中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

日本リビング保証の強みと競合について

不動産鑑定士のイラスト

1.生命保険が儲かる話

生命保険には「万が一の時のための備え」「安定した人生のための道具」「ロックンロールと対極にあるもの」というイメージがある。しかしその本質は博打だ。

生命保険の掛け金とは、自分が病気になったり死んだりしたときにお金がもらえるように賭けた賭け金だ。死んだら「賭けが的中した」としてお金が増えて戻ってくる。健康に過ごせた場合、賭けが外れた事になりお金は没収される。

生命保険は博打なので、生命保険業者は賭けの胴元だ。博打は常に胴元が儲かるようにできている。これは永遠の真理だ。

 

具体的な生命保険の仕組みはこうだ。

人間には寿命があり、平均寿命が統計として毎年集計されている。何人生まれて何人死ぬか?途中で交通事故にあう可能性はどのくらいか?何歳くらいでどのような病気にかかるか?その病気にかかる確率は?死亡率は?全てデータとして出される。

1人が事故にあうかどうかは分からない。でも10万人いれば、そのなかの何人が事故にあうかは確率通りになる。「大数の法則」というやつだ。

その確率を計算して「保険金の支払総額  <  掛金の総額 ー 経費 」というように調節してやればいい。この不等式の左辺と右辺の差が、生命保険会社の利益となる。

この不等式を計算するためには人口統計や死亡率のデータが必要になる。生命保険会社にとって、これらのデータは儲けの源泉だ。

 

 

2.保証サービスで儲けるためには

同様に日本リビング保証の主要業務である「保証サービス」は賭けだ。

ボイラーやキッチンやトイレが故障したら「賭けが的中」したわけなので、無料で修理してもらえる。故障しなかった場合は賭け金が没収される。

この博打で儲けるために、胴元は「どのような設備がどのくらいの確率で壊れるか」を知っておく必要がある。様々なメーカーの、様々な製品が、どのような使われ方で、いつ頃、どんなふうに故障するか。修理するにはいくらかかるか。生命保険の死亡率のデータと同様に、設備保証でも設備の故障率のデータが必要になってくる。

 

日本リビング保証が創業されたのは2009年だ。この頃は住宅設備の延長保証というサービスがまだ存在していなかった。日本リビング保証の創業者が、日本で初めてスタートさせた事業だ。

まだ10年しか経過していないが、住宅設備の故障率のデータの蓄積はトップだろう。このデータが安定した利益を生み出す源泉になると考える。バランスシートに載らない日本リビング保証の資産だ。

また、このデータは同業他社の参入をためらわせる堀の役目も果たすのではないだろうか。これは私の推測なのだけど。

 

 

3.競合他社について

 日本リビング保証と似たようなサービスを行っている競合他社には、2453 ジャパンベストレスキューシステム、4290 プレイステージインターナショナル、6064 アクトコール、8630 SOMPOホールディングスの子会社であるSOMPOワランティなどがある。

順番に見ていきたい。

 

2453 ジャパンベストレスキューシステム

住宅のカギ、水回り、リフォームから害虫駆除やパソコン修理までやっているサービス社。日本リビング保証のビジネスはBtoBだが、ジャパンベストレスキューシステムはBtoCが大きいようだ。

日本リビング保証はマイホームオーナー向けの保証だが、ジャパンベストレスキューシステムは賃貸住宅入居者向けの保証がメインだ。設備保証と火災保険などをセットにして販売している。大学生協を通じた学生向けの保証や痴漢冤罪保険などもあり、事業領域は日本リビング保証とかなり違うようだ。

 

4290 プレイステージインターナショナル

プレイステージインターナショナルの7つの事業領域のひとつに「ワランティ事業」がある。そのワランティ事業の中に、自動車延長保証、家賃保証、介護保障・医療費用保証と並んで住宅設備延長保証があるようだ。

しかしサイトを見てみても住宅設備延長保証に関する記載はほとんどない。住宅設備延長保証は、7つの事業領域のなかの1つの更にその中の一部を占めるのみ。会社としてはそれほど力を入れていないようだ。先に書いたような「設備の故障率のデータ」の蓄積も進まないだろう。

 

6064 アクトコール

3つの事業領域のひとつに「住生活関連総合アウトソーシング事業」がある。ここで住宅設備の緊急かけつけサポートを行っている。トイレの詰まりやガスレンジの故障、鍵の故障や紛失などに対応しているようだ。こちらも賃貸入居者向けのサービスがほとんどであり、事業領域はかぶっていない。

 

SOMPOワランティ

SOMPOホールディングスの子会社であるSOMPOワランティは、延長保証の専門業者だ。家電、パソコン、スマホと共に住宅設備保証も行っている。BtoCであり、SOMPOワランティのサービスを導入した企業にはリフォーム会社やハウスビルダーも含まれている。この会社が一番日本リビング保証の事業領域と近いだろう。

 親会社のSOMPOホールディングス時価総額1兆5800億円の大企業だ。その中のSOMPOワランティの占める割合が小さすぎて、ほとんど情報が入手できない。

大手企業の子会社だからこそ、すぐに利益を出さなくてもデータを十分に集める余裕があるわけだ。人材も豊富だろう。

日本リビング保証の有利な点としては、保証だけでなくリフォーム積み立て等の様々なサービスをワンストップで提供できることか。また、中古設備の保証はSOMPOワランティでは行っていないようだ。

とにかく、なんとか大企業に負けないように頑張ってほしいと思っている。

もちろんTOBなんて期待していない。テンバガーなら期待している。

 

 

4.次回予告

他にも競合他社があるよ、という事を知っている人は教えてください。

次回、日本リビング保証の気になる点と今後の展開について書きます。