中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

信用取引をより理解するため、とりあえず3つのこと

道具箱のイラスト

前回、前々回と、信用取引について書いた。

やや信用取引の危険性ばかりを強調してしまったかもしれないが、信用取引は株取引のひとつの道具だ。上手く使えば何倍も早くお金を増やす事ができる。ちょっと危険な道具ではあるけど。

 

信用取引は隣の県にジェットエンジンがついている自家用飛行機を操縦して飛んでいくようなものだ。すごく早く到着できるが、技術がなければ飛行機は落ちる。嵐が突然やってきて、技術のあるパイロットでも墜落してしまうかもしれない。

なにも飛行機を使わなくても、クルマを運転して行けばいい。時間はかかるが問題なく到着できる。隣の県に行くだけなのだから。道に迷うこともあるだろうけど、ちゃんと調べれば大丈夫だ。注意深く行けば命にかかわるほどの事故を起こす確率は低い。途中で休むことも、仮眠することもできる。

 

 信用取引を上手に使うためには、飛行機の運転以上に技術と運が必要だ。もちろん私にはそんな技術も運も持ち合わせていない。だから信用取引には手を出さない。

信用取引に対し、自分のお金だけで株式投資を行うことを「現物取引」という。このブログでは、現物取引のみの株式投資をオススメしています。

 

 それでも信用取引がどのようなものか知ることは重要だ。前回までで信用取引のおおきな仕組みを書いた。今日はもう少し細かいところまで書いていきたい。

 

 

1.お金を借りると利息がつく

信用取引の買いとは、お金を借りて株を買うシステムだ。お金を借りるのだから、もちろん利息を払わなくてはならない。信用売りの場合は株を借りてまず売る。株を借りるときも、やっぱり貸株料としてお金を払わなくてはならない。

金利は証券会社によって変わるが、大体2%から3%ほどに収まる。3%程度なら大したことはないと思うだろうけど、勝っても負けても払わなくてはならない手数料は馬鹿にならない。長期的に見ると、間違いなくこの3%程度の金利は投資成績の足を引っ張る事になる。

 

 

2.制度信用取引一般信用取引

信用取引の制度には、「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類がある。

一般信用取引とは、それぞれの証券会社が個別に行う信用取引だ。お金を借りる時の金利もバラバラだし、信用売りができるところも少ない。しかしほぼすべての銘柄の信用取引ができる。

一方、制度信用取引とは証券取引所が行う信用取引だ。こちらの方は証券取引所の審査をクリアした銘柄のみ、信用取引ができる。金利一般信用取引と比べてやや安く、2.8%程度になっている。

ただし、制度信用取引は6ヶ月という期限がある。6ヶ月を超えてしまえば、買った株が上がっていようが下がっていようが強制的に売られる。

 

 

 3.追証(おいしょう)というものを要求される事がある

 30万円の元手で100万円分の株を買うことが出来る、という話を前々回に書いた。でもこれはわかりやすくするために書いた例で、本当はここまで限度いっぱいの信用取引をすることは少ない。なぜか?

例えば30万円の元手で100万円分の株を買った場合、「30%分の保証金がある」と計算される。信用取引は、最低30%の保証金を積まないと開始できないルールになっている。

 

30万円の元手で100万円分の株を買い、それが86万円に値下がりした場合はどうなるか。

14万円の値下がりだが、元手の30万円が14万円減って16万円になったと計算される。16万円の元手で86万円の株を持っている状態なので、保証金は18.6%しか積んでいない事になる。

保証金の最低維持率は証券会社によって違うが、20~25%と設定されている。

18.6%では最低限の保証金を積んでいないルール違反の状態なので、証券会社から電話がかかってくる。「もっとお金を入金してください」。

これが追証だ。

 

もともと十分なお金が無いから信用取引をしているのに、更に現金を振り込めと言われる。既に投資で負けているのに、更にお金を注ぎ込む事になる。こうなれば、もう損失が損失を呼び、負けが負けを呼ぶような泥沼だ。

 

追証が入金できない場合、強制的に取引を終了させられる。買っていた株が強制的に売られるので、もともと下がっていた株価は更に下がる。株価が下がれば、保証金を十分積んでいたはずの、余裕のある取引をしていた他の人にも追証がかかるようになる。その人達も株を売ることになって、更に株価が下がる。

こうやって株価は暴落する。

 

 

4.なぜ信用取引について学ぶのか

 信用取引については他にももっと書くことがあったんだけど、ちょっと疲れたのでこの辺で止めておく。結局今回も信用取引の怖さについて書いてしまった。

 

信用取引なんて怖いから絶対やらない!と思った?

それでも信用取引の仕組みを理解する事は必要だ。

 

1.の金利については、自分の持っている株を貸して貸株料を受け取ることができる。

2.の制度信用取引には6ヶ月という期限がある。たくさん買われた6ヶ月後は、株価が下がるという目安になるかもしれない。

3.の追証については、株価暴落の仕組みそのものだ。暴落するときは、株を安く買うチャンスだ。

 

 制度をよく理解していれば、このようにそれを利用する事ができる。

株式投資でも人生一般でも、正しい知識はその人の味方だ。味方を増やしておけば、戦いも有利に進めることができるんだ。