中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

株主優待券目的の投資とタスコシステムの思い出

サイクリングのイラスト(男性)

私は基本的に株主優待券を狙った投資はしない。その理由は以下の通りだ。

 

・田舎に住んでいるので割引優待券を使う店がない。

・欲しくないものをもらっても仕方ない。

株主優待券程度の金額は、日々の株価の変動ですぐ吹っ飛んでしまう。

・株価が優待券の分を超えて下がれば損をする。結局値下がりリスクを考えると割に合わない。

 

株主優待券と言えば「桐谷さん」が有名だが、優待券を消費するために自転車で駆け回るような生活はできない。それは本末転倒なんじゃないか?と思ってしまう。優待券に振り回される生活、というのはちょっとどうかと思う。

まあ楽しそうだけど。仕事を引退したら試してみるかな。

 

また、株主優待券をタダ取りする「優待クロス取引」という方法もやっていない。

優待クロス取引とは、優待券を貰える「権利確定日」の前日に株を買い、同時に信用取引を使って空売りする。その後に買った株を、信用取引空売りした株の返却に使う。そうすれば株価の値動きと関係なく、証券会社の手数料だけで株式優待券が貰える。

そういうやり方は知っているが、面倒くさくてちょっとやれない。信用取引の口座も開いていないし。

↓ 信用取引については最近いろいろ書いてみたので、是非読んでください。 

 

 

でも駆け出しの頃、株式優待券のみを目的にして株を所有していた事がある。「タスコシステム」という会社だ。今日はタスコシステムの思い出について書きたい。

 

タスコシステムは、「北前そば高田屋」「とり鉄」「月の虎」などの飲食店チェーンを展開していた企業だ。創業の地は札幌市で、北海道や関東を中心に一時期100を超える店舗を運営していた。ピーク時の2003年は、売上高が182億円を超えていた。

 

私がこのタスコシステムの株を買ったのは2002年だったか。その時の株価は85,000円ほど。85,000円の株を持っていると、半年ごとに5,000円の株式優待券が貰えた。優待券で食事をし、食べた後にアンケートに答えて会社に送付すると、更に5,000円の株主優待券が貰えた。つまり、5,000円の優待券が年に4回も貰えた。これに加えて1,000円の配当金も貰えたので、合計で年間の21,000円の収入になる。配当+優待券で年率24.7%だ。

この5,000円の株主優待券で年に4回、タスコシステムの「月の虎」でカミさんと焼き肉を食べる。それがその当時の定期的なイベントだった。小さな娘を座敷に寝かせて、カミさんと2人で焼き肉を食べた。食後のアイスクリームも食べた。ちょっと懐かしい。

「株なんていつ紙切れになるかも分からない。全然信用できない。」

その時代、カミさんはよくそんな事を言っていた。タスコシステム株主優待券による定期的な焼き肉は、カミさんの株式投資への理解を進めたのではないかと思う。

 

その後、家族と共に引っ越した。引っ越し先は近所にタスコシステムの展開する店が無かった。優待券が使えないので、タスコシステムの株は売った。株価は100,000円になっていた。保有期間の優待券や配当を考えると、ずいぶんいい投資ができたと思った。

 

タスコシステムはその後業績が悪化した。2008年12月に上場廃止となり、2016年6月15日に倒産した。

タスコシステムの株主だったころ、私はその業績全く無関心だった。単に半年ごとに1万円の優待券をくれる企業だとしか考えていなかった。

私の引っ越しは、タスコシステムの業績悪化より先だった。楽しく焼き肉が食べられたのはそのお陰だ。順番が逆だったら株価がもっと下がっていた。楽しさも中くらいの焼き肉を何度かやった後で、優待廃止の憂き目に合っていた。

タスコシステムで楽しめたのは、ただの運だ。

 

運に頼って優待生活を楽しみたいとは思わない。株主優待は、株式投資の入口としてはいいと思うけど、それを唯一の目的にするのはハイリスクだ。企業の業績が下がれば株価も下がり、優待も廃止される。優待目的でも企業の業績はきちんと見ていく必要がある。

多数の企業の業績をフォローしていくのはちょっとしんどい。フォローしなければ業績悪化と優待廃止、株価下落と、痛い目にあうリスクが増える。

という訳で、優待目的の株式投資は効率が悪いんじゃないかと考えている。

 

 

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