・・腐ってやがる・・・遅すぎたんだ・・。
3回にわたってプレミアグループの企業分析とMSワラントについて書いた。もはや旬は過ぎた。でも書きたいことは書く。
というわけで続き。
ここで、MSワラント発行のアナウンスから取り下げまで、その流れを時系列で考えてみる。時系列を「私が考える」だけなので、事実と異なる可能性は十分ある。
1.時系列の予想
プレミアグループの社長はもっと会社を大きくしたいと考えた。
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早く会社を大きくするために、自動車関連の企業を買収したいと思った。
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企業を買収するにはお金が必要。でも銀行からお金を借りると借金が増え利息も増えて、会社の安全性が低下してしまう。
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それはイヤだから増資することを考えた。しかし増資は株数が増えて株価が下がるからなあ。
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そこに野村證券の営業の人がやってきた。
「MSワラントっていういい方法があるんですよ。通常の増資は一気に発行済株式数が増えてその分株価が下がりますよね。でもMSワラントっていう方法を使えば、発行済株式数が少しずつ増えるから株価があんまり下がんないんですよ。」
「しかも一部上場に上がる時を狙ってやれば、株価に対する影響は少なくて済みます。むしろ株価があがるかもしれない。」
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社長:「そんないい方法があるのか!じゃあMSワラントで資金を調達する!!」
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MSワラント発行。株価大暴落。
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世の中の投資家:
「プレミアグループの社長は株主を軽視している」
「ここの社長は資本コストの計算も出来ないバカなのか・・。」
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社長:「話が違うじゃないか!MSワラント中止!」
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株価はまだまだ。カンタンには戻らない。
いずれにしても、MSワラントを発行するというIRで株価は大暴落した。暴落した株価はそんなカンタンには戻らない。社長は、今まで以上に株価の変動に敏感になるだろう。何らかの株価対策を打ってくる可能性も十分ある。優待とか、配当増加とか。
長い目でみれば、そのような短期の株価対策が会社にとって正しい施策なのかはわからない。でもそれを期待している自分もいる。
2.このゴタゴタで得をしたのは誰なのか?
MSワラントは発表されて、取り下げられた。
このゴタゴタで、一体だれが得をしたのか?順番に考えてみる。
① 既存の株主
もともとプレミアグループの株を所有していた株主は、株価暴落の直撃を受けた。3割の株価下落の後で損切りをした投資家は、確実に損をした。本当に、一番の割りを食ったのは既存の株主だ。経営陣は株主の多少の恨み言については謹んで聞いてほしい。
② プレミアグループ
MSワラントのゴタゴタと、それによる株価暴落。その後、投資家向け説明会等を積極的に行ったが、株価はまだまだ回復していない。信頼も回復していない。MSワラントは中止したので資金の調達も出来ていない。
信頼を失い、お金も手に入らなかった。決して得をしたとは言えない。
③ 暴落後、底値で買った株主
暴落後に勇気を持って買った株主は、その後の株価上昇で報われるかもしれない。しかしこれはリスクに対する報酬だ。怖くて誰も買えないところで、勇気を持って買ったのだ。その後の株価上昇で報われたとしても、それは得をしたとは言えない。正当な報酬を受け取っただけだ。それに、まだまだ下がる可能性もあるんだし。
底値で買った人はすごい。でも得をした訳じゃない。
④ 野村證券
MSワラントを買い取るはずだった野村證券は、本来リスク無しで濡れ手に粟の大儲けをするはずだった。しかしMSワラントは中止になった。当然お金は手に入らない。
既存株主の一人である私も、プレミアグループに対する怒りより野村證券に対する怒りの方がずっと強い。もし野村證券の営業の人が何かを売りに来たら、
「御社のMSワラントなら買います。もちろん空売りもしますよ。貸株もよろしく。」
と、皮肉のひとつも口に出すかもしれない。
MSワラントなんていう既存の株主の財布からカネを奪っていくような制度は、日本の株式投資そのものを衰退させる。そんな事を、業界トップの企業が行うのはやっぱりどうかしている。株式投資が衰退すれば、証券会社である野村證券も衰退する。
MSワラントの発行で儲けるのは、自分の畑に塩を撒くような行動だ。
野村證券のこのような悪事は今回で広く知れ渡った。これは大損だろう。野村證券の営業の人は、今後その逆風を体中で感じることになる。
自業自得だが。
こうやって見ると、誰一人得をした人が居ない。戦争に本当の勝者はいない。
3.このゴタゴタが無かったとしたら、プレミアグループは買いか?
株主の信頼を失ったとは言え、プレミアグループ側には悪気が無かったと思う。一番最初の「空想の時系列」に書いた流れが、私の予想だ。別に株主を軽視している訳じゃないんじゃない。ちょっとうっかりしただけだ。
では、もし今回のゴタゴタが無かった場合。プレミアグループは買いか?
この問に自分なりの答えを出して、私は株主を続けている。
一株も売っていません。
それがどのような結果となるか?
先のことはわからない。