中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

ファブリカを買った訳⑧・・U-CARソリューショングループについて

車の整備のイラスト(車検)

1.U-CARソリューショングループとは

SMSソリューショングループはファブリカの売上構成比55.8%を占める。

 

それに次いで大きいセグメントは「U-CARソリューショングループ」だ。

 

U-CARソリューショングループは、ファブリカの2022年度における売上構成比の19.1%を占める。セグメント利益率は28.2%とSMSソリューショングループとほぼ同等だ。

 

U-CARソリューションとは、中古車販売業務支援のシステムをクラウドで提供している事業だ。

中古車販売業者は中古車を仕入れ、修理し、在庫を管理し、広告やオークションサイトに出稿し、問い合わせに対応し、見積もりを作成し、販売し、契約を結ぶ。これらの業務を管理するソフトをクラウドで提供するのがU-CARソリューショングループだ。

日本国内には3万以上の中古車販売業者が存在している。そのうちの 3,325社にファブリカのシステムは導入されている。

 

今回はU-CARソリューショングループのビジネスについて調べたことを書いてみる。

 

 

2.U-CARソリューショングループの業績

以前にも書いたが、ファブリカの歴史は1992年9月に愛知県春日井市で自動車鈑金塗装業を開いたところから始まる。その祖業が現在のセグメントのひとつであるオートサービスグループだ。

オートサービス事業のため自社で使う業務支援システムを開発し、それをU-CARソリューションとしてリリースしたのが2004年だ。

同じ年に「車選びドットコム」という中古車検索サイトもリリースしている。

 

最近の四半期毎のU-CARソリューショングループの業績は以下の通り。

左軸が売上、右軸がセグメント利益だ。ゆっくりと安定して成長していることがわかる。

U-CARソリューション事業は業務支援ソフトをSaaSで提供している訳だから、重要なKPIは導入社数とチャーンレートになる。

 

導入社数と増加数の推移は以下の通り。

YoYで+17.2~+21.0%のレンジで導入社数は増加している。

増加数が1Qに多いのは、4月の新年度から導入されることが多いのだと予想する。

 

チャーンレートは以下の通り。

 

ここまで見て「地味なSaaSだな」という感想を持った方は多いと思う。一時期流行ったキラキラSaaSと比べると成長率も地味だし対象業界も狭くて地味だ。

全くその感想は正しい。

 

しかし地味でもSaaSだ。導入される企業が増えても原価はほとんど増えないはず。

その証拠にセグメント利益率は、2019年21.8%、2020年26.3%、2021年27.7%、2022年28.3%と地道に上がってきている。これは今後も上がっていく事が予想される。

 

ファブリカのU-CARソリューションは、巨大なマーケットに広告宣伝費をじゃぶじゃぶ投入して華々しく売上成長していくキラキラSaaSではない。

ニッチなマーケットで広告宣伝費をあまりかけず、成長率は地味だがきちんと利益を上げ利益率を伸ばしていく地味SaaSなんだ。

 

「PSRなんて知るか。事業は地道にキャッシュを稼いでナンボじゃ」

そんな声が聞こえてきそうだ。

いかにも愛知県発祥の企業だと思う。

 

 

3.システムの特徴と競合、は次回

U-CARソリューショングループはSMSソリューショングループとくらべて比重が小さいので1回で終わらそうと思っていたが無理だった。

次回は商品であるシステムの特徴と、競合について書く。

 

Googleで「中古車販売業務支援」「中古車整備システム」などと検索すると、そこそこの数のサービスが引っかかってくる。

そのあたりの違いと、ファブリカの立ち位置について書きます。

 

 

Kindle50%offの商品を眺めていてちょっと気になった本を紹介。

「野球と暴力 殴らないで強豪校になるために」

こんなタイトルの本が2020年に発売されている。

高校野球好きの人には申し訳ないが、ちょっとおかしいだろと思った。

 

「まんがで読む、はじめての保護猫」

「ねこはペットショップで買ってくるのではなく、もらってくるもの」

我が家の家訓です。

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ファブリカを買った訳⑦・・SMSの差別化と競合

価格競争のイラスト

 

1.利益率の維持は価格決定力の有無による

「SMS事業は利益率を維持できるか」について、前回は原価の面から考察してみた。

しかし原価がいくら上昇しても唯一無二のサービスならば価格に転嫁できる。絶対に必要なサービスなら多少高くても使い続けるしかないのだかから。

 

しかし同業他社が同じようなサービスを提供しているのであれば無理だ。同じサービスをより安く提供してくれる他社に乗り換えられて終了だ。

 

そういう意味で、利益率の維持については原価の上昇より他社との差別化がより重要な要素になる。差別化ができなくて乗り換えが簡単なら、原価が上昇してもしなくてもいつかは価格競争になって利益率は維持できなくなる。

 

という訳で、今回は他社との差別化について考えてみた。

 

 

2.他社のSMSとの違い

結論から言うと、ファブリカが提供するSMSサービスは競合他社と変わらない。

 

メディア4u.のサイトには「双方向」「長文化」などの機能を前面に押し出しているが、競合他社にも同様なことは可能だ。

 

決算説明会資料を読むと次のような文章が載ってる。

「競合他社様も機能の優劣はございますが、長文化対応にはすでに取り組んでおられます」とある。

SMSサービスはコモディティーだ。差別化は出来ていない。

 

となると、SMS事業は早々にレッドオーシャン化するという事になる。

差別化なきコモディティの行き着く先は価格競争、そして利益率の低下だ。

 

それなのに私はファブリカの株を買った。

価格競争はそれほど激しくならないと考えたからだ。

 

 

3.面倒なシステム導入とストック化

価格競争はそれほど激しくならないと考えた理由は、前々回書いた事と関連する。

 

業務用SMSを導入するためには、まず会社のシステムに繋ぐ必要がある。

必要なタイミングで必要な電話番号を引っ張ってきて、必要なメッセージを載せてSMSを送る。これはちょっと面倒くさい。

YahooやAmazonの2段階認証程度なら楽そうだ。文章は単純な数字の羅列のみだし、アクセスされた時に送付するだけでいい。

しかし家賃の督促や人材派遣会社の業務連絡だとそうはいかないだろう。長い文章で、現在どのような状況か、次にどのような行動を取ればいいかなどを個人に合わせて作文しなくてはいけない。

 

業務用SMSの導入に面倒な作業が必要な場合、他社へのスイッチングはコストになる。

 

こんなブログを読んでる方には想像しにくいかもしれないが、「変更が面倒だから割高なスマホを使い続ける」「調べるのが面倒だから現金しか使わない」「ポイントがほとんど付かないことは知ってるけど新しいカードを作るのが面倒」「5,000円貰えると知ってるけどマイナンバーカードの申請は面倒」といった人は世の中にたくさんいる。

面倒なことをするくらいならお金を余分に払い続けた方がいい。そう考えている人はいくらでもいるんだ。

 

業務用SMSも、本人認証のような単純なもの以外は特にスイッチングコストが高くなるだろう。であれば一度導入されたらそのシステムを使い続ける可能性が高い。

そうだとすれば価格競争は起きない。

 

そのためには、導入されるシステムは複雑で面倒な方がいい。

ファブリカが提供している業務用SMSの用途別構成比はこんな感じだ。

本人認証という単純なものが21%と少なくなっている。国内の業務用SMSは本人認証が40%以上を占めているにも関わらず、だ。

 

導入が面倒なジャンルで新規顧客を開拓し、スイッチングコストを高くさせ、単価を維持する。そんな戦略を取っているように思われる。

 

 

4.他社の案件は奪ってもおいしくない?

業務用SMSの市場は拡大している。それはニーズがあるからだろうが、ニーズを掘り起こしてひとつひとつの企業に導入していくのは結構大変なのだろう。

ファブリカのSMS事業の2022年3月期の売上は3,286百万円。ファブリカのSMSサービスを導入しているのは3,521社。1社あたり93万円/年の売上でしかない。

 

小さな会社の小さな案件をコツコツ拾っていく。そんなに美味しい商売じゃない。

また、おいしくないから他社のSMSサービスを導入している顧客を奪いにはいかない。導入先の企業もスイッチングは面倒だし、低価格を武器に案件を奪ったところで利益率が悪くなるだけだ。それならまっさらの新規顧客を取りに行くほうがいい。どうせ同じかそれ以上の手間がかかるのなら、他社の手垢がついていない案件の方がいい。

 

そんな状況にあるのではないかと考えている。

 

 

5.まとめと雑談

利益率が維持できるかどうかという話はなかなか確たる証拠がないので検証が難しい。私の予想ばかりでイマイチ説得力がないですが勘弁してください。

実際は発表されるKPIや4Q毎の決算をみながら確認していくしかないとも思ってる。

 

① 業務用SMSの市場が拡大するのは本当か?

② ファブリカはシェアを維持できるのか?

③ 利益率は維持できるのか?

SMS事業についての3つの検討は以上で終わりにします。

次からはU-CAR事業について書きます。

 

 

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まだ読んでませんが。

ファブリカを買った訳⑥・・利益率と原価について

■

1.利益率と原価

ファブリカのSMS事業の成長を考える上での3つの検討事項

① 業務用SMSの市場が拡大するのは本当か? 

② ファブリカはシェアを維持できるのか?

③ 利益率は維持できるのか?

 

この、③の利益率について考えてみる。

営業利益は売上から原価と販管費を引けば算出できる。

 

営業利益 = 売上 ー 原価 ー 販管費

上記の式の項目のうち、売上についてはこれまで書いてきた。

だから今回は原価について書く。

 

しかしファブリカはSMS事業だけでなくU-CAR事業やオートサービス事業もやっている。そうなると有報を読んでも利益構造がはっきりと見えてこない。

よって、SMS事業が売上のほとんどを占めているアクリートとAI CROSSの数字を参考にしながら考えていく事にする。

 

 

2.原価の内訳は回線使用料がほとんど

まずアクリートの2021年12月期の決算説明会資料を見てみる。

売上高 2,764百万円のうち、売上原価は1,666百万円、原価率60.3%だ。

この内SMS仕入原価は1,546百万円、売上高の55.9%を占めている。

そして営業利益率は18.0%だ。

2020年12月期もほぼ同様で、原価率60.1%、SMS仕入原価56.1%となっている。

そして営業利益率は19.9%だ。

 

次いでAI CROSSの有報を確認する。

2021年12月期の原価率は63.7%、営業利益率は10.8%。

2020年12月期の原価率は61.3%、営業利益率は10.0%だ。

 

最後にファブリカの決算説明会資料を見てみる。

SMSセグメントの営業利益率は29%前後となっている。

 

そしてSMS事業の宣伝広告費は4%前後で推移している。

セグメント利益率は経費がどのように配分されているか分からないので鵜呑みにはできない。

しかし少なくともSMSの売上のうち、キャリアに支払う回線使用料が50%から60%の間であることは間違いないだろう。比重としてはかなり大きい。

 

ここでひとつ気になることが出てくる。

キャリアはSMSを送信するための回線の仕入先であるが、同時にキャリア直として業務用SMSサービスを行う商売敵でもあるわけだ。

 

商売敵は回線使用料の値上げという切り札を持っている。

回線使用料を値上げすれば下流にあるファブリカ等の業者を干上がらせる事が可能だ。そうなれば成長著しい業務用SMS市場を全て奪うことが出来る。

切り札を持った相手との戦いはちょっと分が悪い気がする。

 

 

3.送信料値上げのリスクは

SMSサービスにおける送信料の割合は高い。これがキャリアによって値上げされれば利益率の維持なんて言っている場合じゃなくなる。ファブリカにとって死活問題となる。

これについては有報の【事業等のリスク】の部分にも記載がある。

 

 

よってSMS送信料の値上げについて調べてみた。

 

これについてはAI CROSSの原田社長が動画でこんな事を言っていた。

SMS配信は公共性の高いサービスなので、急に単価を上げることはない。過去に単価が上がったこともあったが、0.5円、1円程度上げるときも1年前からアナウンスがあった。急激に仕入れ単価が上がるリスクはそれほどないと考えている」

AI CROSS 原田社長 - 知られざる成長×寡占市場のSMSを大解剖 - YouTube

 

 

別の切り口からもうひとつ。

業務用の仕入れ単価は分からないが、個人用のSMS配信料ならわかる。

これはKDDIのサイトにあった一覧表だ。

 

大手3社の料金は、この通りほぼ横並びだ。

 

ここで連想したのが携帯電話の料金だ。

本来価格は市場の自由に任せるのが自由経済のはずだ。しかし携帯電話料金の値下げを政策として国が主導した事は覚えているだろう。共産主義でもないのに国が民間企業のサービスの価格に口を出してくる。

 

同様に鉄道の料金も公共性が高いという理由で、鉄道各社が運賃を自由に決定することが出来ない。鉄道運賃は「上限認可制」という制度が採用されている。

上限認可制という制度は鉄道事業法という法律で定められている。

賛否はおいておくが、これがこの国の姿だ。

https://www.myam.co.jp/market/analyst/upload_pdf/20110401_analyst.pdf

 

これらのことを考えると、原価が急に上昇して利益を圧迫する可能性は小さそうだ。少なくとも数年間で景色が全然変わってしまうような事は起こらないと判断した。

 

 

4.次回予告

唯一無二のサービスなら原価が上がっても価格に転嫁できるよ。原価が上がらなくても価格競争が激しくなれば値下げリスク高くなるし、結局利益減るじゃん。利益率の維持で重要なのは競合との差別化だろ?その企業のサービスを使い続ける理由があるかどうかが問題なんじゃないのか?

 

今回の記事を読んで上記のような感想を持った方も多いと思う。というか、こんな地味な企業を無駄に深掘りして調べてるブログを読むような方はほとんどそう思ったんじゃないだろうか。

という訳で、次回は競合他社との差別化について書きます。

 

 

安宅和人「イシューよりはじめよ」

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「悩むな、考えろ。悩むのは答えが出ない問いに囚われているから。まず答えが出る、かつ問題解決に役立つ問いを設定することに集中しろ。でも「悩むくらいなら手を動かせ」という言葉に引っ張られるな。考えもしないで試行錯誤するのは犬と同じ。」

というような話が書かれています。とても役立つ本です。

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ファブリカを買った訳⑤・・キャリア直は脅威になるか?

鍋から直接ラーメンを食べる人のイラスト

1.キャリア直とは何か

ファブリカやアクリートなどが提供している国内業務用SMSサービスは、ドコモやauなどのキャリアの回線を利用して個人に送られる。

 

上の図はファブリカの決算説明会資料だ。

ファブリカは顧客企業のシステムに接続してクライアント顧客の電話番号を取り出し、ドコモやソフトバンクなどのキャリア回線を利用してSMSを送信している。

業務用SMSの仲介を行っている訳だ。

 

 

一方、ファブリカ等のSMS仲介人を間に挟まず、ドコモやソフトバンクなどのキャリアが直接SMSを配信するのが「キャリア直」だ。

 

これはキャリア直サービスであるKDDIの「Message Cast」の図だ。

 

auユーザーには自社の回線を利用して送信し、それ以外のスマホユーザーには他社の回線を利用して送信する。ファブリカ等の仲介業者は登場してこない。

 

自社の回線を使う分だけコストが少なくて済むので価格競争になれば有利だ。顧客企業がダイレクトにキャリアに結びついてしまえば、ファブリカ等のSMS仲介業者に出る幕はない。この状況が進めばファブリカにとって死活問題となる。

 

というわけでSMS配信サービスにおけるキャリア直の今後について調べてみた。

 

 

2.キャリア直が急増している理由

前回の記事にも載せたグラフだが、キャリア直の市場は2019年より急激に増加している。

 

 

2018年以前はキャリア直の市場がほとんど存在していなかった。それはドコモ等のキャリアが他社のスマホユーザーにSMSを直接送る方法がなかったからだ。

しかし2019年に「法人向け公式アカウントサービス制度」というものが開始された。これによってキャリアが自社以外のスマホユーザーにも直接SMSを送れるようになった。

 

KDDIは「KDDI Message Cast」、ソフトバンクは「SoftBank Message Link」というブランドでそれぞれサービスを展開している。

NTTドコモについては子会社のNTTコムオンラインがその地位を占めているようだ。

 

KDDI新生銀行じぶん銀行での本人認証に、ソフトバンクYahoo!の本人認証に導入されている。

 

・・ん?Yahoo!の本人認証はアクリートがやっていたはずだけど。。。

確認したところ、2021年3月に出たアクリートの有報には「主な販売先」としてYahooがあったが2022年3月の有報では消失していた。どうやらその頃にソフトバンクが自前で2段階認証をやるようになったようだ。

 

前回の記事は嘘を書いてしまった。直しておくか。

 

 

3.キャリア直はコスト的に有利だが無双せず

キャリア直は自前の回線を使うことが出来るのでコスト的に有利だ。その有利な立場を利用してファブリカやアクリートのシェアを奪い、業界内で無双しててもよいはずだ。

しかし実際はそうなっていない。

 

NTTコムオンラインなどは以前よりその有利な立場に立っていながらシェアを落としている。

 

理由はおそらく「面倒な割には大して儲からない」からだ。

 

 

4.小さくてちょっと面倒くさい

業務用SMSを導入するためには、まず会社のシステムに繋ぐ必要がある。

必要なタイミングで必要な電話番号を引っ張ってきて、必要なメッセージを載せてSMSを送る。これはちょっと面倒くさい。

 

YahooやAmazonの2段階認証程度なら楽そうだ。文章は単純な数字の羅列のみだし、アクセスされた時に送付するだけでいい。

しかし家賃の督促や人材派遣会社の業務連絡だとそうはいかないだろう。長い文章で、現在どのような状況か、次にどのような行動を取ればいいかなどを個人に合わせて作文しなくてはいけない。

 

そのくせ大して儲からない。

SMSは1通あたりの単価が低い。配信数も中小企業ならそれほど多くならないだろう。そうなれば手間の割には売上が増えない。

小さな企業ひとつひとつに営業をかけ、システムを導入し、アフターフォローも行っても大した売上にならない。そうであればNTTやKDDIなどの巨大企業にとってはとても割に合わない仕事だ。

だからこそやる気がなく、NTTコムオンラインのシェアが上がらないのだろう。

 

そういう小さな仕事をひとつひとつ泥臭く拾っていけるのは小さな企業だからこそだ。

巨人にとってコンビニのおにぎりは何の腹の足しにもならないが、こびとさんなら1個でも数人が満腹になる。

大きな船は浅瀬で漁ができない。巨大なマグロはシラスを餌にしない。

 

このあたりがファブリカの生存空間であり、成長余地になるのだと考えている。

 

 

5.まとめと次回予告

・キャリア直とはキャリアが直接業務用SMSを送る事

・業務用SMSはそれほど美味しい市場ではない

・市場が小さいのでキャリア直はそれほど大きな脅威にならない

 

次回は最も重要な話「利益率は維持できるか」について考えた事を書きます。

 

 

<おまけ>

ウクライナでの戦争ではゼレンスキー大統領の有能さが目立ってます。

その行動力、胆力、交渉力、スピーチの上手さはウクライナにとって大きな力になっていると思います。あそこまでの傑物を最大級の国難で得ることができたウクライナは強運だ、とすら思えます。

 

だからこそ、この本をお勧めしたい。

広告代理店が民族紛争をプロデュースしたボスニア紛争のドキュメンタリー。情報を上手く操作しセルビアが悪だという印象を決定づけ戦争の行方まで決めたという話。

民族紛争と一方的な侵略戦争は違いますが、参考にはなるかと。

ファブリカを買った訳④・・SMSのシェアについて

ピザのイラスト「トマトとサラミのピザ」

 

1.はじめに

ファブリカのSMS事業の成長を考える上での3つの検討事項

① 業務用SMSの市場が拡大するのは本当か?

② ファブリカはシェアを維持できるのか?

③ 利益率は維持できるのか?

 

今回は②について考えてみる。いくら市場が成長しても自社のシェアが下がっていくなら売上は増えない。過去、現在のシェアはどうなっているのかを確認し、未来のシェアを考えてみる。

 

 

2.SMSの市場の分類

まず国内の業務用SMSの市場だが「海外法人」「国内法人」「キャリア直」の3つの市場に分かれる。

 

「海外法人」とは、海外の企業が国内のSMS業者を経由して送るSMSだ。いちばん馴染みのあるAmazonの2段階認証はこれに含まれる。

 

「国内法人」とは、国内の企業が国内のSMS業者を経由して送るSMSだ。3つの市場のなかでいちばん大きく、成長もしている。

 

「キャリア直」とは、国内の企業がSMS業者を経由せず送るSMSだ。ファブリカ等のSMS業者を経由せずドコモやKDDI等のキャリアが直接送る訳だからコストが低く抑えられる。ここが伸びればファブリカやアクリート等の企業にとっては死活問題となる。

 

それぞれの市場規模の割合はこんな感じだ。

f:id:nigatsudo:20220417144004p:plain

https://release.nikkei.co.jp/attach/602418/01_202012241415.pdf

 

ファブリカのSMSソリューション事業は上記の「国内法人」の市場のみでビジネスを行っている。競合のアクリートやAI CROSSは「海外法人」の市場にも大きく参入しているが、ファブリカは全く手をつけていない。

海外法人の市場の拡大や縮小はファブリカの業績とは無関係だ。

 

ここではまず「国内法人」の市場についてのみ考えてみる。

「キャリア直」の事については後日考えたい。

 

 

3.過去及び現在のシェア

国内法人のSMS市場は上位4社で寡占されている。

上位4社とは、NTTコムオンライン、ファブリカ、アクリート、AI CROSSだ。

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グラフの通り上位4社で90%が占められている。

その中でもNTTコムオンラインとファブリカの占有率は高い。

 

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2017年からのシェアの推移をグラフにしたのが上記だ。

シェアトップのNTTコムオンラインがじわじわシェアを落としていて、その分ファブリカがシェアを伸ばしている。

 

 

4.上位4社の特徴

国内業務用SMSの市場が4社によって寡占されているのだから、その4社の特徴を確認しておくことは有用だ。長くなると読むのがきつくなるから箇条書きで書く。

 

 

① NTTコムオンライン

NTTコミュニケーションズの子会社

・正式名称は「NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューション」

・業務用SMS以外に、データ解析事業やデジタルマーケティング事業も行ってる。

・それぞれの売上占有率は3分の1ずつ

・非上場企業

・社員は160名

・業務用SMSは「空電プッシュ」というブランド

NTTグループの一員という信用がバックにあり、特に金融分野に強い

・金融分野のSMSのシェアは2020年度で61%と圧倒的

・情報サービス分野のシェアは53.8%、公共分野のシェアも30%とトップ

・選りすぐりの代販パートナーを5~9社/年で増やしてる

・直販は+22.4%/年で、代販パートナーは+33.6%/年で売上を伸ばしている

 

<私の印象>

NTTグループの一員であり、とても固い印象。成長市場に身をおいている企業なのにガツガツしていない。業務用SMSは3本柱のうちの1本という事もあるのか。

非上場企業なのであまり情報が得られない。

 

 

② ファブリカコミュニケーションズ

・名古屋の自動車鈑金塗装業から成長してきた企業

・業務用SMS以外にも、中古車販売業務支援事業やオートサービス事業等も行ってる

・業務用SMS事業の売上占有率は50%

・業務用SMSは子会社である「メディア4u」が行ってる

・「国内法人向け」専業、海外法人のSMSには参入していない

・「業務連絡」のシェア43%、「事前通知」のシェア40%、「督促」のシェア36%でそれぞれトップ

・「業務連絡」は人材派遣会社、人材紹介、コールセンターでのトップクラス企業を顧客にしている

・「事前通知」は人材派遣会社での面接日通知、中古車販売業者での車検切れ通知、保険会社での保険料支払い通知などで活用されてる

・「督促」は家賃保証会社や不動産業者が顧客

・様々なジャンルにまんべんなく顧客がおり、配信数が安定してる

 

<私の印象>

国内の様々なジャンルの企業にまんべんなく浸透してる。海外にも手を出さず国内向けのシェア向上に努めている。名古屋の板金屋からスタートしたからなのか、手堅く土臭い経営を行っている印象(褒めてる)。

 

 

③ アクリート

・2014年にSIerのインディゴからスピンアウト創業された

・国内SMS配信事業のパイオニア

・売上からみるとほぼSMS専業

・海外法人の売上が50%を占めている

国内法人向けではポータルサイト「Yahoo!」の本人認証を行ってる

    (2022年現在は行っていないよう)

・2022年3月よりベトナムのSMS配信サービス会社を子会社化

 

<私の印象>

上場時の社員数は10名だったというロックな企業。海外法人(海外アグリゲーター)への売上が半数を占めている。また、国内法人が海外向けに送るSMS配信サービスを行ったり、ベトナムへ進出したりと、視線がグローバル。M&Aにも積極的。

海外法人のSMS市場は国内法人向けのものと違って不安定で増減もある。また海外企業との競合もあるようだ。

 

 

④ AI CROSS

・海外経験の長い社長がSMSの日本国内での拡大を見越して創業

・業務用SMSは「絶対リーチ!SMS」というブランドで展開

・海外法人向けにも参入しており、その売上占有率は2020年度で37.5%

・プロモーション分野のSMSに強くシェア57%、その分コロナの影響が大きかった

・業界特化型コンサル会社を代販パートナーとしてニッチな業界に進出

・SMS以外に人材マネジメントサービス等に進出してるが、売上占有率はまだ1%程度

 

<私の印象>

寡占企業の一角だが4番手で、じわじわシェアを削られている。HYOUMAN BOXという人材マネジメントサービスを開始し、SMSにこだわらない事業を展開しようと考えているようだ。

AI CROSSのサイトは社長の原田典子さんの写真であふれている。AI CROSSを調べようとすると100回以上そのお顔を拝見することになる。ちょっと前に出過ぎじゃないかと。それが許されるのはアパの社長だけだと思ってた。

 

 

◎まとめ◎

信用とブランドのNTTコムオンライン

泥臭く拡大してるファブリカ

海外に軸足を移し始めているアクリート

社長のキャラが立ってるAI CROSS

 

ただの私の印象です。そしてポジショントークです。

 

 

5.なぜ寡占状態が維持されているのか

成長が著しい市場には多数の企業が参入しレッドオーシャン化するのが一般的だ。しかし業務用SMSの市場は寡占状態が維持されている。

それはなぜなのか?

 

AI CROSSの資料には「規模の経済性が参入障壁になってる」とある。

SMS配信サービスは、ドコモやソフトバンクなどの通信キャリアへ通信料を支払う必要がある。その通信料にはボリュームディスカウントが働くため、小規模でしかスタートできない新規参入者はコストが高くなってしまうらしい。

「小規模でSMS配信事業を行う場合は、キャリアから直接回線を引くより大手4社から孫引きして回線を引くほうがコストが低く抑えられる。これが参入障壁になる」と、AI CROSSの社長が動画で言ってた。

 

あとは、市場がまだまだ小さくてうま味が小さいという理由もあるのだろう。

「業務用SMS大手4社」と言っても従業員50~150人程度だ。本当に美味しい市場ならばその数十倍の体力を持つ企業が参入してくるだろう。そうなると巨人に踏み荒らされて草も生えないような市場になってしまう。

 

今後SMSの市場が更に拡大していけば、巨人を引き付けてしまうリスクはあると思う。

 

 

6.次回予告

また長くなってしまった。

次回は「キャリア直」という脅威について書きます。

 

 

最近、パソコンのモニタを増やしてデュアルモニターにした。ものすごく快適になった。有報をいくつも開きその数字をエクセルにデータを手打ちする、という作業がすごく効率化されます。2万円程度の投資で大きなリターンが得られます。おすすめです。

 

 

ファブリカを買ったわけ③・・・SMSの市場拡大について(後編)

ナミのイラスト(ONE PIECE)

前回のまとめ

・ファブリカのSMS事業は、業務用SMS市場の拡大により大きな恩恵を受ける

・海外と比較すると、日本国内の業務用SMSはまだまだ伸びそうだ

・デロイトトーマツ矢野経済研究所も、業務用SMS市場の大幅な伸びを予想している

 

 

1.はじめに

前回に続いて業務用SMSの市場拡大について考えてみる。

 

今回は主に利用シーンから考察する。

SMSは「市場が伸びるから使われるようになる」訳じゃない。

「使う人や使う頻度が増えるから市場が伸びる」のだ。

 

今後、日本での業務用SMSがどのようなシーンで使われるようになるか?

どんな理由で使われるのか?

この2つについて、SMSの優位性、海外での使用例、消費者の嗜好の変化という3つの切り口から考えてみる。

 

 

2.SMSの優位性

SMSの優位性は何と言っても到達率の高さだ。

 

メールは届かない。

久しぶりのメールを送る時は「このメアド生きてるかな」と考える必要がある。相手のメアドが変更されててメールが届かない、という経験は誰にでもあるだろう。そもそも聞いたメアドが普段遣いされているとは限らない。メールアドレスはいくらでも無料で作ることができるのだから。

 

加えてフィルターの問題がある。迷惑メールがあまりに多いのでほとんどのメアドにはフィルターがかかっている。企業がメールを送ってもフィルターに阻まれて届かない。

そして届いたところで開封せずに削除される。

 

電話は出てくれない。

知らない番号からかかってくる電話なんて、みなさんも取らないでしょう?

 

LINEはブロックされる。

とても悲しい事だがそれはよくある話だ。

 

その点SMSは届く。

SMSは電話番号と紐づいているので変更されることはほとんどない。

電話は取ると時間も取られるし面倒な事が起こる可能性があるが、SMSの内容をチェックしたところで本人に不利益はない。SMSの開封心理的な抵抗を感じる人はいないだろう。

 

SMSの到達率は98%というデータもある。

そもそもAmazon等の2段階認証で使われてるくらいだ。信頼性も高い。

 

今後迷惑SMSが増えることによって開封率は下がるかもしれない。

しかしSMSの送信にはお金がかかる。無料で送信できるメールと比べ、迷惑SMSがはびこる可能性は低いだろう。まだまだそれを心配する段階じゃない。

 

送信側の企業にはそれ以外にもメリットがある。

電話や郵送と比べると安い。そして早い。

さらに楽だ。企業側のシステムと連結させれば、数クリックで送信できる。

 

これらがSMSの優位性だ。業務用SMSの市場は伸びると考えている。

 

 

3.国内、海外での使用シーン

私が業務用SMSを受信するのは、AmazonやYahooの2段階認証がほとんどだ。

宅急便の再配送に関して1回だけSMSを受け取ったことがあるが、それ以外は全て2段階認証だった。他にどんな使用シーンがあるのか。

 

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ファブリカの決算説明会資料を見ると、国内SMSサービスの用途の内訳が載っている。

やはり本人認証が40.4%とトップだ。

16.7%を占める「督促」は、家賃保証会社や不動産業者によるものが多いようだ。自治体が税金の督促に使う事もある。

27.8%を占める「業務連絡」は、車検や保険の満期案内、リコール通知、予約のリマインドなどのに使われている。また人材派遣会社が抱えている派遣社員に対して指示を出す為にも使われているとの事だ。

「事前通知」は宅急便やガス会社の点検等で、訪問前に連絡するために使われてる。

 

 

一方、日本よりずっとSMSの利用頻度が高い海外ではどうなのか。

アメリカでは、注文の確認、配送追跡情報の連絡、予約の確認等にSMSが使われている。

また、商品の割引情報や入荷案内、プロモーションやマーケティングにも使われているらしい。このあたりの使われ方は日本ではまだまだ一般的じゃない。

 

他の国についても調べてみたが、多くの国で、タクシーの配車、クレジットカードの利用履歴、病院や歯科の予約リマインド、政府広報やコロナのコントロールWiFi接続のためのパスワード、選挙活動などに使用されているようだ。

インドネシアではJKT48の総選挙にSMSによる投票が行われている。

子供が登校したときと下校した時に、親にSMSが届くようなところもあるらしい。

 

使用シーンについても伸びしろは十分にありそうだと感じた。

 

 

4.携帯電話のない世界と消費者の嗜好の変化

安いから、という理由でよく知らないECサイトから商品を買った時。商品がなかなか届かないと不安になる。お金だけ取られて商品が届かないんじゃないか?などと考えてしまう。

 

Amazonなら発送された時にメールが届くし、サイトを見れば商品がどこまで運ばれているかわかる。これはストレスが少なくて済む。

 

若い人には携帯電話を持たずに待ち合わせをした経験がない方も多いはずだ。

携帯電話がない場合、待ち合わせの時間が近づいても相手が現れないと不安になる。途中で事故に遭っていないだろうか。何か急用が入ったんじゃないだろうか。そもそも来るつもりがあるんだろうか。

そんな事を考えながら相手を待つ。携帯電話普及以後はなかなか無いシチュエーションだ。

 

悪くない思い出だと思うのは私がおっさんになったから。その当時はとても不安だった。

 

2年後に!!シャボンディ諸島で!!

ドドンッ!!!

 

これだけの言葉で待ち合わせをするのは本当にストレスがかかるんだ。

 

 

消費者は常に現在の状況を知りたいと考えている。携帯電話普及以前、ネット普及以前と比べると、企業と消費者のコミュニケーションニーズは間違いなく高まっている。

 

手軽で確実なSMSは、様々なシーンで利用されるようになる。業務用SMSはそのニーズを吸って更に普及していく。

そんな風に考えている。

 

 

5.まとめと次回予告

・SMSは安くて確実に届くコミュニケーションツール

・利用シーンはこれからも拡大する可能性が高い

・消費者は現状を知りたい。企業とのコミュニケーションニーズは高まってる

・以上の理由から業務用SMSの市場が伸びるという話は説得力を感じられる

 

 

前回書いた3つの検討事項

① 業務用SMSの市場が拡大するのは本当か?

② ファブリカはシェアを維持できるのか?

③ 利益率は維持できるのか?

 

今回の記事でその①についての考察を終えます。

次回以降は「② ファブリカはシェアを維持できるのか」について書いていきます。 

 

 

 

マキャベリズム」の語源ともなったルネサンスの思想家マキアヴェッリの入門書。

最近の国際情勢について考える一助になるかとも考えて紹介したけど、投資にもすごく役立つ話が含まれます。

 

「天国に行くのに最も有効な手段は、地獄へ行く道を熟知することである」

とか。

ファブリカを買ったわけ②・・SMSの市場拡大について(前編)

メールを待つ人のイラスト(女性)

1.SMS市場は大幅な拡大が予想されてるが・・

ファブリカにおけるSMSソリューショングループの売上構成比は51.5%だ。セグメント利益率は28.0%と高い。

 

この業務用SMSの市場だが、年平均成長率41.5%と大幅な拡大が予想されている。

 

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年間41.5%の成長が続くのであれば、売上が2年で2倍、4年で4倍になる。もうこれはファブリカを買って寝てるだけでお金が増えること間違いなし。損するのは不可能だ。

はい解散!

 

 

そこまで無邪気な投資家は(一部のレバナス界隈を除いて)いないと思う。

私は無邪気から程遠い投資家なので、その実現可能性について慎重に検討してみる。

 

業務用SMSの市場拡大に伴ってファブリカの業績が伸びるためには、以下の3つの事について考える必要がある。

① 業務用SMSの市場が拡大するのは本当か?

② ファブリカはシェアを維持できるのか?

③ 利益率は維持できるのか?

 

まず、①  業務用SMSの市場が拡大するのは本当か?について。

「年平均成長率41.5%」という業務用SMSの市場推移のグラフは、SMSサービスを提供するどの企業の説明資料にも載っている。その出典はいずれも「デロイト トーマツ ミック経済研究所」だ。

デロイト トーマツとは世界最大の会計事務所で、デロイト トーマツ ミック経済研究所とはその傘下の、情報・通信分野を専門として市場調査を行う調査会社だ。

たぶんすごく優秀な人達がいろんな根拠から数字を算出しているんだろうけど、ひとつの会社が言うことをそのまま鵜呑みにする事はできない。

 

次の、② ファブリカがシェアを維持できるのか?について。

業務用SMSの国内市場で、2020年度においてファブリカは30.0%のシェアを占めている。これがそのまま維持できるのかは考えておく必要がある。

いくら市場が予想通り年平均41.5%以上拡大しても、競合他社にシェアを奪われたり、新規参入企業に持っていかれたりすると売上は拡大しない。

 

最後に、③ 利益率は維持できるのか?について。

いくら市場が伸びてシェアが維持できてもそれだけでは無意味だ。価格競争になってレッドオーシャン化が進み、全く利益が出ない事業になる可能性もある。

また、原価が高騰しそれを価格に転嫁できず利益を圧迫する可能性もある。

 

 

以上3つの条件について問題がなければ、ファブリカを買って寝てるだけでいい。

順番に検討してみたい。

 

 

2.業務用SMSの市場が拡大するのは本当か?

まず業務用SMS市場の拡大について考えてみる。

 

① 矢野経済研究所の市場予測

SMSサービスを提供している各社はどこもデロイト トーマツ ミック経済研究所の市場予測データを引用している。ファブリカもアクリートもAI CROSSも全部そうだ。

まず、デロイトトーマツ以外が出している市場予測はないか探してみた。

 

その結果、矢野経済研究所の予測が見つかった。

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こちらも成長を予想しているのは同じだ。

グラフにある数字を打ち込んで年平均成長率を計算してみた。その結果 CAGR 29.0%という数字が出た。デロイトトーマツの41.5%という数字よりかなり控えめだ。

 

2025年の予測はデロイトトーマツが71.8億通、矢野経済研究所が93.0億通・・あれ?

ここでようやく気がついた。

予測以前に、2017年度から2019年度の実績の数字が違ってる・・・。

集計の方法が違うのか何なのか。ネット上で無料のデータをあさってるだけなのでよくわからない。

まあ、いいか。

 

 

② アメリカでのSMS配信数

デロイトトーマツ矢野経済研究所もSMS市場の拡大を予想している。その根拠のひととつとして海外でのSMS事情があると思ってる。

 

2019年の日本でのSMS配信数が11億通だったのに対し、アメリカでのSMS配信数は2兆980億通だったという事実がある。日本の約1,900倍だ。

人口が日本の3分の2程度だったドイツでも80億通。ドイツも人口あたりに直すと日本の11倍になる。

 

このあたりの数字を見ると「2年間で2倍、4年で4倍」という皮算用はそこまで誇大妄想じゃないと思ってよさそうだ。なんといってもアメリカは日本の1,900倍なのだから。

 

海外でSMSがこれほど普及している理由については、キャリアメールの有無という背景が大きいと考えている。

 

ガラケー時代から携帯電話にはキャリアメールというものが存在した。

女性にデートのお誘いメールを送信して、その返信をドキドキしながら待っていた記憶を持つおっさんは多い。もう15年ほど前になるだろうか。

 

おっさんに甘酸っぱい記憶を呼び起こすキャリアメールだが、日本以外の携帯電話には存在しない。ガラケーとは言い得て妙、キャリアメールは日本の携帯電話だけで進化したシステムなのだ。

日本以外での携帯電話でのテキストメッセージはSMSを使用するのが一般的だった。

 

このキャリアメール、最近あんまり使ってる人もいないだろう。LINEを使うほうがずっと一般的だし、そもそも格安スマホにはキャリアメールが付いていない。

 

スマホの普及で国内のモバイル事情は海外と同質化した。しかしキャリアメールが無くなってもテキスト通信の需要はなくならない。

キャリアメールは消失してもテキスト通信の需要はなくならない。その一部はSMSが満たすだろう。アメリカ並みに増えるとまではいかなくても、数倍くらいになる可能性は十分にある。

 

参考:

 

 

3.雑談と、次回予告

君の名は。」で一世を風靡した新海誠が監督として携わった最初のアニメ「ほしのこえ」。2002年に公開された、2046年が舞台のSF作品だ。

 

異星人と戦うために太陽系を超えシリウス星系まで進んだ主人公。地球にいる恋人にメッセージを送るのだけど、その手段はガラケーでのキャリアメールだった。シリウス星系は地球から8光年離れている。だからメールも片道8年かかって届くという不便さだ。

 

私も見たが、作戦中にコックピットで恋人にメールを打つ不真面目さ(あるいは油断というか甘さ)が引っかかって、あんまり内容が入ってこなかった。

 

まあ、新海誠でも未来は予想できないってことですね。

 

ほしのこえ」はアマゾンプライムで見れます。

https://amzn.to/3DuKbd7

 

DVDならこちらを。200円です。

 

 

長くなりすぎたので一度切ります。

次回、SMSの市場予測について②。

SMSの利用シーンから将来のSMS市場について考えた事を書きます。