中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

アズームを買った理由② 駐車場の貸し手

立体駐車場(機械式)

1.駐車場を貸してくれる人は増えたか

アズームのコアとなるビジネスは駐車場のサブリースだ。他にも事業はやっているけど、駐車場のサブリース事業が売上の85%を占めている。だからまずはこの駐車場サブリース事業について見ていく。

 

サブリース事業が成長するためには、駐車場を貸してくれる人が増えなくてはいけない。売る商品がなければ売上は伸びないのだから。

貸すために借りている駐車場の数を、アズームは「受託台数」という数字で発表している。その数字をグラフに表したのがこれだ。

 

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上場して日が浅い企業なので、過去の数字はあまり明らかではない。

しかし順調に伸びている事は見て取れる。四半期毎に300~750台程度で増加している。前年同期比では20~26%で伸びている。

この受託台数の成長はアズームの成長そのものだと考えている。

少なくとも今までは確実に伸びてきているのがわかる。

 

 

2.アズームに駐車場を貸す人は増えるか

アズームに駐車場を貸すのは、オフィスビルのオーナーやマンションの管理組合だ。オフィスビルが47%、マンションが47%、その他が6%程度だ。

オフィスビルもマンションも、建設する時に駐車場を併設する義務がある。附置義務駐車場というやつだ。例えば東京都の場合、マンションを建築する時は床面積350平米あたり1台の駐車場を設置する義務がある。1戸50平米のマンションなら、7戸で1台だ。

 

しかし自動車保有率は減少している。一方、マンションを建築するたびに附置義務駐車場は供給されていく。その結果、駐車場の稼働率は下がってきている。都心の一等地に何のお金も産まない空間が遊んでいることになる。この状態は「附置義務駐車場の過剰供給が社会的損失を発生させている」と、国土交通省が認めているくらいだ。

 

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https://www.mlit.go.jp/common/001201346.pdf

 

都心での車の保有率はこれからも下がる。借り手のいない駐車場は、マンションが新しく建築される限り増え続ける。アズームへの駐車場の貸し手が減ることは考えにくい。

 

 

3.アズームに駐車場を貸す人のメリット

いくら駐車場がダブついても、オーナーにメリットがなければ貸す事はない。駐車場のオーナーにとって、アズームに駐車場を貸すとどのようなメリットがあるのか、列挙してみた。

 

① 安定した賃料が入ってくる

駐車場もマンションも、借りてくれる人がいない限り賃料は入ってこない。しかし、もともとダブついている駐車場なのだから借り手がいない。そんな空き駐車場を一括して借りてくれるのがアズームだ。解約されてまた空室になる事もない。安定したキャッシュフローはオーナーにとって魅力だろう。

なお、アズームは賃料の60%を駐車場オーナーに支払っている。20,000円で貸す駐車場に、12,000円の賃料を払っている訳だ。これは同業他社の50%と比較して高いとの事だ。

 

② 必要になったらいつでも返してくれる

もし車を所有する人がマンションに大挙して入居してきた場合、駐車場は返却される。3ヶ月前の申請が必要なのだが、いつでも返してもらえるという制度は貸し手にとって魅力だろう。借り手が現れるまでは安定した賃料を受け取り、現れた後は相場通りの高い賃料を受け取ることが出来るのだから。
ちなみに、アズームの方からの解約はこれまで1件もないそうだ。

 

③ 面倒な手続きは必要ない

空いている駐車場を借りてくれる客を探すのは大変だ。客を見つけた後は、契約書を作ったり、月々の料金を受け取る手続きをしたり、滞納に対応したり、トラブルに対応したりと、面倒なことが目白押しになる。

そんな面倒なことは、それ専門のプロに任せてしまいたい。アズームがその面倒を代行してくれる。

 

 

4.まとめと次回予告

このような背景から、アズームの駐車場受託台数は今後も伸びると予想している。受託台数はアズームにとって最も重要なKPIだ。これが順調に伸びている限り、アズームは成長していると判断できる。前年同期比+25%で増えるなら、3年で売上が2倍になるのだから。

 

今回は駐車場の貸し手について書いた。

次回は借り手について書く予定。

アズームはいかにして駐車場の借り手を見つけてくるのか、という話です。

 

 

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