中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

明豊ファシリティワークスの決算説明会動画を見て

バーチャルYouTuberのイラスト

1.明豊ファシリティワークス決算発表

5月15日に明豊ファシリティワークスは決算を発表した。

売上高43.5億円(前年同期比-22.2%)、経常利益906百万円(前年同期比+16.2%)だった。この数字は、会社の予想よりもコンセンサス予想よりも良かった。

 

発表の翌日、株価は下落した(チャートの赤い矢印が翌日)。

f:id:nigatsudo:20200531182012p:plain

 

その理由は来期予想にある。

売上高39.4億円(前年比-9.4%)、経常利益616百万円(前年比-32.0%)という来期予想を発表したからだ。配当も21.5円から12円に減ってしまった。

決算書は見た目が9割。これは株価が下がって当然だ。

 

 

そんな中、5月29日に決算説明会動画がアップされた。なぜそのような来期予想をしたのか?新型コロナ感染症の現在の影響は?今後の見通しはどうなのか?

気になる点をピックアップしていく。

 

 

2.新型コロナ感染症の影響について

まず新型コロナの影響について語っていた部分を箇条書きで。

・現在のプロジェクトはロックダウン下でも平常稼働している

・テレワークは20年前に開始しており、テレワーク先駆者百選総務大臣賞も受賞してる

・新型コロナの流行で新たなシステムは導入していない。いままで通りで対応可。

・ひとつのプロジェクトに対し2チーム制で動いている。一方のチームに感染者が出現しても、もう一方のチームがカバーし、プロジェクトが止まらない体制を構築した。

 

現在までの影響は軽微だとのこと。

 

・新型コロナの第1波は落ち着いたが第2波の規模や時期は不明。

・平時なら前年度売上実績を上回るが、プロジェクト中断・中止のリスクを踏まえ、来期予想の売上高を-9.4%と保守的に見積もった。

・配当額は今後の業績の伸びに応じて適宜見直す。

 

新型コロナの第2波が来なければ、あるいは来てもプロジェクトが中止されなければ、売上は前年を上回る予定。それに応じて配当も上方修正すると。

 

 

・世界的なサプライチェーン再構築の流れがあり、国内での工場新設案件の増加が見込まれる。

・自社で行っているテレワークやペーパーレス化のノウハウを活用し、今後のオフィス事業の一環として提供していく

 

新型コロナの影響は悪いことばかりじゃないようだ。

 

 

3.従業員数について

来期の売上減少の理由は上記の通り。

営業利益が売上以上に下がるのは「オフィス統合、システム開発、増員のため」だと言っていた。

今期、社員数を増やす予定のようだ。


一方、2019年度は社員数が減っている。

f:id:nigatsudo:20200531182935p:plain

 

これが一番気になった。

これまで何度も書いているが、明豊ファシリティワークスのビジネスにとっては人材が命だ。優秀な人材を十分に集めてこそ、会社の業績が伸びる。

 

今回、社員数が10人減少した。そのうち正社員減少数は4人だ。
4人退職して補充がなかったのか、あるいは6人退職して2人入社したのか。詳細はわからない。

しかしヒントはある。会社のサイトにある有資格者のページだ。

有資格者|明豊ファシリティワークスのコンストラクションマネジメント

このページに2020年5月31日現在の有資格者一覧が書かれている。


人材こそが明豊ファシリティワークスの成長に最も重要だと判断した私は、時々このページをキャプチャしている(↓はその一部)。

f:id:nigatsudo:20200601193904p:plain

 

手元にある2019年10月31日の同じページと比較してみた。ほとんど変化はないが、減少している資格者と増加している資格者があった。

 

減少している資格者

  一級建築士     3名減

  構造設計一級建築士 1名減

  建築仕上診断技術者 1名減

 

増加している資格者

 設備設計一級建築士            1名増

 認定コンストラクション・マネージャー  17名増

 LEED-AP                1名増

 CASBEE建築評価員             1名増

 認定ファシリティマネジャー       1名増

 

これ以外の有資格者数は変わらない。

 

元からいた社員が資格を取れば、有資格者数は増える。資格を喪失するような社員はいないと考えると、一級建築士が退職したのだろう。


構造一級建築士や設備設計一級建築士は、一級建築士の上位資格だ。設備設計一級建築士が1名増えているから一級建築士が1名減っているのかもしれない。

 

しかしこれを見ても、いまいちよくわからない。

 

 

4.転職サイトを覗いてみた

私は株を購入する前に、必ず転職サイトの口コミを確認する。

社員が良好な環境でその力を十分に発揮している、というのは企業の成長に不可欠だ。

ブラック企業に未来はないし、たとえ輝かしい成長の可能性があったとしても、そんな企業に投資したくない。

 

今回の社員数減少が、明豊ファシリティワークスの労働環境の悪化を意味していないか

確認するために、もう一度転職サイトを覗いてみた。

転職サイトなので、仕事を辞める人、辞めたい人が利用するのだろう。だから書かれて

いる口コミはある程度割引いて考える必要がある。個人の主観による書き込みなので、

互いに矛盾するような事も書いてある。それらを踏まえた上で、内容を参考にすればい

い。

 

その中でこんな記載を見つけた。

「良くも悪くも個人の能力を求められる。顧客からの引き抜きの声をかけられる・・」

顧客からのヘッドハンティングがあるようなのだ。

 

特に職場環境が悪くなっているような書き込みはない。ヘッドハンティングされて人材

が流出していることはありそうだ。

 

 

社員にもいろいろ都合がある。年老いた両親の面倒をみたいと思っていた矢先に、地元

の企業からヘッドハンティングされれば転職もあるだろう。

今回の社員数減少はそういう事情だと考えておくことにした。

 

 

なお、見たのはOpen worksというサイトです。

https://www.vorkers.com/company_answer.php?m_id=a0910000000FqeC

 

このサイトで比較された建築業界2,704社のなかで、明豊ファシリティワークスは「社員の士気ランキング3位」になっている。

これを見ても「ブラックな職場環境が社員のやる気を削ぎ退職者を増やしている」という事実はなさそうだ。

 

f:id:nigatsudo:20200601194839p:plain

 

 

このサイト、こんな感じに口コミの評価と経常利益をグラフにできたりもします。なかなか秀逸なサイトです。投資の参考に是非使ってみてください

f:id:nigatsudo:20200531192422p:plain

https://www.vorkers.com/a0910000000FqeC/analysis/

 

 

5.まとめ

・顧客のプロジェクト中止や延期がなければ来期売上は前期を上回る予定

・その時は利益も配当も上方修正されるだろう

・新型コロナ感染症によるプラスの影響すら考えられる

・社員数の減少は職場環境の悪化を意味していない。

・来年度、営業利益を削るほどの社員数増加に期待

 もちろんHold継続です。

 

 

 最近読んで面白かった投資本。

失敗にこそ学ぶ点が多いのは投資の世界でも当然当てはまります。

 

ビッグミステイク レジェンド投資家の大失敗に学ぶ