最近所有している株に色々あった。そのため強烈な株価下落に見舞われた。
株価下落が起こった時にどう動いたかを残すため、企業の分析記事などを書いてみた。でもこのブログの趣旨は、中学生向けの株式投資解説だ。だから今日は初心に戻り、投資の基礎的な知識について書く。「渋谷ではたらく社長の告白」の記事でも書いた、自社株買いについてだ(藤田晋「渋谷ではたらく社長の告白」を読んだ -)。
かなり前になるが、増資について書いた(「増資」という青天の霹靂 - )。
増資は発行済株式数が増える。株数が増えると一株あたりの価値が薄まってしまい、その分株価が下がる。以前からの株主にとっては実に嫌なイベントだ。
そんな事を書いたのだけど、覚えているだろうか。
では逆に、株数が減るというイベントはないのだろうか?
株数が減れば、一株あたりの価値が高まり、その分株価が上がるはずだ。株主にとってはとてもありがたいイベントだ。
株数が減るイベントは存在する。それが自社株買いだ。会社が、会社のお金を使って市場で売られている自社の株を買うのだ。
自社株買いを行うとどんな事が起こるのか?今までの復習も兼ねて細かく見ていこう。
いつもと同じ例だが、一年に100万円の利益を出す会社があるとする。この会社の当期利益は100万円だ。
発行済株式数が10,000株ならば、当期利益を発行済株式数で割ればEPSが出る。
一株当たり利益(EPS) = 100万円 / 10,000株
= 100円
この会社の一株当たり利益(EPS)は100円だ。
ここで、この会社が1,000株の自社株買いを行った場合。株式数は1,000株減って9,000株に減少する。当期利益は変わらないので、一株当たり利益は上がる。
一株当たり利益(EPS) = 100万円 / 9,000株
= 111.1円。
一株当たり利益が111.1円と、11%以上上がってくる。
株とは会社の所有権だ。いままで1株あたり1/10,000の所有権だったのに、1,000株の自社株買いの後は 1/9,000の所有権に増加する。いままでは株主の1株あたりの取り分が100円だったのに、自社株買いの後は1株あたりの取り分が111.1円に増える。株数が減ったおかげで、一株当たりの価値が上がるのだ。
だから株価が上昇する。
配当のように直接株主にお金を配るわけではないが、自社株買いは会社の持っている現金を使って株主に利益を分ける方法のひとつだ。
そんな理由で、自社株買いが発表されるとそれだけで株価は上がる。自社株買いは、特に株価が暴落している時に行うのが効果的だ。安くなっている株を買えば、同じ金額でもたくさんの株を買うことができる。たくさん買えば、その分一株当たりの価値が大きく上がるからだ。会社にとっても株主にとっても、暴落したときは自社株買いを行うチャンスだと思う。
サイバーエージェントの藤田社長が株価下落に悩んでいた時は、当然だが株価が下がっていた。そして会社には現金がたんまりと残っていた。そんなに悩むなら自社株買いをすればよかったのに。
そう思うのは経営を知らない素人の発想なのだろうか。
ちなみに会社が自分で買った株はどうなるか?蛇足かもしれないが、それについても書く。
自社株買いされた株は、そのまま保存されるか、償却されるか、処分される。
処分とか、償却とか、ちょっと何言っているかわからないと思うが、そんなに難しくない。
自社株買いをした株がそのまま保存される場合は、特に何も起こらない。詳しい説明は省くが、会社にとっては乗っ取りを防ぐための防波堤として使うことができる。また、やる気を奮い立たせるために、従業員に安く売るという場合もある。これはストックオプションという制度だけど、それについてはまだ詳しく知る必要はないと思う。
自社株の償却とは、消滅させることだ。これが一番株主にとってはありがたい。消滅させた株は、もう二度と復活しない。確実に一株あたりの価値が上昇する。
処分とは、一度買った株をまた売り出すことだ。売り出されればまた株数が増えるので、自社株買いを行った意味がなくなる。株価も下がって元に戻るだろう。そんな事をするような会社は株主の信用を失うし、株価も元に戻るレベルでは済まないくらいに下がるはずだ。