鳥瞰図、株式投資の始め方
1.株式投資の全体像
決算書の読み方とか、ビジネスモデルとか、各企業の分析とか。
株式投資に必要な知識をひとつひとつ書いているけど、ここらで一度ずっと視点を拡げてみる。カメラをずっと引いて、ドローンで撮影したように、離れた場所から広い視野で株式投資をみてみよう。
株式投資といっても色々あるが、私がやっているのは個別株に対する長期投資だ。自分自身でやってみて、成果が上がっている個別株の長期投資についてのみ書いていきたい。それ以外の方法も無数にあるが、よく知らないことは書けないので書かない。
個別株の長期投資は以下の手順で行われる。
良さげな企業を探す。その企業の値段を見る。安かったら買う。上がったら売る。
これで儲けることが出来る。実に簡単そうだ。
実際の流れは1行で書けるけど、その過程はもっと複雑だ。複雑だけど、あんまり細部ばかりにこだわっても全体像を見失う。まずは全体像を把握したい。
東京から北海道に行くためには北上する必要がある、という事を理解するんだ。その後でひとつひとつの道と交通手段を検討していけばいい。
過程をもう少し細かくみると、こんな風になる。
① 企業をさがす。
② 企業のビジネスモデルを流れとして理解する。
③ 決算書を読んで過去の業績を数字で理解する。
④ ②と③を踏まえて今後の業績の予想を立てる。
⑤ ②~④と現在の時価総額を比較して安いかどうか判断する。
⑥ 実際に買う。
⑦ 安い株価が見直され、適正価格になったら売る。
これが長期での株式投資のやり方だ。
2.7つのステップを詳しく確認していく
上に上げた7つのステップをどうやってクリアしていくか。その手段を順番に確認していこう。
① 企業を探す
企業の探し方は、なんでもいい。
四季報を最初から全部読んでいく人もいる。「営業利益率20%以上」などという条件ででスクリーニングしていく人もいる。雑誌で紹介された企業でもいいし、このようなブログで紹介されていた企業でもいい。自分のよく使う商品やサービスを売り出している身近な企業でもいい。
きっかけは本当になんでもいい。
人間関係でも、出会うきっかけはなんだっていいだろう。
お見合いであれ、職場結婚であれ、幼なじみであれ、出会い系アプリであれ。
きっかけは何だっていい。重要なのはその次の段階からだ。
② 企業のビジネスモデルを流れとして理解する。
気になる企業があったら、そのビジネスモデルを調べる。
まず、それぞれの企業の決算説明資料を読んでみると全体像がつかみやすい。上場している企業でサイトを持っていない企業は存在しない。その企業のビジネスをちゃんと理解して、自分で説明できるようになっておく必要がある。
自分で説明できるかどうか?これは、自分が「わかっているのか」「わかったつもりになっているだけ」なのかを区別する手段だ。わかったつもりになっているだけ、なら株は買ってはいけない。
③ 決算書を読んで過去の業績を数字で理解する。
文章でビジネスを理解するのは国語力だ。
それを押さえた上で、次に決算書を読んでいく。読み方はこのブログでも少し書いたし、今後も書いていく予定だ。数字の理解が必要になるのはこの段階だ。
もちろんビジネスモデルは数字に表れるし、数字に強い人は決算書の数字からビジネスモデルを理解することが出来る。でもこれは玄人向けの方法だ。初心者はまず国語力を駆使してビジネスモデルを理解するべきだろう。
④ ②と③を踏まえて今後の業績の予想を立てる。
決算書は過去の数字が書かれているだけだ。未来の予想も書かれているが、これはただの予想(あるいは願望)だ。決算説明資料にも企業の願望が色濃く表れている。
これらを真に受けてはいけない。今後もその企業が成長していくのかどうか、その可能性を自分で判断する必要がある。この段階が一番難しく、また楽しい所だ。ここでも、やっぱり参考になるのはビジネスモデルだ。現在のビジネスモデルが、将来状況が変わってももちゃんと機能するか?成長の余地はどのくらいあるか?そんな事を考えて予想を立てる。
3年後、5年後の企業の業績はどうか?自分なりに考えてみよう。
⑤ ②~④と現在の時価総額を比較して安いかどうか判断する。
④まで調べて、やっぱりすごい企業だという事がわかった。その後に確認するのは企業の値段だ。すごい企業は高い。しょぼい企業は安い。
すごい企業だとわかっても、ものすごく高い株価がついていれば、それ以上あがるのは難しいかもしれない。低い株価しかついていない企業は、安い株価にふさわしいレベルの企業である可能性がある。
すごい企業を安く買うのが一番安全で成功率が高い。それを見つけるのが楽しい。
1万円で売れる希少本が、ブックオフの108円コーナーに置いてあったら買うだろう。買って別の古本屋に持っていけば9,892円の儲けだ。そんな本を探すのは楽しいと思わないか?
本来1万円で売れるような株を、5,000円ほどで買っておけば間違いない。それが長期投資の基本だ。そのためには、企業の価値がわかる人間にならないといけない。
⑥ 実際に買う。
⑤までやって、安いと思ったら買う。自分の大切なお金を使って買うんだ。
これはどきどきする。
⑦ 安い株価が見直され、適正価格になったら売る。
株価は、最終的に企業の価値に合わせた値段になる。安いと思えばみんな買うからだ。安い株価はいつまででも放置されていない。やがて株価が上がっていく。
もう安くなくなったな、そう思ったら売る。
3.株は、高価な買い物だ
流れはこんな感じだ。
このブログでは、決算書の読み方とかビジネスモデルとか、いろいろ記事を書いている。今はどのステップの話をしているのか、理解しながら読んでいってほしい。
このようなステップを踏まずに、なんとなく株を買う人もいる。100万円以上のお金をつかって、あっさりと株を買っている。
数万円の電気製品とか、あるいは298円の生鮮食品とか。そんな株よりずっと安い買い物をする時に、すこしでも安くて良い品を選ぼうと時間と労力をかけているのに。
スーパーで380円の刺し身のパックを選ぶとき、少しでも美味しそうなやつを選ぼうと6分の時間かけるひとなら、38万円の株を買う時に 10時間かけて企業を分析しないと理屈に合わない。それなのに、「なんとなく」「有名な投資家の〇〇さんが買ってたから」なんていう理由で1時間も調べずに株を買う。それはおかしいだろう。
ちょっと大変そうだ、と思った?
そう思う人が多ければ多いほど、ちゃんと努力した人にチャンスが回ってくる。そういう仕組みになっているんだ。
努力してお金をつかむ人になるか、努力せずにお金を失う人になるか。
好きな方を選ぶといい。自戒をこめて、書く。