中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

日本リビング保証の成長の理由

成長期のイラスト

1.前回のあらすじ

日本リビング保証のおうちのトータルメンテナンス事業の数字はだいたいこんな感じ。

Ⅰ.保証サービス

 ・実際は現金がたくさん入ってくるのに売上や利益が数分の一にカウントされる

 ・「受注残」である「前受収益」+「長期前受収益」の増加をフォローするとよい

 ・2019年度の受注は8.7億円

 ・受注残の増加率はQonQで+25%程度

 ・2020年度の受注残は47億円まで積みあがっている

 

Ⅱ.検査補修サービス

 ・売上は2.8億円/年くらい

 ・ほぼ横ばいであり成長はしていない

 

Ⅲ.電子マネー発行サービス

 ・電子マネー発行額は四半期ごとに約1億円程度

 ・発行高はばらつきがあるが、だいだいQonQで+10%程度成長している

 ・未使用ポイントの残高は12億円、どんどん積みあがっている

 ・ポイントの使用期限は15年、失効した分は利益になると考えられる

 

 

2.成長の理由

前回の記事では日本リビング保証の決算について分かりやすく書こうと思った。

だが、無理だった。

でもおうちのトータルメンテナンス事業が、決算に示される売上や利益の数字以上に伸びていることだけは分かって貰えたのならうれしい。

なぜこのようにスムーズに事業が伸びているのか、その理由について今回は書きたい。

 

日本リビング保証の2019年6月期までの決算説明会資料には、初めの方にこんな事が書いてあった。

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まあ悪くないキャッチフレーズだ。

 

しかし2020年6月期からはこうなっていた。

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こちらの方が日本リビング保証のビジネスを上手く説明している。この下の方の小さい文字で書かれた一文。

 

オーナーには「利便性・安心安全」を、

クライアントには「業務効率・ビジネスチャンス」を創造します。

 

オーナーとはマイホームを建てた個人だ。「保証される安心安全と、故障しても修理してもらえる利便性」を提供する仕事をしています、とアピールしている。

クライアントとは住宅メーカーなどの業者だ。「業務効率とビジネスチャンス」を業者に提供します、とアピールしている。

 

 

ビジネスチャンスを提供するとは?

これまでにも何度か書いたが、日本リビング保証のほとんどがBtoB、つまり会社相手に行っているビジネスだ。住宅メーカーや不動産業者が、商品である住宅の商品価値を高めるために、日本リビング保証に注文して設備保証を付けている。

 

「住宅の商品価値を高める」これが設備保証が提供する価値だ。

商品価値が高くなれば、商品が売れやすくなる。だからこそ住宅メーカーや不動産業者が、自分でお金を出して保証をつけるんだ。

 

 

そして電子マネー発行サービス。これはリフォーム需要の囲い込みだ。

少子化が進む我が国は住宅着工件数がどんどん下がってきている。

 

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2030年度の新設住宅着工戸数は63万戸に減少、リフォーム市場は6兆円~7兆円台で横ばいが続く | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)

 

そんな環境の中で、日本の住宅メーカーや工務店は生き残りをかけて戦う必要がある。生き残りのために安定した顧客を確保したい、そう考えて当然だ。

そこで、日本リビング保証の電子マネー発行サービスを使う。これを積み立ててもらえば間違いなくリフォームの注文は自分のところに来る。なんといってもお金はもう払っているのだから。だからこそ「販売促進」という形をとって、住宅メーカー側も積立金の一部を払うんだ。

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「リフォームの需要を確実に獲る」これが電子マネー発行サービスの提供する価値だ。

 

「住宅の商品価値を高める」も「リフォームの需要を確実に獲る」も、住宅メーカー側のメリットだ。住宅メーカーにとってはお客さんも喜んでくれるし何も悪い部分がない。

 

クライアントに「ビジネスチャンス」を創造する、という意味が理解できると思う。住宅着工件数が減り、生き残りの戦いが激しくなるほど、住宅メーカーは日本リビング保証のサービスを欲しがるだろう。

 

成長の理由は「住宅業界がそのサービスを求めているから」というのが私の結論だ。

 

 

3.次回予告

長くなってきたので一度切ります。次回は、日本リビング保証の強みと競合について書きます。

なんだかダラダラ続いてる。書きたいことはまだまだあるんですが・・。

 

 

 

 決算書を読む人なら絶対に電卓は買った方がいいと思います。

         カード型の小さいやつ、スマホの電卓。いずれも作業効率悪いです。