システムディの決算分析、最終回です。
第1回と第2回は以下のリンクから見てください。
1.売上 = 顧客数 ✕ 単価
売上は、「顧客数」と「顧客あたりの売上高」をかけた数字になる。これはどんな商売でもおんなじだ。売上を増やすには、顧客数を増やすか、一人あたりの顧客が買う商品の単価を上げるか。このどちらかしかない。もちろん両方とも上げるのがベストなんだけど。
今回発表されたシステムディの顧客数を6領域に分けてグラフにしてみた。
縦軸は顧客数、横軸は半期ごとに目盛が刻まれている。
少しずつ上昇しているのがわかるが、1年前までの急上昇は認めなくなっている。
横軸の9が今回の第2四半期のデータだ。
横軸の7、つまり1年前の第2四半期までの急上昇は頭打ちだ。とくに公教育と公会計の顧客数増加はポッキリと折れている。
このグラフだけを見ると、株を売りたくなってくる。
しかし実際はVolume Businessの売上を、前年同期829百万円から今年度941百万円へと13.5%伸ばしている。
全体としては、売上高を前年同期比 96.5%と減らしながらも、経常利益を前年比20%まで伸ばしている。
これをどう解釈するべきか。
やはり、「売上高 = 顧客数 ✕ 単価」の式を考えればよいのだろう。
顧客数はそれほど上昇していないのに、13.5%売上が伸びた。これは顧客あたりの単価が上昇したからだ。売り切りのパッケージソフトから、より単価の高いクラウドサービスに移行したから客単価が伸びたのではないだろうか?
また、利益が売上高を超えて伸びているのもいい。
ソフトは一度作ってしまえばあとはコピーして売るだけだ。クラウドならば新しく製品を作る必要すらない。売上が上がった分、そのまま利益が上がっていく。
しかも、前回書いたようにまだまだクラウド化してない顧客が半分以上いるのだ。クラウド化の流れが進めば、そのぶん顧客単価が増え、売上が増え、利益も増える。
そう考えてもいいだろう、と思っている。
2.キャンパスプランスマートのリリース
システムディは6月6日に「キャンパスプランスマート」という新しいソフトをリリースすると発表した。
現在、システムディが学園ソリューション事業として大学向けに提供しているソフトが「キャンパスプラン」だ。学園ソリューション事業には976の顧客がいる。
この「キャンパスプラン」をリニューアルした「キャンパスプランスマート」を新しくリリースしたんだ。
そのソフトの内容は残念ながらわからないが、とても使いやすいらしい ↓
https://www.systemd.co.jp/common/uploads/2019/06/20190606_CampusPlanSmart.pdf
これが導入されれば、間違いなく客単価は上昇するだろう。
ご存知の通り大学の入試制度はコロコロ変わる。それに受験生が振り回されるのがいつもの受験の光景だが、きっと大学の事務の人達も受験生以上に振り回されているはずだ。
そんな大学の事務の人達が、クラウド化され制度が改定されるたびにアップデートされるソフトを欲しがるのは自然な流れだ。
その流れが、この「キャンパスプランスマート」のリリースで進むんじゃないだろうか?
そんな事も考えている。
3.公会計ソリューションの競合ソフトの終焉
システムディは、地方自治体向けの会計ソフトを提供している。PPP(トリプルピー)という名前のソフトであり、全国950の自治体が顧客だ。
地方自治体の会計は、少し前に法律が変わって「複式簿記」を導入しなくてはいけなくなった。その法律改正に合わせてシステムディがPPPを売り出したのだが、現在そのシェアは50%だ。
このPPPの競合に、J-LISの作ったソフトがある。J-LISは地方公共団体情報システム機構という、国の機関だ。J-LISのソフトのシェアは25%、使用料金は無料だ。
この「国が作った無料のソフト」は、2019年3月から有料化された。
しかも、2022年3月31日でのサポート終了が決定している。
25%のシェアをもつ競合が、勝手にサポートを終了してくれるのだ。これはどう考えてもチャンスだ。
当然、システムディもこのチャンスを把握して対応しているだろう。25%全部取れるとは思わないが、伸びしろとして十分な魅力がある。
4.保有継続
というわけで、システムディの保有は継続する。
少し上がったけど、時価総額はたったの48億円。PERも16.16と、お安いままだ。
まだまだ上はあると思っている。
皆さんの意見を聞きたいです。
ぜひコメントなどお願いします。