「せどり」と裁定取引
私が「せどり」という言葉を知ったのは「ビブリア古書堂の事件手帖」という小説だ。
美人で人見知りな古本屋の店長である「栞子さん」が、本に関する事件をいろいろ解決していくミステリー小説だ。シリーズ合計で600万部を超えて売れているベストセラーだし、剛力彩芽主演でテレビドラマ化されたりもした。だからご存知の方も多いと思う。
古本屋の店長というのは、穏やかに本を読んで過ごすことができる一種の理想的な職業だとも思える。そんな職業ですら事件が起こるのだから、穏やかに見えない職業が日々トラブルに塗れるのは仕方がない。
そんな事も考えさせられる話だった。
2.「せどり」とは
さて、「ビブリア古書堂の事件手帖」には「せどり」を行う人が登場する。そのおかげで「せどり」という言葉を知った。
「せどり」とは何か?具体的なやり方を見ていこう。
「せどり」のやり方は以下の通り。
まず、ブックオフなどの古本屋に行く。大量の本の背表紙を見て回り、高く売れる本を見つける。もし、1,000円で売れる本が380円で売っていればそれを買う。買った本を1,000円で売る。これで620円儲かる。
こうやってお金を稼ぐのがせどりだ。
本の値段はどこで確認すればいいか?本はどこで売ればいいか?
どちらもアマゾンが解決してくれる。
本の値段はアマゾンで確認すればいい。アマゾンを使っている人は知っているだろうけど、アマゾンには「マーケットプレイス」というシステムがある。
例えば「ピーター・リンチの株で勝つ」という本は、単行本の定価が1,944円だ。
そしてその下に「1,280円より中古品の出品」という文字が見える。
そこをクリックすると、古本の値段が出てくる。一番安いのは、送料抜きで1,280円だ。この値段が、「ピーター・リンチの株で勝つ」という古本のネット上の価格だ。
本を売るのも、このアマゾンマーケットプレイスが役に立つ。
実際、上の画面を見ると日本各地の古本屋が「ピーター・リンチの株で勝つ」を出品しているのがわかる。アマゾンをプラットホームにして、古本屋が自分の商品を売っているんだ。アマゾンは取引を仲介して、その手数料を徴収する。これがアマゾンのマーケットプレイスの仕組みだ。
このマーケットプレイスは、誰でも出品することができる。
もし、ブックオフで「ピーター・リンチの株で勝つ」が108円で売られていたら買うべきだろう。アマゾンに出品すれば、1,280円で売ることができる。そうすれば1,172円儲けることができるんだ。
せどりのやり方はいくつもある。しかし、基本は同じだ。
高く売れる物を安く買って、その差額を手に入れる。
スマホには、アマゾンでの価格を確認するためのアプリも無料でダウンロードできる。ちょっと手間がかかるが、せどりはかなり確実にお金を稼ぐことができる方法だ。
私も過去に、試しにせどりをやってみた。結果、結構な金額を稼ぐことができた。
3.裁定取引(さいていとりひき)とは
せどりは、商品の値段の差を利用してお金を稼ぐ方法だ。高く売れる本が安く売っている。それを買って売るだけだ。
「ブックオフに落ちているお金を拾いに行こう」
そんなキャッチコピーがせどり界に存在するくらいだ。
同じことが、株式市場でもできることがある。
例えばニトリの株。ニトリの株は東証1部に上場されているが、札幌証券取引所にも上場されている。
2019年7月11日のニトリの株価は、終値で14,765円だった。
もし、東京証券取引所でのニトリの株が14,765円なのに、札幌証券取引所でのニトリの株が14,000円だった場合があったとする。
同じ株なのに765円も株価に差がついた。この時に札幌でニトリの株を買って東京で売れば、瞬時に、確実に稼ぐことができる。100株だったとしても76,500円の儲けになる。
まさに、「取引所に落ちているお金を拾う」という行為だ。
東京と札幌の「価格のゆがみ」を利用してお金を儲けるという方法だ。
このような取引を「裁定取引」という。
まあ、中学生にも分かりやすいように書いた例えだ。実際にこんな事はほぼ起こらない。
マーケットで「価格のゆがみ」ができてもすぐに解消される。確実に儲かるチャンスなんだから、最初に見つけた人がそのチャンスを使ってしまう。
道に76,000円が落ちていたら誰でも拾う。同じように、マーケットに落ちているお金もすぐに拾われる。
何万人もが注目する株式市場なんだからなおさらだ。個人が裁定取引で稼ごうと思っても難しいだろう。
でも、裁定取引の考え方は覚えておくといい。
「価格のゆがみ」は、株取引でお金を儲けるとても重要なポイントなんだ。
↓ 興味のある人は、一度せどりをやってみてもいいと思います。
株式投資にも応用できる考え方が身につく、かもしれないです。