中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

イー・ロジットでお金を減らした事・・2021年を振り返る②

倉庫のピッキング作業のイラスト(男性・ウェアラブル端末)

1.イー・ロジットへの投資は失敗した

イー・ロジットへの投資でお金をずいぶん減らした。記憶を削除したくなる程度には失敗した。しかし記憶を削除すると本当にただの損になってしまう。失敗から学ぶ事ができれば損失は勉強代として記帳される。クソ高い勉強代だが。

 

そんな訳で、削除したい記憶を年末に掘り起こしている。株はツラいのだ。

 

2Q決算の前日に「少し持ってるイー・ロジットは明日が決算」などとツイートした。

この「少し」だが、具体的には運用資産の5.8%を占めていた。あんまり少しじゃない。

 

1,400円ちょっとで購入していたイー・ロジット、2Q決算後はストップ安となって最安値750円くらいまで暴落した。下方修正によって赤字予想に転落したので無理もない。

もともと出来高が少ない銘柄なので損切りもスムーズに行かず、今年最大のダメージをくらった。

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そんなツラい記憶を振り返る。

 

 

2.どんな仮説を立ててイー・ロジットを買ったのか?

イー・ロジットはネット通販専門の物流支援サービスを行っている会社だ。

 

ECサイトでポチると数日後に商品が届くが、その仕組みをつくって提供している。Amazonはwebサイト構築から物流、宅配便の手配まですべて自分でやっている。しかし、小さなお店や企業にはそれが出来ない。そんな中小事業者に対して、ECサイト構築、受注処理、物流代行、配送、代金回収までを代行するのがイー・ロジットだ。

 

私は以下のような仮説を立て、投資することを決めた。

・小さな企業やショップは生き残りをかけてECサイトを充実させていくだろう

・多品種小ロットの発送業務は小さな企業にとって大きな負担になる

・そんな面倒な事を代行するイー・ロジットの業績はのびるだろう

 

・イー・ロジットのような物流代行企業の売上は

 「物流センター床面積 ✕ 床面積あたりの売上高」で決まる。

・物流センターごとの床面積あたりの売上は、関通などと比べるとずっと高い。

・イー・ロジットの物流センターの規模は関通より大きい。この事が効率化を実現し、床面積あたりの売上を高くさせているのではないか。後発企業が効率の良い設備を導入することで先発企業を追い抜くことはよくある話。

 

・イー・ロジットは今後どんどん新しい物流センターを建設する計画がある

    ↓

・床面積増加 ✕ 床面積あたりの高い売上高!

 =これで売上が成長しないわけがない!!

 

他にも買った理由はいろいろあるけど、メインのストーリーはこんな感じだった。

 

 

3.気になることはいくつかあった

イー・ロジットの上期予想売上6,311百万円が達成されるためには、2Q単体でYoY売上が+32.2%になる必要があった。この数字は未達になる可能性があると考えていた。

 

しかし1Qだけで顧客企業が33社増えていた。この33社による売上が伸びれば、あるいは達成されるかとも思った。

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新規顧客企業が増えた時は立ち上げ費用がかさんで利益を圧迫するのではないか?

これはIRに確認した。新規顧客企業からは立ち上げに関する初期費用を頂いているので大丈夫だという回答が来た。これについては安心した。

 

 

1Qの決算説明の動画で「創業20周年のパーティーが開かれ、バイトやパート、派遣社員やその家族まで招待した。社員は大切にしている」という話があった。

その一方、10月30日に開催されたプレミアムブリッジサロンの説明会動画では「物流センターは周囲に小学校が5-6校ある地域に建てる。そうすれば子供が小学校に入って手の空いたお母さん達をパートに雇うことができる。他社さんは2,000円近い時給で雇っているようですが、ウチは最低賃金で雇うことが出来ている」と言っていた。

 

実はコレが結構引っかかった。社員を大切にしてるからパーティーにパートさんも呼んだんじゃなかったのか?それなのに最低賃金で雇うことを自慢するのは矛盾していないか?矛盾する事を言う経営者はちょっと嫌だな・・。

まあすぐに業績に影響するわけでもないし、人件費を抑えるのは決算的に悪いことじゃないし・・

そう思ってこの件は一旦忘れることにした。

 

 

2Q前にロットを落とそうかとも考えた。でも出来高が少なすぎて面倒になった。

結局なにもせずに2Q決算を迎えた。

 

 

4.2Q発表、そして暴落

2Q決算が発表された。

上期売上予想6,311百万円に対し5,724百万円。達成率90.6%の未達。

上期営業利益△19百万円に対し、△100百万円。こちらも当然未達。

 

通期予想は売上13,575百万円から11,720百万円へ△13.6%の下方修正。

通期営業利益予想は323百万円から△286百万円へ赤字予想へ転落。

 

当然のように株価は暴落した。

 

 

計画未達の原因は「既存顧客の出荷数量減少」だった。

 

いくら床面積あたりの売上が高くても、物流センターが増えても、運ぶべき荷物がなければ売上は増えない。

私は上手く荷物をさばく仕事効率の計算ばかりやっていたが、そもそも仕事がなければいくら効率が上がっても売上は増えないのだ。

 

 

5.空虚なリカバリー計画

決算説明会資料には「リカバリー計画 Vプラン」なるものが書かれていた。

 

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生産性を上げても売上は上がらない、という現実に気付いたあとで見せられるこのリカバリー計画。

生産性を上げても仕事が無いんでしょう?

それで売上が未達だったんでしょ?

違うの??

 

ところで、「ネステナー等を活用し、それにより空いたスペースを転貸等に活用する」ってあるけど、ネステナーって何だ?

 

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・・ただの棚でした。

 

 

そして説明会の動画を見た。

社長の目は完全に死んでいた。

経営者の苦悩は私のような凡人が知りうるところではないのは間違いない。

でも死んだ目をした社長が率いる企業には投資したくない。

 

 

6.結論

物流代行業者が顧客企業の売上によって業績が上下するのは避けられない。

そして顧客企業の業績を予想するのは無理。

そもそも物流業は固定費がどうしても高くなるビジネス。

 

つまり不安定かつ儲からないビジネスだということがわかった。

高い勉強代だった。

だが血を吐きながら身につけた経験は必ず今後に活かす。

 

 

 

イー・ロジットを買うにあたって物流の本を結構読んだ。

物流の話は面白いんですよ。そして知識はどこかで役に立つ気がしてます。