中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

ファブリカを買った訳⑨・・U-CARソリューションの競合について

機械のメンテナンスをする人のイラスト

1.Symphonyの機能について

U-CARソリューショングループが提供しているSaaSは「Symphony」という。

中古車販売業者向けの業務支援ソフトなのだが、ファブリカが自社のオートサービス事業で使用するソフトでもある。元々自社で使用していた業務支援ソフトを外部に売り出し始めたのがU-CARソリューション事業の起源だ。

 

中古車販売業者の業務は、中古車を仕入れて、整備し、販売する事だ。

Symphonyの機能はそれらをほぼ網羅している。

 

具体的な機能は以下の通り。

・車検証についているQRコード、あるいは車体番号だけで車体の自動登録が完了。

・車両に関するあらゆるデータを一元管理

・自社の在庫、売上、粗利等の経営管理

・販売スタッフの商談件数、日報の管理、営業成績の把握

・AIによって自動的に販売価格が提案される「プラシングサジェスト機能」あり

・「車選びドットコム」というサイトに半自動で出稿可能

Yahoo!オークションに半自動で出品可能

・顧客一元管理可能。メールやDMもテンプレートで送付可能

・契約書、委任状、譲渡証等の書類が自動作成

・オリコ、プレミアグループ、イオンプロダクトファイナンスなどのオートローン取次

・車体保証やタイヤパンク保証の付帯も可能

・ASネットという中古車流通サービスとの連携

・中古車販売の業界動向、小売り動向レポート提供

・サイト構築支援、Youtube作成支援

 

中古車販売業者の業務を一通り抑えているように思える。

 

 

2.Symphonyの競合は

「中古車販売業 支援ソフト」という単語で検索してみると、競合と考えられるソフトがいくつか見つかる。

株式会社JCMの「JOCAR」、日本カーネット株式会社の「DREAMPOWER」、ディーアイシーJapanの「スマート」シリーズ、Soft plannerの「GATCH」などが出てくる。

それ以外にも、EBE整備システム、Tomo'sシステム、ブロードリーフ、ベースシステムといった企業が中古車販売業務支援ソフトを販売している。

 

それぞれを細かく見ていくとキリがないので止めておく。

多数の競合ソフトがあるが、「車選びドットコム」や「Yahoo!オークション」等のネット販売のチャネルと連携しているものは3つしかなかった。

「Symphony」以外は「JOCAR」と「DREAMPOWER」だけのようだ。

 

 

このまでの事実を押さえた上でIRに聞いてみた。

「競合はどこだと考えてますか?」「競合との差別化ポイントは?」「営業活動でバッティングしたケースはどのくらいあるの?」「他社に乗り換えられた事はある?乗り換えてもらったことはある?」といった質問をぶつけてみた。

 

 

3.IRはかく語りき

競合はやはり「JOCAR」。しかしJOCARは機能が充実している分だけ利用料が高い。だから中規模以上の販売店での導入が多い。Symphonyはどちらかというと中小の販売店向けのソフト。中小の中古車販売業者はシステム未導入が多い。社長や社員がつくったエクセルのシートで在庫管理をしているような所が多くて、競合が発生するケースは多くない。乗り換えられた事も乗り換えられた事もあるけど、件数としては少ない。あんまり詳しいことは社外秘なので教えられない。

 

IRから聞いたことをまとめると上記のようになる。

事前の想定と大きく外れない回答だった。

 

地方には板金屋に毛が生えたような中古車販売業者は結構多い。

中古車販売業者は全国に3万社あり、おそらくそのほとんどが中小企業だ。ファブリカはそんな中小の販売業者のうち3,441社を顧客としている。

伸びしろはまだまだあると考えて間違いないだろう。

 

 

4.U-CARソリューションのKPI

つい先日、ファブリカのKPIが決算に先立って発表された。

導入企業数は+116社の3,441社だった。YoYは+15.2%と過去と比較してそれほど良くなかった。それでも安定して伸びているのは間違いない。

SMSの方のKPIも普通だったけど、株価はストップ高をつけてた。まあ株価のことはよくわからないのでここでは言及しない。

 

U-CARソリューション事業は、今後営業拠点を増加させて利用企業を増加させる予定とのこと。

ファブリカは2030年までに、現在の3,441社から10,000社まで増やすという目標を立てている。現在の15%成長が続くと仮定すると8年後は10,526社になるわけだから、それほど無謀な数字でもないと考える。

いずれにしても、今後の利用拡大と利益率向上を期待したい。

 

 

5.ファブリカについてはこれで終了

「○年後の収益は○○億円、利益はこのくらいなので株価はこのくらいになりそう」という話は今回やりません。

マーケットも実体経済も見通しが不透明になってきて、株価が今後どのように評価されるのか全く分からないからです。

あと、なんかめんどくさくなった。

 

 

次回は、きずなHDの決算分析について書きます。

以前発表された中経の分析と、自分なりに数値分析を行った記事の答え合わせですね。

きずなHDの新中計④・・私の予想 - 中1の息子に教える株式投資の始め方

 

 

ビル・ゲイツが書いた地球温暖化と温室ガス排出についての本。

今ならKindleで半額で読めます。私も買いました。

 

ビル・ゲイツ新型コロナウイルスが出現する数年前から新型感染症パンデミックのリスクについて繰り返し警告していた。データ分析や危機予測、危機管理について特殊な能力があるんじゃないかとすら個人的に思ってる。感情的な本、トンデモ本である可能性は極めて低い。読んでおいて損はないと。