株式投資とビットコイン/お金を産むもの産まないもの
1.仮想通貨取引は難しい。間違いなく。
ちょっと前、株式投資と不動産投資を比較した話を書いた。不動産投資は難しい。不動産業界にいた訳でもない素人が始めるのは勧めない、という話だ。
今日はその続き。
世の中には無数の投資先がある。そんなに見聞が広くない私でも、株式、債権、FXなどの外貨、不動産、骨董品、美術品、ダイヤモンド、貴金属、商品先物、オプション、仮想通貨などがすぐに思いつく。
その中で、今日はビットコインに代表される仮想通貨取引について書く。
私は仮想通貨取引に手を出したことは一度もない。経験もないのだから、本来こんな記事を書くべきではないのかもしれない。でも間違いなく難しい事はわかる。
その根拠について書きたいと思う。
2.仮想通貨は何も産まない
以下にいくつかの投資先を挙げた。これを2つのグループに分けてみてほしい。
目黒区のアパート、貴金属の「金」、婚約指輪に付いているダイヤモンド、
上の6つの投資先は、ある特徴で2つに分けることが出来る。
答えは先にあるんだけど、まず自分で考えて下さい。
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考えましたか?
答えは、
A:目黒区のアパート、日本国の国債、ホンダの株
B:貴金属の「金」、婚約指輪に付いているダイヤモンド、ビットコイン
に分けることができる、でした。
上記のAとBのグループは何が違うか?順番に説明していきます。
目黒区のアパート
アパートは不動産だ。
5,000万円で買った後に、6,000万円で買いたいという人が現れれば、売って儲けることが出来る。このような転売目的でアパートなどの不動産を買う人はいる。
しかし、もっと高く買ってくれる人が現れなくても、住みたい人が現れれば家賃収入が入る。毎月30万円の家賃が入るのなら、年間で360万円。5,000万円に対して7.2%の利息が発生するのと同じだ。
アパートなどの不動産は、家賃収入というお金を産む。
日本国の国債
国債とは、国にお金を貸す借用書だ。日本国の国債を買うということは、日本政府にお金を貸すことと同じだ。お金を貸すのだから、利息をもらうことが出来る。
令和元年5月現在、日本国の国債を買うと、0.05%の利息をもらうことが出来る。つまり100万円分の国債を買うと、年間500円もらえる。実際手に入れることが出来る金額は、500円から税金を引いた398円なんだけど・・。
小学生の小遣いかっ!と突っ込みたくなるが、それでも国債は利息というお金を産む。
ホンダの株
ホンダの株を買うということは、ホンダという会社の一部を買うことと同じだ。
ホンダは日々クルマやバイクを作って売って、お金を稼いでいる。ホンダの一部を所有するわけだから、ホンダの稼いだお金の一部は自分のものになる。
3,000円で100株買ったホンダの株を4,000円で売ることができれば、10万円の儲けになる。しかし株価が上がらなくても、ホンダの株主はホンダの稼いだお金の一部を受け取ることができる。ホンダの稼いだお金の一部は、「配当」として株主に配られる。
5月10日の終値で、ホンダの株価は2832円。ホンダの一株あたりの配当額が112円の予定となっている。つまり、ホンダの株を100株買うと、配当金が11,200円もらえるわけだ。利息としては3.95%になる。まずまずの額だ。
株を買うということは会社の一部を買うことだ。会社なので、当然お金を産む。株主は配当金という形でそれを受け取ることができる。
貴金属の「金」
金も買うことができる。2019年5月10日現在、1gの金を4,950円で買うことが出来る。100gの金の延べ棒は49万5000円だ。
この金を100g買ってみる。金の値段が上がり、1年後の買取価格が1g5,500円になっていれば、5万5,000円の儲けが出る。
金の値段はいろいろな事で変化する。新しい金鉱山が発見され、金が増産されれば金価格は下がる。工業製品の原料として金の需要が高まれば金価格は上がる。戦争が起きて世の中が不穏になれば、金価格は上がる。
でも、金はただの金属の塊だ。金属の塊はお金を産み出さない。
婚約指輪のダイヤモンド
ダイヤモンドは金とともに、富の象徴かもしれない。値段の割には小さいので、難民が身につけて運ぶには便利だろう。私もいつかこの国を追放されることがあれば、胃の中にダイヤモンドを隠して出国する予定だ。
まだダイヤモンドは手に入れていないが。
しかし、ダイヤモンドはただの物体だ。もちろんお金は産み出さない。
博物館に並べれば見学者が来るほど大きなダイヤモンドなら、入場料収入を生むかもしれない。しかし、我々はオスマントルコのスルタンではない。そんなデカいダイヤモンドを手に入れることはできないだろう。
ビットコインに代表される仮想通貨は、極論を言えばネット上のデータだ。ビットコインを欲しがる人が多ければ値段が上がり、売りたい人が多ければ値段が下がる。買いたい人の需要と、売りたい人の供給のみが、仮想通貨の価格を決める。買いたい人が全くいなくなれば、ビットコインは即座に無価値となる。
もちろん欲しがる人が急増すれば、急激に値段が上がる。それで大儲けした人がいるのも事実だ。
でも、ただのデータはお金を産み出さない。
Suicaも、銀行口座の残高も電子データだ。なぜビットコインだけ特別に敵視する?
そう思うかもしれない。しかし、Suicaや銀行口座の残高は現金で保証されている。現金は日本国が保証している。日本が滅びに瀕すれば円は無価値になるだろうけど、あと数百年は大丈夫だろう。
3.お金を産むもの、産まないもの
株や不動産、国債などはお金を産む。お金を産むものは無価値にはならない。
株なら、その企業がお金をどれだけ稼ぐか、どのくらい配当を出すかで、理論的な株価を決めることが出来る。不動産や国債も同様だ。
そしてお金を産むものは、ずっと持っていても構わない。お金を産んでくれる限りは。
しかし、貴金属や宝石、仮想通貨はお金を産まない。価格はだた、需要と供給のみで変動する。欲しがっている人が多ければ値上がりする。売りたがってる人が多ければ値下がりだ。
貴金属の金には数千年の歴史があって、欲しがる人が急にいなくなる事は考えにくい。でも、ビットコインはどうだろう?急に人気がなくなって、ほぼ無価値になるかもしれない。急に人気が出て、大儲けできるかもしれないけど。
需要と供給のみで価格が決まる、ただの電子データ。この値動きをあらかじめ知ることはとても難しいと思う。
少なくとも私には全然わからない。
わからないものには投資しない方がいい。これは、投資の鉄則だ。