益が出るわけではない。これまでのきずなHDの新規ホールのように出店年度内に単月黒字は可能かもしれないが、完全に軌道に乗るまでは2年間ほどかかるだろう。
だから本格的に学研ファミーユの出店が業績に寄与するのは、2025年度くらいになるのではないかと考えている。
かなり気の長い話になるのだけど、死亡者数が増えるのは間違いなく起こる未来だ。
そんな未来をきずなHDの株主として迎えたいと思ってる。
5.まとめ
・きずなHDは学研HDと提携した
・学研HDはきずなHDの株式を2%取得した
・きずなHDは学研HDから顧客紹介と新店舗出店の支援を受ける事になる
・合弁会社として「学研ファミーユ」が設立される
・学研ファミーユは10年間で100店舗の葬儀ホールを出店する
・きずなHDの葬儀ホール空白地帯である神奈川県から学研ファミーユの出店が始まる
・2025年度くらいから本格的に利益の貢献があるのではないかと考えてる
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マンガもいろいろ。
インベスターZ、ダンジョン飯、異世界おじさんなどの定番もありますが、今回個人的に紹介したいのは「海が走るエンドロール」。
65歳で夫と死別した婆さんが主人公。数十年ぶりに映画館に行って「映画を撮りたい」という欲望を抱いてしまう話。
魂は歳を取らない。
まあ、私個人の願望ですが。