1.日本リビング保証の上方修正
このブログで日本リビング保証の企業分析記事を書き終えた翌日、上方修正が発表されて株価が上がった。その後正式な2Qの決算発表があり、決算説明会の資料などもアップされた。それらを読んで感じた事などを書いてみる。
まずは上方修正の内容。
2Qまでで、売上が+10.0%、営業利益が+32.5%、経常利益が+43.1%上方修正されている。その結果、このようにとても見栄えのいい数字が出た。
売上が増えたのは長期保証とBPOの受注が良かったから、営業利益が増えたのはオフィス移転や人材採用が後期に延期されたから、経常利益が増えたのは資産運用の成績が予想より良かったから、と理由を説明している。
オフィス移転は今年6月に決定しているし、人材の採用も間違いなくやる。だから現在のところ通期での上方修正しません。
そのように発表されているが、売上高はオフィス移転とは関係ない。売上が10%伸びているのだから、通期もいずれは上方修正されると考えている。
2.セグメントの利益
既に書いたが、おうちのトータルメンテナンス事業は変わった会計方法をとっている。そのために今までBPO事業に比べて売上も利益も数字が悪かった。それが今回営業利益でほぼ同じレベルまで増加している。
次回からはおうちのトータルメンテナンス事業の利益とBPO事業と逆転する。そしてそれ以降は二度と再逆転することはないだろう。
上の方に「事業セグメントへの費用配分の見直しを実施」とある。決算説明会の質疑応答を読むと、本社費用の各セグメントへの配賦方法が変わった事がわかる。BPO事業とおうちのトータルメンテナンス事業の利益が並んだのはそれも1つの理由だろう。
しかし費用配分変更後でも、YoYでおうちのトータルメンテナンス事業の利益の伸びの方がBPO事業のそれより大きい。ただ数字を弄っているだけではない。
日本リビング保証/長期契約積み上げ2Qは過去最高益を達成 - ログミーファイナンス
3.前受収益+長期前受金
日本リビング保証の決算でいちばん気になるのは前受収益と長期前受収益だ。これが本当のお金の流れを示し、将来の売上と利益の額を決定するからだ。
今回の2Q発表時点で、前受収益と長期前受収益の合計は4,892百万円だ。前年同時期と比べて+24.7%だ。
この数字を裏打ちする値として「新規保証契約額」というKPIも存在する。これは日本リビング保証が販売した保証の新規契約額だが、1QはQonQで+42.5%、2QはQonQで+16.3%。1Q+2Qでは前年同期比+30.3%だった。
全く文句なしの成長だ。
4.トピックスについて
その他決算説明会資料でトピックスとして取り上げられていたことから2点。
「② リアルサービス拠点の開設」にあるように、福岡と名古屋にサービスセンターを開設する。
日本リビング保証はBtoBの商売がほとんどであり、その顧客として日本各地にある中小の工務店やハウスメーカーがある。顧客に良好なサービスを提供するために、各地の営業所やサービスセンターは必須だろう。
しかし現在のところ、日本リビング保証には東京本社と大阪支社しかない。福岡と名古屋にサービスセンターを開設することで、よりきめ細かいサービスと営業が可能になると考えている。
もう1つは「③ 金融機関との連携強化」だ。
神奈川銀行と業務提携契約を新たに締結、とある。具体的な内容は神奈川銀行からのリリースにあった。
神奈川銀行と取引のある住宅メーカーや工務店に、日本リビング保証の提供する住宅設備の延長保証、定期点検やコールセンター代行の「人手不足」に対応できる各種サービス業務を紹介する、とある。
ちょっとわかりにくいので解説してみる。
住宅メーカーや工務店は、建てた家の商品価値を高めて顧客に満足してほしい。顧客満足のためには、実際住んでいる人が設備の故障などで不便を感じないようにする必要がある。そのために保証があればいいし、定期点検もした方がいい。実際に故障したときはすぐに修理する必要がある。
すぐ修理するためには24時間で電話対応が必要だし、修理工をあっせんする必要もでてくる。これは本当に大変だ。人手不足が進む工務店には従業員の負担が大きすぎる。
「そんな面倒は外注すれば解決しますよ」と神奈川銀行が日本リビング保証を紹介する。そういう契約を結んだようだ。
神奈川銀行以外にも、オリックス銀行(東京)、福邦銀行(福井県)とも同様の契約を結んでいる。何もしなくても顧客が増えていく仕組みを作っている訳だ。いい傾向じゃないか。
5.まとめ
そんなわけで、引き続きホールドしていきます。
株価は短期的にどうなるか分かりませんが、安心して持っていられます。
ビジョナリーカンパニーのシリーズは本当に名著。
内容もよいし、筆者の熱が込められている文章もいい。
本当にお勧めです。