中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

さあ決算だ。その前に業績を読もう!

落語家のイラスト(上方)

1.業績を読もうとする投資家

その企業の商品やサービスがいっぱい売れる。売上が伸びて利益が増える。お金がどんどんその企業に入ってくる。

そうなると株価が上昇する。

 

企業が存在する目的は「お金を稼ぐこと」だ。それ以外にも企業の役割はあるが、お金を稼ぐことが最も重要だ。お金を稼ぐことができない企業は、いずれ潰れる。

だから企業の売上や利益などの業績が、企業の価値を決める。

業績がどんどん良くなっていく企業は、その株価もどんどん上昇する。

 

そんな企業にお金を投資するのが株式投資家だ。

よって、株式投資家は企業の未来の業績を読む。少なくとも読もうと努力する。

未来の業績が良くなると考える投資家が増えれば、株価は上昇する。

 

投資家の予想は「決算発表」という形で答え合わせがされる。

投資家の予想より決算の結果が良ければ、株価は上昇する。

「投資家の予想している数字」と、「企業の未来の業績」。この2つを正確に知ることができれば、とても手堅く儲けることができる。

だから株式投資家は「企業の業績」と「他の投資家の予想している数字」を読もうとする。

 

今回は、まず「企業の業績」について。これをどうやって読むかという話を書いてみる。

  

 

2.月次すら押さえずに投資する?

投資家が業績を予想するための方法はいくつかある。

 

売店や外食産業などは、月次(げつじ)を毎月発表する企業も多い。有料会員数の変化を定期的に発表している企業なんかもある。

そんな投資家への情報発信がちゃんとできている企業の株は買いやすい。

問題は、誰でもかんたんに入手できる情報では、知っていても有利にならないことだ。

そして簡単に入手できる情報すら知らないのであれば、とんでもなく不利な立場に立たされる。

 

月次すら押さえてないのに投資するなんて、地図もナビも持たずに見知らぬ土地を運転するようなものだ。どちらが早く目的地に到着できるか、考えなくてもわかる。

投資の世界でそんな事をすれば、誰より早く退場することができるだろう。

 

 

3.業績予想のための情報収集の方法あれこれ

月次以外にも需要な情報はたくさんある。

 

海外との取引が多い企業は、為替の変動が業績に大きく影響したりもする。

実際に店舗に行って客の入り方を確認したり、ネット上で口コミを集めたり、直接自分でサービスを体験して品質を確かめたり。そうやって足をつかって情報を集める方法もある。

 

私は転職サイトなんかを使って従業員の職場環境を探ったりする。従業員のやる気は業績に反映するんだ。ブラック職場の「使い捨て社員」が、モチベーションを持って働いて企業の業績を上げてくれるとは思えない。

 

その業界について少しでも知るために、業界の雑誌を読んでみるのもいい。図書館に行くと「こんな業界誌があるのか!」と驚くほどマニアックな雑誌が置いてある。

そんな雑誌を読めば、業界全体の流れをなんとなく感じることができるだろう。

 

それでも企業の外で情報を集めるのは限界がある。

やっぱり中で働いている人のほうが情報を集めるには有利だろう。客の入り方とか、売れ筋の商品とか、意識しなくても情報が入ってくる。

学生ならいっそのこと、バイトで職場に潜り込むっていうのも手だと思う。株を買う前に、企業で働いてみる。

そこまでできる人は、きっと何をやらせても上手くいく可能性が高いだろう。

 

そうやって情報を集めながら、投資家はなんとか業績を予想しようとする。

それでも業績予想はなかなか当たらない。

 

 

4.会社の社長ですら業績は読めない

 多くの企業は「来季予想」というものを発表している。

「次期の業績は、売上が〇〇億円で営業利益が▲▲億円となる見込みです。」

そんなような文章を見たことがあるはずだ。

 

来季予想は、誰よりもその企業に詳しいはずの中の人が今までのデータを元に作っている。きっと経営陣しか知り得ない情報なんかも踏まえて、来季予想をつくっているはずだ。

でもこの来季予想はほとんど当たらない。

「上方修正」や「下方修正」などの、業績修正はしょっちゅう発表されている。 

 

 ちょっと調べたら、過去半年間(2019年1月31日~7月30日)で業績予想を修正した会社は、のべ629社もあった。

 

 「下方修正なんかしたら失望されて株が安くなる。それなら最初から低めの数字を出しておいたほうがいい」

そんな事を考えている会社も多い。だから本当の予想より低い数字を「来季予想」として発表する。だからこそ業績修正が多いのかもしれない。

それなら下方修正なんて、もっと少なくても良さそうだが。

 

末端の社員よりずっと会社の事をよく知っている会社の経営陣すらそうなのだ。

よくわかっていない外部の人が、業績を予想してもなかなか当たらない。

 

 

 5.当たらなくても業績は読もう

 それでも業績を読む努力は重要だ。

一番最初に書いたが、誰でもやっている努力をやらない投資家は、お金を失ってしまう可能性がとても高い。

誰でもやっている努力にプラスして、自分でいろいろ調べる。それでも業績予想なんてなかなか当たらない。

 

でも、当たらなくても読み続けよう。

そういう努力だけが、お金持ちへの扉を開く可能性を高めるんだ。

 

 

6.次回予告!

次回、月次をつかっての業績の読み方を書いてみます。

持ち株であるマークラインズについて、業績予想をします。

 

決算発表は8月2日。その時に答え合わせができますね。