中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

レアメタルとニッケルと銅・・・中国のが世界の資源を握りつつある話

金山のイラスト

銅についていろいろ調べていたら面白い話が出て来たのでブログ記事にしてみました。

ちょっと忙しいのでClaudeさんにデータを読み込ませて、私のブログの文体に合わせて書いてもらいました。

私が手を入れたのは100文字にも満たないです。
Claudeさんは優秀ですね。

 

1.レアメタルだけじゃなかった

2024年12月3日、世界のハイテク産業に激震が走った。

 

中国政府が、ガリウム・ゲルマニウム・アンチモンの対米輸出を事実上禁止すると発表したのだ。前日に米国が打ち出した対中半導体輸出規制の強化への報復措置だった。

 

「ガリウム?ゲルマニウム?」と思った方も多いだろう。馴染みのない名前だが、これらは現代の産業を支える重要な素材だ。ガリウムはスマートフォンや電気自動車に欠かせない半導体(LED・パワー半導体)の原料であり、ゲルマニウムは光ファイバーや赤外線センサーに使われる。アンチモンは弾薬や夜視スコープなど軍事技術にも転用される。

 

そしてこれらの素材を、世界は圧倒的に中国に依存している。EUの調査によると、ガリウムの世界生産量の94%、ゲルマニウムの90%、アンチモンの56%が中国産だ。中国が「蛇口を閉める」と言えば、世界中の半導体メーカー・自動車メーカー・軍需産業が影響を受ける。

 

翌2025年4月には、さらに強力な一手が打たれた。サマリウム・テルビウム・ジスプロシウムなど7種の中・重レアアースの輸出規制だ。これらはEVモーターや風力発電機の磁石に不可欠な素材で、中国が事実上の独占生産を続けてきた。規制の発動で欧州の自動車工場が一時的に生産停止に追い込まれるなど、その影響はすぐに現実のものとなった。

 

この一連の出来事は、中国が「資源の支配」を外交・安全保障の武器として使い始めたことを世界に示した。中国紙はこれを「対抗措置の始まりに過ぎない」と報じた。

 

ガリウムやレアアースだけではない。実は今、もっと身近で大量に使われている金属——「銅」——でも、まったく同じ構図が静かに、しかし着実に進行している。

それが今回の話だ。

 

2.銅ってそんなに重要?

突然だが、銅はすごく重要な金属だ。

電線・モーター・太陽光パネル・EV(電気自動車)・データセンター。現代のインフラのほぼ全部に銅が入っている。IEA(国際エネルギー機関)の試算では、2040年までに今の1.8倍の銅が必要になるという。

 

ところが今、銅の世界では静かに、しかし非常に深刻な問題が進行している。

それが「TC/RC問題」だ。

聞き慣れない言葉だと思うので、順番に説明していく。

 

3.銅ができるまでの流れ

銅は鉱山から掘り出した鉱石をそのまま使えるわけではない。大まかにいうとこういう流れになっている。

 

鉱山で鉱石を掘る → 精鉱(concentrate)に濃縮する → 製錬所で溶かして粗銅にする → 電解精製で純度99.99%の電気銅にする → 市場へ

 

このうち「製錬所で溶かす」と「電解精製する」の工程を担うのが製錬会社(スメルターとも呼ぶ)だ。

鉱山会社は精鉱を製錬会社に渡して「加工してもらう」立場にある。当然、加工してもらうにはお金がかかる。

その加工料が TC/RC だ。

 

4.TC/RCとは何か

TCはTreatment Charge(精鉱処理料)、RCはRefining Charge(精製加工料)の略だ。

具体的には、

・TC:精鉱1トンを処理するのにいくら払うか(単位:ドル/トン

・RC:精製後の銅1ポンド当たりいくら払うか(単位:セント/ポンド

という形で表示される。

ちなみに業界慣例として「RCの数字はTCの10分の1」になっている。TC = 80ドルならRC = 8セント、といった具合だ。なので実質的にどちらも同じ動きをする。「TC/RC」とスラッシュで繋いで一緒に表記するのはそのためだ。

 

TC/RCは毎年秋、主要な鉱山会社と中国の大手製錬会社が交渉してその年の「ベンチマーク(基準値)」を決める。それが業界全体の目安になる仕組みだ。

 

5.TC/RCは需給のバランスで決まる

ここが重要なポイントだ。

TC/RCは「精鉱の需給バランス」で決まる。

 

ちょっと考えてみてほしい。

もし世の中に精鉱が余りまくっていたら、製錬会社は強気に交渉できる。「うちで処理してあげますよ、でも加工料はそれなりにもらいますよ」となる。TC/RCは上がる。

逆に精鉱が足りなくて製錬会社が奪い合いをしていたら、鉱山会社が強気になる。「うちの精鉱、他にも買いたいところはいくらでもいるよ」となる。TC/RCは下がる。

つまり TC/RC が高い = 精鉱が余っている、TC/RC が低い = 精鉱が足りない、ということだ。

この指標は「精鉱市場の需給を映す鏡」とも言われる。

 

6.そのTC/RCが今、ゼロになっている

2024年のベンチマークは80ドル/トンだった。これは比較的高い水準で、業界は安定していた。

ところが翌2025年は21.25ドル/トンへと急落する。

そして2026年。ついに0ドル/トンで合意された。史上初のゼロだ。

しかもスポット市場(その場その場の取引)では、マイナス60ドル/トンという状況になっている。

 

「マイナス」というのはどういうことか。

普通は鉱山会社が製錬会社に加工料を払う。ところが今は逆で、製錬会社が「精鉱を持ってきてくれるなら、こちらがお金を払います」という状態になっているのだ。

パン屋さんで例えると、小麦粉(精鉱)が足りなくてどこのパン屋(製錬会社)も困っていて、農家(鉱山会社)に「小麦粉を売ってくれるなら、加工賃は要らないし、むしろこちらからお金を払います」と言っている状況に近い。

完全に需給が逆転している。

 

.7なぜそうなったのか

理由は大きく二つある。

理由①:中国が製錬所を作りすぎた

2005年以降の20年間で、世界の新しい製錬能力の90%以上を中国が担った。中国の世界シェアは15%から50%超へと拡大している。

 

製錬所はいわゆる「装置産業」だ。工場を建てるのに莫大な設備投資がかかり、一度動かし始めたら稼働を止めると固定費(人件費・電気代・設備維持費など)が垂れ流しになる。だから「赤字でも止めるよりは動かした方がマシ」という判断が働きやすい。

 

中国の製錬所の多くは国有企業か国家の後押しを受けた企業だ。補助金付きの安い電気、政策金融からの低利融資、国家戦略としての拡大路線。こういった条件の下で採算度外視で能力を積み上げてきた。

 

その結果、世界全体で「精鉱の処理能力」が「精鉱の供給量」を大幅に上回る状態になってしまった。

 

理由②:精鉱の供給が予想以上に伸びなかった

銅の鉱石は掘れば掘るほど品位(含有率)が下がる。1991年以降、平均的な鉱石の銅含有率は40%低下している。同じ量を掘っても取れる精鉱が減っているのだ。

 

加えて2023年末、パナマのコブレ・パナマ鉱山が環境問題をめぐる抗議活動と最高裁判決で閉山に追い込まれた。年間35万トンを生産していた大型鉱山が突如消えた。

その後もインドネシアのグラスベルグ鉱山やアフリカのカモア=カクラ鉱山で大規模な操業障害が発生し、精鉱の供給はさらに絞られた。

まとめると、「処理できる能力(製錬所)が増えた」のに「処理すべき材料(精鉱)が足りない」という状況が重なって、TC/RCがゼロ・マイナスになった。

 

8.困っているのは「中国以外の製錬会社」だ

TC/RCがゼロになって最も困っているのは、中国以外のカスタムスメルター(自社鉱山を持たず、外部から精鉱を買い付けて処理する製錬会社)だ。

現実として閉鎖・縮小が相次いでいる。

・フィリピン:Glencoreの PASAR製錬所 → 操業停止(2025年)

・ナミビア:Tsumeb製錬所 → 操業停止(2025年6月)

・オーストラリア:Glencoreの Mount Isa製錬所 → 政府救済でかろうじて存続

・日本:三菱マテリアル → 2035年までに一次製錬を30〜40%削減

 

日本・韓国・スペインの政府と業界団体は2025年10月に異例の共同声明を出し、TC/RCの崩壊を「持続不可能だ」と国際社会に訴えた。

 

これだけ深刻になると「これって市場の失敗じゃないの?」「中国が意図的にやっているんじゃないの?」という疑念が出てくる。

IEA(国際エネルギー機関)はこれを「国家安全保障リスク」として公式に問題提起している。陰謀論ではなく、西側の主要機関が正式に懸念を表明している話だ。

 

 

9.ニッケルで先に起きたこと

「中国資本による供給過剰が市場を支配する」という現象は、銅の前にニッケルで既に起きている。

ニッケルはなぜ重要なのか

ニッケルは私たちの身近なところにある。100円玉と50円玉は銅とニッケルの合金だ。キッチンのシンクや鍋に使われているステンレス鋼にもニッケルが入っている。

 

しかしニッケルの重要性が跳ね上がったのは電気自動車(EV)の普及だ。テスラをはじめとするEVの多くが搭載するリチウムイオン電池(NMC電池)には、エネルギー密度を高めるためにニッケルが大量に使われる。EVが1台あたり30〜50kgのニッケルを消費するとも言われ、世界中でEVが普及すればニッケル需要は急増する計算になる。

 

軍事技術においても欠かせない素材だ。ジェットエンジンのタービンブレードやガスタービン、潜水艦の耐圧船体、ミサイルの誘導システムなどにはニッケル合金(超合金)が使われる。熱に強く腐食しにくいという特性が、過酷な環境で動く兵器には不可欠なのだ。米国防総省の報告では、主要な兵器システムの78%に何らかのクリティカルミネラルが使われており、海軍の艦艇に至っては92%に達するという。ニッケルはその代表格の一つだ。

 

インドネシアと中国がどうニッケル市場を制圧したか

2015年頃、インドネシアのニッケル世界シェアは2%に過ぎなかった。ところが2025年には60%超になっている。わずか10年で30倍だ。

 

何があったのか。

中国の青山(Tsingshan)ホールディングという会社がある。世界最大のステンレス鋼メーカーだ。この会社が2013年、習近平国家主席立会いのもとでインドネシアのモロワリ島に工業団地を建設する協定に署名した。これは中国の「21世紀海上シルクロード」構想の一環だ。

インドネシアには世界埋蔵量の42%に相当するニッケル鉱石がある。ただ品位が低くて加工が難しいとされていた。HPAL(高圧酸浸出)という技術を使えば電池用ニッケルにまで精製できるのだが、西側企業がオーストラリアやパプアニューギニアで何度も挑戦しては費用超過・技術的失敗を繰り返していた。

 

青山はそのHPALを2021年にインドネシアで商業化することに成功した。中国開発銀行からの融資(初期だけで12億ドル超)を背景に、港湾・石炭火力発電所・物流を全部まとめた「工業都市」を建設し、低品位ニッケル鉱石から電池用ニッケルが大量生産できる体制を整えた。

 

その結果、ニッケル価格は2022年のピーク(1トン3万3000ドル超)から2025年には1万4000ドル前後へと半値以下に暴落した。

高コストのオーストラリアの鉱山は採算が取れなくなり、2022年に8鉱山が稼働していたのが2025年末には2鉱山だけになった。BHP・Anglo American・First Quantumなど錚々たる大手が相次いで撤退した。カナダやニューカレドニアでも同様の閉山ラッシュが起きた。

 

しかも表面上は「インドネシア産」に見えるニッケルの多くが、実態は中国資本に支配されている。C4ADS(米国の安全保障系シンクタンク)が所有構造を第2層まで追跡したところ、インドネシアの精製能力の75%超を中国企業・株主が実質的に支配していることが判明した。青山とJiangsu Delongという2社だけで70%超を握っている。しかもその支配構造は複数国に設立した法人を重ねることで見えにくくされている。西側のEVメーカーや電池メーカーが「インドネシア産のクリーンなニッケル」として調達しているつもりでも、実際には中国管理下の供給網に依存しているケースが多いのだ。

 

「安くなった」裏側の環境破壊

インドネシアのニッケルが安い理由の一つに、環境コストを大幅に省いていることがある。

まずエネルギーだ。工業団地内の製錬設備のほとんどが石炭火力発電所で動いている。カナダのように水力発電を使っている施設と比べると、ニッケル1トン当たりのCO2排出量が4〜5倍にもなる。「EV普及で地球を救おう」というスローガンのもとで作られるEV電池の材料が、実は大量のCO2を出して製造されているという皮肉な状況だ。

 

次に廃液の問題だ。HPAL処理では大量の硫酸を使うため、処理後に重金属を含む酸性廃液が大量に出る。インドネシアでは「DSTP(深海廃棄)」という方法、つまり廃液を海底に流し込む処理が一部で行われており、環境団体から強い批判を受けている。周辺の漁業や生態系への影響も深刻だという報告がある。

 

要するに、インドネシアのニッケルが安い背景には「環境基準が低い」という競争優位がある。西側の製錬会社が厳しい環境規制を守って高いコストをかけているのに対し、そのコストを省いた生産者が安値で市場を荒らしているという構図だ。真面目に環境対応をしている企業が採算割れに追い込まれ、環境負荷の高い生産が市場を支配するというのは、制度上の問題でもある。

 

IEAはこのニッケルのパターンが銅でも繰り返されようとしていると警告している。

 

10.西側諸国はどう対応しているのか

銅の話に戻る。

 

各国も手をこまねいているわけではない。

米国はSection 232という法律に基づいて銅輸入への関税(最大30%)を検討している。また国内初のリサイクル製錬所を新設し、スクラップ銅の処理に力を入れ始めた。

EUはクリティカル原材料法(CRMA)で2030年までに域内の精製比率40%という目標を設定した。

チリ・ペルーなどの産出国では、精鉱のまま輸出するのをやめて国内で製錬してから輸出しようという動きが出始めている。

 

ただし現実は厳しい。

Wood Mackenzie(資源系の著名なコンサルティング会社)は「中国の銅サプライチェーン支配の完全な代替は不可能」と言い切っている。

製錬所を新設しようにも建設コストは10〜30億ドルかかり、建設期間も3〜5年かかる。そしてエネルギーコストは欧州では中国の約3倍だ。今の北米・欧州には新規一次製錬所の建設計画がゼロという状況だ。

「代替」は無理でも「分散」ならできる、というのが現実的な落としどころだろう。中国以外の産出国での製錬化、友好国間での協調投資、リサイクルの拡大。そういった地道な取り組みが積み重なれば、依存度は少しずつ下げられる。

 

 

11.まとめ

長くなったのでまとめる。

・銅の精錬工程には「TC/RC」という加工料の仕組みがある

・TC/RCは精鉱の需給バランスで決まり、今は史上初のゼロ・マイナスになっている

・原因は中国による製錬能力の急拡大と、精鉱供給の伸び悩みが重なったこと

・中国外のカスタムスメルターは次々に閉鎖・縮小しており、日韓スペインが国際的に問題提起している

・ニッケル市場では既に「中国資本の供給過剰 → 価格崩壊 → 西側撤退 → 中国支配確立」というパターンが完成している

・銅でも同じことが起きようとしており、IEAはこれを安全保障リスクとして警告している

・西側各国は関税・補助・規制で対抗しようとしているが、完全な代替は不可能で「依存度を下げる」のが現実的な目標だ

 

「エネルギー転換」というと太陽光パネルや風力発電ばかり注目されるが、それを支える銅という金属の精製工程を誰が握るかという問題は、実は同じくらい重要だ。

銅の精錬料金がゼロになったというニュースは、そのことを改めて教えてくれている。

 

 

【主なデータ】

2024年TC/RCベンチマーク:$80/t / 2025年:$21.25/t / 2026年:$0/t(史上初)

スポットTC/RC(2025年末):マイナス$60/t超

中国の銅精錬世界シェア:約50%(2005年の15%から急拡大)

インドネシアのニッケル世界シェア:60%超(2015年の2%から急拡大)

中国のインドネシア精製能力実質支配率:75%超(C4ADS調査)

参考:IEA・Wood Mackenzie・CRU Group・Fastmarkets・Benchmark Mineral Intelligence・MMTA・C4ADS等の公開情報

チャージスポット利用者数の分母としてのテーマパーク入場者数

1.インフォリッチの業績と人流

2024年5月14日、INFORICHの2024年1Qの決算が発表された。

それまでずっと右肩上がりだった売上がQoQで▲9%と減少していた。

営業利益はQoQで▲64%と減少した。

 

この決算発表を受けて翌日の株価は、前日終値の3,990円から3,370円まで下落した。率にして▲15.5%の下落。私のPFもかなり傷んだ。

 

「成長企業がQoQで売上減少」というのは大変イメージが悪い。SNS掲示板にも成長鈍化懸念を訴える書き込みが多くみられた。

その反応は企業側も想定していたようで、決算説明会資料にもQoQでの売上減少の理由についての説明があった。

 

 

「冬は寒くて出歩く人が少ないからバッテリーレンタル数が減る」

「完全な季節性であり当初から想定していた」

要約すればこんなところだろう。

 

しかしそれだけでは投資家は納得しない。

「前年度の1Qはその前の4Qと比べてそこまで減少していない。季節性の一言で片付けるには無理がある」

 

上のグラフの通り2022年4Qから2023年1Qは▲4.3%だ。

今回は▲9.1%なので、あきらかに減少率が大きい。

 

 

それに対しての会社側の回答は、

「新型コロナ感染症の影響が薄れたから」

2024年5月15日に開催された湘南投資勉強会でそう回答されている。

 

質疑応答書き起こしにその詳細がある。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/9338/tdnet/2444568/00.pdf

 

 

納得できる回答だとは思ったが、株価は回復しなかった。

私自身、納得は出来たが裏取りが欲しいとも思った。

 

というわけで、今回は人流データとチャージスポットの国内レンタル数について考えたことを書きます。

 

 

2.誰がチャージスポットを借りるのか?

BtoCのビジネスについて考えるとき、利用者を具体的にイメージすることは大切だ。

INFORICHのビジネスのコアは国内のバッテリーレンタルだ。誰がチャージスポットを利用するかという問いは重要だ。

 

だれが借りるのか?

「都会に住んでいる人」「若い人」「小さなバッグしか持ち歩きたくない人」「すぐ充電を切らしてしまううっかりさん」

いろいろなイメージが浮かぶと思う。

しかし都会に住む若いうっかりさんも、自宅に引きこもっていれば利用することはない。チャージスポットを利用する人は外出する人だ。

 

会社側が決算説明会資料で使用している「人流データ」は、KDDIから提供されたものだ。auスマホユーザーが街を歩けば基地局が電波を拾う。それを分析すると、いつどのくらいの人がどこを動いたかのデータが取れる訳だ。

スマホのGPS情報を利⽤した商圏分析・位置情報分析ツール KDDI Location Analyzer

 

会社側の説明の裏取りをするためには人流データも押さえたいところだが、KDDIにお願いすると240万円請求されてしまう。ちょっとその金額は個人には厳しい。

 

なにか代わりになるデータはないかと色々探していた。

鉄道各社の乗客数なんてどうだろう?と考えたりもしてみたがあんまりしっくり来るデータが見つからない。

 

そんな中でIR Agentsさんの取材ノートのこんな記事が目に止まった。

9338 INFORICH 1Q後取材 20240521 - IR Agents (Media Site)

 

 

「弊社の業績への季節性はテーマパーク業界や飲食業界と類似している」

 

これだ!と思った。

外出するにしても、自宅と会社を往復するだけなら充電は切れない。会社で充電すれば自宅までバッテリーは持つ。一方、旅行に行ったり休日に買い物に行ったりなど、普段と違う行動でこそスマホの充電は切れる。チャージスポットは利用されることになる。

 

チャージスポットを利用する人数の分母として、テーマパーク入場者数は使えそうだ。

毎日のようにテーマパークへ行く人はほとんどいないだろう。テーマパークは「普段と違う行動」の象徴のようなものだ。

ありがたいことに、テーマパーク入場者数は経済産業省が月ごとに統計を取ってくれている。

調査の結果|特定サービス産業動態統計調査(METI/経済産業省)

 

このテーマパーク入場者数を人流データとして利用すれば、会社側の説明の裏取りができる。また将来のバッテリーレンタルの普及についてもヒントが得られるのではないか。

そう思って調査を開始した。

 

 

3.新型コロナ感染症以前からのテーマパーク入場者数の推移

これが経済産業省統計のテーマパーク入場者数月次グラフだ。

 

 

まず通年のデータが出ている2023年の推移について。

少ないのは1月と2月と6月だ。

1月2月は寒い。6月は梅雨がある。祝日が少ない月という事もあるのだろう。

 

多いのは3月と8月。10月から12月も多い。

3月8月12月は春休み夏休み冬休みだろう。幼稚園児から大学生までが長期休暇に入る。小さい子供を連れて家族全員がテーマパークに出かけるのも容易に想像が付く。

秋は気候もいいし、ハロウィンだのクリスマスだのカウントダウンイベントなどがある11月12月もテーマパークにとっては書き入れ時だ。祝日も多い。

 

年ごとに見ると2000年の春の極端な減少が目に付く。理由は間違いなく新型コロナ感染症の流行だ。そもそも開園すらしていないテーマパークもあったのだから。

その後季節性のリズムを繰り返しながらゆっくりと回復していき、2023年と2024年のラインはほぼ重なるところまで来ている。

 

 

このデータをインフォリッチの四半期に合わせてみるとこうなる。

レンタル数の月次は発表されていないので、四半期毎に分析するしかない。

コロナ禍が落ち着いた2023年以降は、ほぼ1Q=2Qであることが読み取れる。

 

 

コロナ禍からの流れを理解しやすいように1本のラインに書き換えるとこうなる。

 

2020年1Qのボトムから2023年にかけて少しずつ入場者数が増加している事がよく分かる。

 

まとめると、

「テーマパーク入場者数=人流」と仮定した場合

・コロナ禍からの人流の回復は2023年1Qまでかかっている

・逆に言えばコロナ禍からの回復という追い風は2023年で消失した

・人流は1Q=2Q<3Q<4Qで推移する。

という事が言えそうだ。

 

「1Qの売上が減少したのは季節性のため人流が減ったから」

「去年よりQoQでの減少率が高いのはコロナ禍からの回復というボーナスステージが終了したから」

という会社側の説明の裏取りは取れたと考えてよいだろう。

 

次にテーマパーク入場者数とチャージスポットの月間レンタル数を見ていく。

 

 

4.チャージスポットレンタル数とテーマパーク入場者数

国内のチャージスポットの月間レンタル数は開示されている。

それをグラフにしたのがこれだ。

レンタル数が順調に伸びていることが分かる。

 

しかしこの期間はずっと「コロナ禍からの人流の回復」という追い風があった期間でもある。順調に増えているのは分母である人流が増えているだけじゃないのか?バッテリーレンタルを利用するという習慣が普及しているのではなく、単に「都会に住んでいる若くてうっかりな人」がよく外出するようになっただけではないのか?

そんな疑問も出るかもしれない。

 

それなら分母を合わせればいい。

月間レンタル数をテーマパーク入場者数で割れば、人流増加という要素を除いた利用数の増加が確認できる。

 

そのグラフがこれだ。

 

人流増加の影響を除いても、月間レンタル数は伸びている。

とても順調に伸びていると思う。

 

 

5.まとめ

ここまでの話を7月に思いついた。

その考えに基づいて統計資料を見ながら2024年2Qのレンタル数を自分なりに予想していた。

2Qのチャージスポット月間レンタル数は167万回/月だと予想した。

実際は176万回/月と予想を超えていた。

 

INFORICHの事業のコアは「日本国内でどれほどバッテリーレンタルの習慣が普及するか」に尽きる。シェア82.8%のほぼほぼ独占企業なのだから、バッテリーレンタルの習慣さえ根付けばそれがそのまま売上につながる。

 

今のところ普及は順調だと考えてよいだろう。

 

 

上記のグラフの通り、3Q以降は間違いなく人流が増える。

2023年の場合、2Qを100とすると、3Qは122、4Qは134まで人流が増えている。

分母となる人流が+22%、+34%と増えるのだから、先行きを不安視する必要はないと思っている。

 

もちろん現在までの傾向が未来にまで続くという保証はない。

また、私はINFORICHの株をかなりたくさん持っている。

このブログ記事は完全なるポジショントークです。

 

 

最近あんまり本を読んでいませんが、その中でもこれは本当にお勧めできます。

まあ既に読まれている方は多いと思いますが・・

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2023年を振り返る④・・課題が残る投資

肩車をする龍の家族のイラスト(辰年)

1.課題が残る投資とは何か

今回の記事のタイトルは「うまく行かなかった投資」の予定だったが、「課題が残る投資」に変更した。

 

「うまく行かなかった投資」は「お金が減った投資」というわけではない。

500円で買った株を700円で売ればお金は増えるが、その後3,000円まで値上がりした場合は「上手く行った投資」とはならないだろう。むしろ早売りしてしまった事を反省すべき投資だ。

大底で買って天井で売れたとしても100株しか買ってなければ、やはり反省すべき投資になるんじゃないだろうか。

 

それなら底値でフルレバで買い天井で利確する投資以外はすべて「上手く行かなかった投資」になるかと言うと、もちろん違う。

 

いろいろ考えた結果「期待値に背いて行った投資」が一番反省すべきだと考えた。

期待値を出そうとせずに雰囲気で行った取引、期待値を出しながらそれに背いた取引、間違った前提で期待値を計算した取引などが「期待値に背いて行った投資」になるんじゃないかと。

 

そんなことを考えて「課題が残る投資」というふうにタイトルを変えた。

ポエム吐きだから言葉にはうるさいんです。

 

 

2.IPS

IPSの株を初めて購入したのは2019年の3月。その頃から比べると株価もずいぶん上がっている。しかし値動きが激しくて大きなロットでずっと持っているのはキツい企業だ。そんな訳でPFの5%程度に抑えてHOLDしている。

 

チャートを見ると2023年はずっと右肩下がり。決算を発表するたびにガクンと株価が下がっている。しかしフィリピン国内の海底ケーブルの工事は進んでいる。開通したら売上も利益も急増するのは間違いない。

自分なりに計算して「2023年は株価が2,000円を切ったら買い増しする」と決めていた。取引ノートにもそう記入していた。

 

しかし実際に買い増ししたのは11月6日、株価は2,620円だった。

直後の2Q決算で発表されたメディカル事業の下方修正もあり、株価はその後大きく下げた。

2,000円という購入金額を決めていたのに、メディカル事業が苦戦しているのはある程度予想していたのに、ほぼ天井で買い増ししてしまった。

 

やはりフィリピンで熱帯の風に吹かれて気分が高揚していたとしか思えない。

フィリピンと東京を何回か往復できる程度にはお金が減った。

取引はクールにやりたい。気分が高揚してもいい事なんてひとつもない。

 

年末ギリギリになって海底ケーブル開通のお知らせがあった。

今年は頼みます。私の失敗をこっそりと帳消しにしてください。

 

 

3.ファブリカコミュニケーションズ

ファブリカを買ったのは2021年の年末から2022年の2月の頭にかけて。

買った理由は2年前のブログにも長々と書いているので、興味があるかたは読んでみてください。9回に渡って書いてます。長いです。

 

ファブリカは業績が予想しやすい企業だ。

自分なりに計算して2025年度のPLまで作成した。

2024年の純利が1,066百万、PER24倍で評価すると時価総額255億円。株価にすると4,990円になると計算した。

リスクと時間を割り引いて、目標価格を4,000円と設定した。

ありがたいことに株価は4,300円まで上昇した。

 

チャートの青い矢印が売却した所だ。4,000円前後にも矢印はあるが、そこで売却したのは全体の30%程度だった。

「もっと上がるかもしれない」と欲を出して70%は持ち続けてしまった。

事前のシナリオは完全に実現した。それなのに欲を出したせいで大きく利益を逸した。

 

もう売るべきだと判断した後もなかなか切れなかった。

2023年の年末まで持ち続けたものは損切りで終わった。NISA口座に入っていた事も結果としてマイナスに働いてしまった。

 

あと、コロナの影響の算定も失敗した。

2月14日の2Qは、SMSの配信数がまだ患者数に比例して乗っていると考えていた。

しかし実際は全数把握の方針が見直されていた。自治体はSMSを配信する必要がなくなっていた。

 

妊婦さんは「重症化リスクの高い人」に当てはまる。

私は産婦人科医なので、2022年9月以降も患者数を全て自治体に報告していた。それもあって全数把握の方針転換に気付かなかった。その結果2月14日の決算で被弾した。

 

産婦人科医じゃなくて泌尿器科医だったら気付いてた。

あんまりだ。

 


4.疲れたのでやめます

去年最大の爆損だったアライドアーキテクツの事も書く予定だったけどやめます。

ここまで書いただけでメンタルに来て疲れた。元気になったらまた書くかも知れないです。

 

でも損した話が好きな人のためにチャートだけ載せておきます。

読者サービスです。

 


こうやって全体を振り返ると失敗の内容が浅い。

本当につまらない失敗をしてお金を減らしている。

 

去年の終わりにこんなTweetをしている。

 

 

四分の三の確率で黒が出ると判断した。それでもなんとなく雰囲気で赤にベッドしてしまった。その結果黒が出てお金を失った。正しく行動出来なかった上にお金まで失ってしまった。

 

これが去年の行動だ。自分の愚かさを自覚させられた上にお金まで失った訳だ。

救いようがないほどツラい。

 

 

おまけ

新年一発目に読んだ漫画「新しいきみへ」

とても面白かった。

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いわゆるタイムリープものなんだけど。
第一話で主人公である冴えない高校教師が美人の妻を持ちながら同僚の美人体育教師に好かれており、さらに旅先でJKに迫られるという無駄にモテる「なろう小説」的なオープニング。こういうのは現実離れしすぎて感情移入できないんだよな、と思いながらも読み進めていくとどんどんハマっていく。

タイムリープものと言えば「シュタインズ・ゲート」だけど「新しいきみへ」も同じくらい良かった。誰からも理解されない孤独なタイムリーパーが何度も失敗しながらも立ち向かう姿、おっさんはこういうのに弱い。

6冊で完結しているのも潔くてよいです。

 

いま確認したら2巻分がwebで読めるようになってた。

[第1話] 新しいきみへ - 三都慎司 | となりのヤングジャンプ

この機会にぜひ。

2023年を振り返る③・・上手くいった投資

肩車をするウサギの家族のイラスト(卯年)

1.2023年の総括

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

2023年の年初来パフォは+55.81%だった。運と地合いとご縁に恵まれて数年ぶりの上昇幅だったのだけど、Twitterのタイムラインでは全然目立たないレベルでもあった。

 

これはどう考えてもTwitterの人たちが悪い。異常者どもめ。

 

まあそれはともかく、いつも通り2017年のはじめを100とした年足を載せておく。

ありがたいことに年初来からほとんどマイナスに転落することなく過ごせた。2023年の下ヒゲはとても短い。

おかげでストレスの少ない、心穏やかな投資生活を過ごすことができた。

 

2023年はよい一年だった。

ここからは印象的な取引を見ていく。

 

 

2.INFORICH

2023年はINFORICHの年だった。

6月のはじめに初めて購入した。でも本当にモバイルバッテリーのレンタルが普及するのか確信が持てず、最初ははPFの3%を切る程度のポジションだった。

 

7月の半ば以降にPFの17%まで大きく買い増しした。

その理由は以前のブログに書いた通り。思い直して買い増しした一番のポイントは「ほぼ独占企業」だということ。

 

その頃にこんなTweetをしている。

 

独占ほど競争的優位性があるビジネスは存在しない。

 

 

上のチャートの赤い矢印が購入した場所。青い矢印が売却した場所。

11月の終わりに3割ほど利確した。でもまだまだPFの1位を保っている。今年値崩れしたらけっこう酷い目に合うことは間違いないんだけど、まだまだ売れない。

 

あと、INFORICHを買うためにパッとしない株(モビルスなど)をすべて売却出来た事もパフォーマンスに寄与した。

 

 

2.アズーム

INFORICHが入るまでずっとPFの1位だった大恩ある企業。

10月頃まで堅調に値を伸ばしていたが、その後30%近くドローダウンした。このあたりが長期投資の難しいところ。確信がないと不安になる。

 

私に不安はそれほどなかったが不愉快ではあった。

だからこそ買い増しした。企業業績は伸び続けているのだから。

その後株価は持ち直してきた。来年もよろしく頼みたい。

 

 

3.きずなHD

2月頃から月次の葬儀単価が回復してきて、それに伴い株価も目覚めてきた。

人間は必ず死ぬ、人口構成的に死者数は必ず増加する、店舗が増えれば件数は必ず増える。あとは単価だけ。

私のなかでは地味だが一番確実な投資先だと思ってる。

 

これからCOVID19による超過死亡数の揺り戻しがあるから件数は減る可能性十分あるけど、数年スパンの大きな流れだけを見て10月の下落時に少し買い増しした。

 

買い増しした頃にYahoo掲示板にこんな事が書かれてた。

 

 

Yahoo掲示板はけっこう楽しくて好き。

 

 

4.木村工機

木村工機は2月の中旬から買い始めた。

COVID19や猛暑の影響で空調の需要が増えている。受注残が積み上がっている。しかし建築に必要な半導体不足があって受注がこなせない。

半導体不足解消によるボトルネック消失、それによる売上増加を期待して購入した。

 

4月14日に上昇修正があって株価がポンッと上がった。理由は「価格改定、調達の見直し、工程の改良等による利益率向上」だった。

 

5月12日に4Q発表があった。

利益率は上がってるし、受注も好調、受注残も高止まりしたままだった。ただ来期予想がショボかったため株価は下がった。

ありがたく買い増しした。

 

10月以降は株価が軟調になった。11月10日の2Q決算の数字も上々で一瞬ストップ高になった。その後だらだら下がってきたのでまた追加した。

 

 

現在も株価はヨコヨコ。

しかしPER 6.6倍。まだまだ上を狙えると思っているんだけど、どうなるか。

 

 

5.次回予告

上手くいった話はこのくらいで。

上記4つのチャートをみると天井っぽい気もするんだけど、私はチャートなんて読めないから気にしない。来年また振り返って確認する。

 

次回は上手く行かなかった話を書く予定です。

そちらのほうが皆さん好きですよね?

 

 

「残酷すぎる人間法則」

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去年一年で読んだ本で一番おもしろかった。

離婚率、うつ病の発症率、平均寿命を指標とした人間関係の研究から導かれる事実について書かれている。

「孤独は寿命を縮める」「義務や責任がない人間ほど不幸になりがち」「離婚のストレスは刑務所以上」「こんな口論は離婚につながる」など、なかなか興味深い。

自信を持っておすすめできます。



 

 

 

 

2023年を振り返る②・・セルシス(アートスパークHD)への投資について(後編)

ダルマを抱えたウサギのイラスト(卯年)

1.DC3事業への10億円投資は予見できたか

UI/UX事業の売却のニュースが発表されたのは2023年2月10日だ。

それと同時にDC3事業への10億円の開発投資を行う計画も発表された。

営業利益14億円の企業が新規事業に10億円投資する訳だから、当然株価は地に落ちた。

 

私も株を売った。セルシスへの2回目の投資は損切りで終わった。

 

これは事前に気付けなかったのだろうか?

人間はいきなり突飛な行動をする訳では無い。例えば突然ブチ切れてしまう人も、その人なりにブチ切れる理由があるからブチ切れる。他人から見ると理解不能かもしれないがその人の中ではその人なりの理由があるし、ブチ切れるまでの過程があるはずだ。

 

営利14億円の企業が新規事業に10億円の投資をするという突飛な行動も突然決まった訳では無いはずだ。ホルダーにとっては理解不能でも経営者側には投資を決める理由や過程があるはずだ。

だから過去を遡って予兆を探してみることにした。

それでお金が返ってくる訳ではないが、今後につながることはあるかもしれない。

 

 

2.DC3の発表会のニュース

そもそもDC3とは何か?

セルシスのサイトをみるとこのように説明してある。

「DC3は、あらゆるデジタルデータを唯一無二の「モノ」として扱うことが出来るようにする、WEB3基盤ソリューションです。」

 

 

DC3は「NFT等の流通プラットフォーム」という理解でいいだろう。たぶん。

 

セルシスが「株式会社&DC3」という子会社を立ち上げてDC3のサービスを提供すると発表したのは2022年12月7日だ。

このニュースを確認したときの感想は「自分の書いたイラストをNFTにして売ることができれば作家にとってはありがたいのかな」という程度だった。つまりほぼスルーしていた。

 

その後もセルシスのサイトは定期的に巡回していたが、DC3のニュース記事に関しては開く事もなかった。大勢には影響しない些事だと判断していたからだ。

 

サービスローンチの翌日である2022年12月8日に「DC3の発表会を開催しました」というニュースが出ていたが、内容を読むことすらしなかった。

 

DC3の発表会ってどんな事を発表したんだろう?

損切りの後ではあるが調べてみた。するとこんな記事がみつかった。

 

あらゆるデジタルデータを唯一無二の “モノ” として取り扱うことができる新ソリューション「DC3」発表会を開催 -令和の白ギャルゆうちゃみさんとITジャーナリスト三上洋さん - ZDNET Japan

 

 

その内容の一部が書き起こされていた。

 

 

ここに出てくる「ゆうちゃみさん」とは「古川優奈」というモデルさんらしい。

令和の白ギャルとも称される「egg」の元専属モデルだ。

 

NFTやDC3と関係がありそうな人物には見えない。この人を新規事業の発表会に呼ぶ理由がわからない。だけどお金がかかっていることはわかる。

 

 

3.マイナビITmedia、News Picks、日経ビジネス

また、セルシスのサイトには「マイナビ様にDC3についての記事を掲載いただきました」というニュースが貼られていた。

 

DC3の解説記事だが、多くのイラストを入れて読みやすくなってる。

 

そして記事の最上段には「PR」の文字が。

プロモーション記事じゃん。

 

 

「ITmedlia 様にDC3についての記事を掲載いただきました」というニュースも貼られていた。

 


こちらもプロモーション記事だ。

 

他にも、NewsPicksや日経ビジネスにもプロモーション記事を出している。

 

ここまで調べて思った。

これは電通の仕事だな、お金かけてるな、と。

 

 

4.プラットフォームビジネスは立ち上げが大変

色々調べてみたが、DC3が何なのかをはっきりと理解することはできなかった。しかしNFT周辺の流通プラットフォームビジネスだという事は間違いないだろう。

 

プラットフォームビジネスとは、商品やサービスの提供者と利用者をつなぐ場所(プラットフォーム)を提供するビジネスだ。具体例としてはメルカリが一番理解しやすいだろう。

プラットフォームは使う人が大勢いなければ意味がない。メルカリの参加者が少数であれば「売りたくても買ってくれる人がいない、買いたくても商品がない」という状態になる。使う人が大勢になれば「あそこに行けば何でも売れる、何でも買える」という状態になる。そうなればますます参加者が増える。いわゆるネットワーク効果だ。

参加者の数と質こそがそのプラットフォームの価値になる。

 

しかしどんなプラットフォームも最初は参加者が少ない。参加者を増やしプラットフォームを価値を上げるために、多くの広告宣伝費をかける必要がある。あるいは人件費をかけて泥臭い営業を続けなければならない。

 

セルシスもDC3というプラットフォームビジネスを本気で立ち上げるのならば、広告宣伝費をはじめとする多額の投資が必要になる。

2022年12月のDC3事業発表直後にあったいかにもお金をかけて行った発表会、複数のメディアに出したプロモーション記事。このあたりを見て「プラットフォームビジネス立ち上げに必要な多額の投資資金」の匂いを嗅ぎ取ることができれば、もしかするとこの損失は回避できたかもしれない。

しかし私は匂いを嗅ぎ取る以前に、ニュースの内容のチェックすらしていなかった。事実を認識していないのに雰囲気を嗅ぎ取ることなどできる訳がない。

 

 

5.元カノ投資法の失敗

最初にセルシスへの投資は2回目だと書いた。

一度売却した企業を買いなおす事を個人的に「元カノ投資法」と呼んでいる。

 

株を買うときはその企業についてかなりの時間をかけて調査する。売却した後もフォローを続けている。よく知った企業の株を買うのは調査の時間が少なくて済む。

 

過去に付き合ったことのある企業ならよく理解している。ビジネスも、社風も、経営者も、株価の動きのクセもわかってる。過去に付き合ったことのある元カノと同じだ。

それは今後付き合いを続けていく上で役に立つはずだ。

よく知っていることは安全性が高いという事だ。この考え方は間違っていない。

 

しかし油断していた。

よく知っているとタカをくくっていた彼女はこっそりと別の事を始めていた。丁寧に見ていれば気付いたはずの予兆は、油断していた彼氏の目には見えなかった。

 

まるでレディースコミックのストーリーのようではないか。

どれだけよく知っていると思っていても油断してはいけない。常に関心を持ち続け、病める時も健やかな時も、相手を知る努力を続けるべきだという事を知った。

 

 

6.おまけと次回予告

という訳でセルシスの反省は終了です。

プラットフォームビジネスの代表としてメルカリの創業本のアフィを貼っておきます。

 

次回は2023年の総括について書きます。

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2023年を振り返る①・・セルシス(アートスパークHD)への投資について(前編)

コンピューターを使うウサギのキャラクター

1.年末と総括

12月も半ばを過ぎた。年末といえば今年の反省だ。

 

ことしの私の株式投資はとても上手くいった。コロナ禍からの復活に加えてアズームの上昇に上手く乗れた2020年以来のパフォなんじゃないかと思う。

まあこれから崩れる可能性は十分あるけど。

 

しかし例年通り投資の失敗例について書く。

成功例より失敗例の方が学びが多いし、失敗から学ぶことだけが失ったお金に意味を持たせ成仏させる方法だからだ。痛みを伴う経験こそ意味がある。

それに毎年の失敗についての記事は評判がいい。特にファンダ系の凄腕投資家の方々には好評をいただいている。そのような日頃お世話になってる凄腕の方々に少しでもお返しできるとすれば、私もとても嬉しい。

 

幸いな事に(?)こんなに上手くいった年でも失敗例には事欠かない。

今回はセルシスへの投資が上手くいかなかった件について書く。

あの頃はまだ「アートスパークHD」という社名だった。

 

 

2.アートスパークHDとの甘い日々

アートスパークHDは「CLIP STUDIO PAINT」というグラフィックペイントソフトを作っている会社だ。「クリスタ」という呼び方の方が通りが良いだろう。漫画やアニメ系のイラスト用お絵かきソフトとして圧倒的なシェアを誇り、日本語以外にも、英語、韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語ポルトガル語タイ語インドネシア語の各言語版があり世界中に展開している。

 

クリスタはもともとパッケージソフトとして売られてた。一度買ったらずっと使える昔ながらのスタイルのソフトだ。

 

2017年11月よりサブスクリプションモデルが提供開始された。

月額数百円で、毎月利用料を支払う方式だ。

 

このサブスクモデルが拡大していく頃、良好な月次も相まって株価は気持ちよく上昇していった。

私がアートスパークHDを初めて知ったとき「これはイラスト界のWindowsだ」と思った。漫画やイラスト系のグラフィックスソフトのシェアが高く、大きな堀があると判断したからだ。

買ったのはかなり上昇した後だったが、それでも十分恩恵があった。

 

 

3.アートスパークHDの足枷

アートスパークHDのクリスタは競争優位性があり、とても魅力的だった。

しかしこの企業は大きな鉄球がついた足枷をはめていた。

足枷の名前はUI/UX事業。自動車の運転席前のグラフィックに関する車載プログラムを作る事業なのだけど、ずっと赤字を垂れ流していた。

 

クリスタをつくっている「クリエイターサポート事業」が14億円、17億円と稼いでいる横で、UI/UX事業の方は8億円、5億円とお金を失っていた。

将来的にUI/UX事業が稼げるようになる希望があるのなら我慢もできるが、私にはその希望は見いだせなかった。

 

UI/IX事業がなければずっといい会社なんだが。

投資家なら誰もがそう考えていたと思う。

 

UI/IX事業の赤字も気になるし、パッケージソフトからサブスクモデルに移行するおいしい部分も終わっていた。私は少しずつ株を売っていった。最終的には優待分を残してすべて売却した。

 

 

3.再び交際を申し込む

しかしアートスパークHDの事はずっと気になっていた。

UI/UX事業がなければすごくいい会社なんだ。そんな投資家の思いを受けたのか、会社はこんな文言を出すようになった。

以下のスクショは2022年度2Qの決算説明会資料だ。

 

 

UI/UX事業の役割及び位置づけの再検討。これは普通に考えると事業売却の事だろう。

売却すれば営業利益が3割増しになる。今後UI/UX事業への無駄な投資もなくなる。

ようやく儲かる本業だけに社内のリソースを注ぐことができる。

 

決算説明会資料にここまでの文言を出すのだから売却は時間の問題だろう。売却のニュースが流れれば株価は2割3割上昇するのは既定路線だ。それなら半年くらい早くても仕込んでおけばいい。お金が増えるのは時間の問題だ。

 

そう思って少しずつ買いなおした。

もう一度アートスパークと甘い時間を過ごすという夢を見るようになっていた。

 

 

4.UI/UX事業の売却のニュース。そして・・

2023年2月10日、4Q決算発表と同時にUI/UX事業の売却が発表された。

 

 

「来たか!」

ホルダーは誰しもがそう思った。UI/UX事業の売却のニュースを見た瞬間、PTSの早押し大会で株を購入した方もいたようだった。

私もニュースを見た瞬間に勝ちを確信していた。

 

 

しかし決算説明会資料には「DC3事業について」というページもあった。

 

「5年後に400億円の売上と300億円の営業利益を目指します」

まじか?今年の営業利益が14憶円だったんだけど??

 

「2023年度はDC3事業に10億円の開発投資を計画しています」

まじか。。今年の営業利益は14億円だったんだけど。。。

 

 

なんでだよ。。なんでそうなるんだよ・・・。

 

 

2月10日の15時ころのYahoo掲示板にその時の雰囲気が残されている。

3コマ漫画のようだ。

 

 

その後の株価もこんな風だった。

 

 

一度は甘い日々を過ごしていたアートスパークHDはセルシスと改名し、再びすり寄って行った私に強烈な肘鉄を食らわせた。

私はその痛みを感じながらただ呆然としていた。

 

 

5.次回予告

そんなわけで2023年の最初の目論見は崩れ去った。

 

防ぎようのない事故だった、と整理するのもよいだろう。

でも後で見ると回避できた可能性もあったような気がしてくる。

 

次回、この失敗の原因と損失回避の可能性について考えたことを書きます。

 

 

最近買った本です。

 

「ごんぎつね」が読めないこどもたち。

「ヤバい」「ウザい」「エモい」という言葉を使うことで人生が詰む。

 

そんな内容の動画のなかで紹介されていたので買ってみました。

動画も面白いので暇なときにでも見てください。

【読解力?】ごんぎつねが読めないこどもたち - YouTube

INFORICHを買ったわけ⑥・・・沖縄の話

琉球舞踊のイラスト

1.競合他社その⑤ 充電GO

「充電GO」もモバイルバッテリーシェアリングサービスのひとつだ。

サービス内容もINFORICHとほぼ同じ。料金は24時間で220円から。


充電GOのサービスを提供しているのはインタラクティブ株式会社だ。スマホバッテリーレンタル以外にも、求人マッチングサービスやデジタルマーケティングなどの事業も行っている。

その本社は沖縄県にあり、バッテリースタンドもほぼ沖縄県だけに存在する。

 

サイトをみると「県内1000箇所」と書いてあるが、「*順次設置予定」とも書いてある。

 

実際はどのくらの数があるのだろうかと調べてみた。

インタラクティブ株式会社が自ら行ってる求人マッチングサービスの自社ページにこんな記載があった。

少なくとも沖縄県内に500ヶ所以上のバッテリースタンドがあるようだ。

 

一方沖縄にあるINFORICHのバッテリースタンド数はどのくらいだろうか。WebサイトのMAPで確認できる。

沖縄本島に287ヶ所、先島諸島に34ヶ所。合計321ヶ所になる。

沖縄県内でのバッテリースタンド数は充電GOの方がチャージスポットより多い。

 

 

そして価格面での攻勢も強い。

もともとの料金は充電GOは24時間220円、チャージスポットは24時間540円だ。

 

それ以上に充電GOはキャンペーンを連発している。

 

 

今年の3月は24時間15円で借りることができた。

5月と6月にも沖縄県民限定ではあるが24時間15円で借りることができた。

7月は1時間15円のキャンペーンをやっていた。

 

そして8月と9月は毎週1回、24時間レンタル無料のクーポンを配っている。

 

なかなかエグい。

沖縄のバッテリースタンドのシェアトップでありながらこれほどまでの攻勢をかけている。沖縄県内の支配を確実なものにするという強い意志を感じる。

 

 

これはさすがにチャージスポットは苦戦しているだろう。

そう考えて沖縄各所のバッテリースタンドの貸出状況を確認してみた。

 

すると、案外そうでもなかった。

どこのスタンドもそこそこ借りられているのだ。

上のスクショはチャージスポットのアプリの地図だ。撮影は9/18の正午。

国際通りにあるセブンイレブンの状況が示されているが、バッテリーの半分は貸出中だ。

国際通りのような観光地以外でも普通に貸し出されてる。チャージスポットがそんなに苦戦している印象はない。

 

 

2.いったいどうして?

沖縄県では充電GOのの方がバッテリースタンドの数も多いし料金も安い。

それでもチャージスポットが利用されているのはどうしてだろう。

 

私の考えた仮説は以下の通り。

沖縄県には毎月60万人以上の旅行者が日本全国から流入している。

この観光客が利用している可能性について検討してみた。

 

令和元年の旅行者の平均滞在日数は3.68日というデータがある。なので平均して73,600人の旅行者が沖縄県に滞在していると計算できる。

73,600人を沖縄県内のチャージスポットのバッテリースタンド数321ヶ所で割ると、1台あたり229人の観光客がいることになる。

旅行中はスマホをよく使うだろう。バッテリー切れのリスクはいつもより大きいし、その悪影響はいつもよりずっと大きい。

229人のうちの3%がチャージスポットを利用すると仮定すると、バッテリースタンド1台あたり7人弱の利用者がいることになる。

 

出発前からチャージスポットを利用している人は旅行中も利用するだろう。

モバイルバッテリーシェアリングが提供する価値は「便利さ」だ。3泊4日の観光旅行だけのために充電GOのアプリをダウンロードする人は少数派だと考える。

 

沖縄旅行中に初めてバッテリー切れを起こした旅行者が、解決策として最初に想起するのがチャージスポットである可能性も高い。近くのコンビニに駆け込み、初めて利用する事で今後の継続利用につながるという事もありそうだ。

 

そうすると、もうこれだけで充分な気がする。沖縄県でのチャージスポットの事業は観光客だけでも充分ペイする可能性があると思う。

 

実際の所はわからない。

ちょっと沖縄県の状況を会社側に聞いてみたいところだ。

 

 

えっ!

9月27日の湘南投資勉強会にINFORICHの秋山社長が登壇されるんですか!

なんてタイムリーな話でしょう!これは正座待機するしかないですね!!

 

 

3.競合他社まとめ

INFORICHはバッテリースタンド設置シェア率82%を占めている。

これはビジネスの立ち上げの段階で思い切った投資を行った結果だ。コロナの逆風の中でも怯むこと無くバッテリースタンドを設置し続けた。

その果実を回収する時期はこれからだ。

 

競合他社にとっては打つ手がない。これから100億円かけてバッテリースタンドを設置したところでようやくINFORICHと対等になるだけだ。

対等になったところで競争が激化する。中国の怪獣充電のように赤字化する可能性も高い。そんなハイリスク・ローリターンの投資は合理的だとは思えない。

 

さらに言えばINFORICHはコンビニや鉄道駅などの「オセロの角」を押さえてしまっている。例えばファミリーマート以外のコンビニにはチャージスポット以外のバッテリースタンドが置けない。そういう排他的な契約を結んでいるからだ。

 

オセロで4つの角を押さえられた後に逆転するのはほぼ無理だ。

 

というわけで、沖縄以外の場所でINFORICHの優位性が切り崩される可能性はほとんどないと考えている。

 

 

 

KINDLEの30%ポイント還元セールやってます。

 

コンサルティング会社サバイバルマニュアル」

買った。まだ読んでる途中だけど面白い。勉強にもなる。こんなふうに仕事をしていると、ぼんやり生きている普通の人とは一緒に行動するのが難しくなるなと思った。

「読むか、残業か?」というキャッチコピーがウケる。

 

村上春樹羊をめぐる冒険

30年以上前、高校生の頃に読んだ。村上春樹の小説のなかでいちばん好き。

私も羊をめぐる冒険に行きたかった。

 

「人生後半の戦略書」

Amazonにおすすめされてしまった。買いませんよこんな本。

でも評判はよさそうですね。