1.企業の予想、個人の予想
前回の記事から1ヶ月以上経過してしまった。
新しい中計が発表されてストップ高になったきずなHDの株価。次の日に天井を付けてその後垂れて、もう一度上げ始めている頃に続きの記事を書いている。
旬を逃しているような気もしているが、長期投資家の感覚としてはこんなものだろう。まだ新中計の発表から四半期も過ぎていないのだから。
というわけで、続きを書きます。
きずなHDから新しい中計が発表されたが、これは企業が立てた計画だ。
企業の計画は、投資家の予想とは違う。
「この企業は毎回次期予想が保守的だ」
「毎年3Q前後に上方修正しているから今期もあるだろう」
「この企業の説明会資料はいつも大風呂敷を広げてばかりだ」
投資家なら誰もがそんな事を考える。願望や偏見も交えながら、自分で企業の将来を予想しているわけだ。
この「個人の予想」と「企業の予想/計画」は分けて考える必要がある。
きずなHDは、新しい中計をどのような考えで発表したのか?
売上と利益の数字はどのようにして計算したのか?
今回は私の予想(あるいは願望)を極力排除して、きずなHDがどのような計算で中計を立てたのか考察してみたい。
2.新中計で発表された数字
新しい中計で発表された数字は下の表1枚に収まる。
前々回の記事にも書いたとおり、以前の中計と比べてホール出店数を増やし、葬儀件数と葬儀単価を保守的に見積もった数字だ。
これに過去の実績を加えてまとめるとこうなる。売上等の数字の単位は(百万円)だ。
赤い文字は今回の中計の予想による数字、黒い文字は過去の実績だ。
中計にはP/Lに関する数字について、売上と営業利益と純利益しか書かれていない。
しかし売上と営業利益の間にも、営業利益と純利益の間にも、いくつも数字が入っている。企業側は当然その数字も予想しているはずだ。
その数字を考えれば、企業がどのような事を考えて中計を立てたか理解できるだろう。
間の項目を入れるとこうなる。長くなるから2つに分けた。
黒字は実績、赤字は中計より抜粋。
まずは売上構成まで。
そして売上から利益まで。
赤字は中計より抜粋。従業員数や広告宣伝費の数字も中計に含まれているので追加。
黒字は2021年8月31日に発表された有価証券報告書から抜粋。
これらの空欄を埋めていけば、きずなHDがどんな考えで中計を立てたか理解できるはずだ。
3.新中計で発表された数字を補完してみた
売上構成までの数字の補完は簡単だ。
葬儀売上はホール数と葬儀件数と単価が出ているのだ。葬儀売上は簡単に計算できる。
その他売上とは、ネット集客やアフター商材の売上だ。
以下が売上構成の表。
紫色の数字は発表された数字から自動的に計算される数字だ。
そして売上から純利益まで、青の数字は私が「きずなHDはこう考えているんじゃないだろうか」と、勝手に予想した数字だ。
順番に解説していく。
まず原価率は過去の推移から63.0%に固定した。
原価率と売上から原価を計算した。
売上と原価の差が粗利益になる。
推定した粗利益と中計の営業利益から販管費が推定される。
販管費の詳細は後に回す。
営業利益以下は下からの説明の方がわかりやすい。
法人税率は36.5%に固定した。
税引前当期純利益と営業利益の間には金融費しかないからこれも自動的に決定。
そして販管費の詳細。これはかなりあやふやな予想になる。
広告宣伝費は中計から数字がわかる。
支払手数料は、2020年に上場のための経費が、2021年にはM&Aの経費がかかっていて多くなっている。2022年以降はM&Aがないと仮定すると自然増加でこんなものかと。
役員報酬は毎年5百万円の増加とした。
減価償却費はホール数✕1.45百万円で計算した。
旅費交通費の項目は2021年度から消滅している。その他に入ったか?
その他の数字は不明。毎年+10百万としてみた。
4.次回予告
私の想像に基づく「きずなHDが考えている未来のP/L」を作ってみた。
発表された数字の前後を埋めたつもりだけど、まったく見当違いな見積もりかもしれないし、計算ミスもあると思う。
いつものようにツッコミ大歓迎です。
そして「きずなHDが考えている未来のP/L」と「私が考える未来のP/L」は違う。
未来のP/Lを自分で考えるためにも、まず企業の考えてる未来のP/Lを想像してみた。販管費の詳細について考えたのは、自分で将来のP/Lを考えるためだ。
次回は「私が考える未来のP/L」について書きたい。
また1ヶ月後かもしれませんがw
前回も紹介したこの本、実際読んでみましたが良かったです。
リクルート社で実際に行われているKPIマネジメントについて書かれています。
きずなHDの中道社長もリクルート出身ですが、わかりやすい決算説明会資料を作っている事をみてもしっかりとした経営が出来ているんだと思います。