1.これまでのまとめ
営業利益は以下のような式で求めることができる。
営業利益 = 売上 - 原価 - 販管費
2023年5月期の会社計画である営業利益は1,027百万円。これが本当に達成できるかどうか評価するため、売上と原価について考察していった。
今回は最後の販管費について考察してみる。
2.過去の販管費の推移
過去の販管費の推移についてもう一度確認する。
四半期ごとの販管費の推移を緑色の棒グラフで示した。
2020年4Qに一時的に上昇しているが、これは上場費用がかかったためだ。それを除くとほとんど変化していない。
「販売費」は広告宣伝費、「一般管理費」は本社機能にかかる費用だと考えていいだろう。この2つに分けて販管費を見ていく。
まず広告宣伝費について。
これも中期経営計画の資料に今後の広告宣伝費の予定が書かれている。
会社の規模が大きくなるにつれて、少しずつ広告宣伝費を増やしていく計画だ。
広告宣伝費は増えていくが、売上に対する比率は少しずつ減少している。
これは地域ドミナント戦略の強みだ。
ひとつの地域にホールが2店舗しかなくても30店舗あっても、広告を打つ費用は同じになる。テレビCMでも新聞広告でも宅配チラシでも、その地域に店舗が多ければ多いほど、1店舗あたりの広告費は少なくなる。売上あたりの広告費も少なくなる。
地域ドミナント戦略が、店舗出店拡大とともに広告宣伝費率を減らしていく。
次いで本社機能に関わる費用について
これもそんなに増えないと予想している。
店舗数が倍になったとしても、本社の建物が2つ必要になることはない。本社業務に関わる人数は多少増えるかもしれないが、2倍にはならない。経営者や役員も2倍にならない。
店舗数が増えれば売上が増えるが、本社機能に関わる費用はそれほど増えない。
経費が増えないのだから、利益が増えるのは道理だ。
3.販管費詳細
「従業員給付費用」と「広告宣伝費及び販売促進費」という2つの項目で60%を占めている。それ以外には「支払手数料」「役員報酬等」「減価償却費」などがある。
従業員給付費用は、本社で働く社員の給料だ。
広告宣伝費および販売促進費とは、広告宣伝にかかる費用だ。
減価償却費は本社その他の減価償却費だし、役員報酬も説明不要だろう。
いずれも今後大きく増えそうな項目ではない。
支払手数料は新ホールの出店仲介手数料や、監査法人、コンサルタント等に支払う費用との事だ。2020年度は急増しているが、これは新規上場に伴う費用に3億円かかった為だとのこと(IRに確認済)。それを除けば全く増加していない。
今後支払手数料が増加するのはM&Aに伴う費用が考えられる。実際今年の1月に岡山県の備前屋を買収しているが、買収手数料として40百万を計上している。これが支払い手数料に含まれる訳だ。
過去の推移と同じように、今後も販管費はゆっくりとしか増えないだろう。
M&Aに伴う手数料だけがイレギュラーだが、一過性のものだしネガティブな材料でもないので 気にしない事にした。
4.個人的な営業利益、純利益予想、時価総額
売上は会社予想と同じ10,420百万円。
原価率は過去の平均よりやや高い63.5%とすると、原価は6,616百万円。
販管費は上場費用の負担が消えた分と自然増加分を勘案して2,442百万円だと試算した。
営業利益 = 売上 - 原価 - 販管費
この式にそれぞれの数字を当てはめると、2023年5月期の営業利益は1,362百万円となる。私の予想は会社予想の1,027百万円と比べて+32.6%ほど強気だ。
金融費用は金利や有利子負債の額によるのでよくわからないが、過去の値から220百万円とした。税率は今後も34.6%だと仮定する。
これらの数字を当てはめると、2023年5月期の当期利益は746百万円となる。
5.バリュエーションとまとめ
現在、きずなHDはPER19倍で評価されている。これを当期利益746百万円に当てはめると、時価総額141億円になる。
現在の時価総額が58.2億円だから、2.4倍にまで増加するわけだ。
株価で言うと4,060円になる。
どう考えても2021年4月12日現在の株価、1,692円は安い。
そう思ってたくさん買った。
リスクもそれなりにあるし、上手くいくかどうかはもちろん分からない。
株式投資を初めて2年以内の初心者がどんな本を読むべきか?
そんな事を考えてみたけど、やはり鉄板はコレです。
株式投資の方法はいろいろありますが、このブログの記事を最後まで読める方なら絶対に読んで損はないです。