中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

正しい借金、正しくない借金、奨学金

借金を抱えた男性のイラスト

 

株式投資について悪いイメージを持つ人はまだまだ多い。

投資で儲けることは「生臭くて」「ずるい」方法であり、汗水たらして仕事して稼ぐ事こそ「正しい」と考えている。

あるいは株式投資は時に大損して破産したりするほど「危険」な事であり、仕事をして稼ぐ方法こそ「安全」だと考えている。

多分、他人が儲ければ「ずるい」と考え、自分がやるには「危険」だと考えるのだろう。確かに人が楽して儲けるのは気分が悪いし、自分が損をするのはもっと気分が悪い。

 

株式投資で損をするリスクを取りたくないけど、人が楽して儲けるのを見るのも嫌だ」そう考えている人は、投資そのものを憎悪する。世の中に株なんて無ければ、楽して儲けている人を見る事もない。そう考えるようになる。

「清貧の思想」とか「吾唯足るを知る」とか「ミニマリスト」とか。物やお金への執着を戒める言葉は無数にある。これらの思想が更に投資に対する憎悪を後押しする。

 

実際は「リスクを取りたくない」というのは臆病だし、「楽して儲ける人を見るのが嫌」というのは嫉妬だ。投資の勉強をするのが嫌だとか面倒だとか言うのは怠慢だ。臆病で嫉妬深くて怠慢なだけなのに、投資をしない自分を偉いと考えている。それはちょっと違うんじゃないかと思う。

 

 

投資と同じように、借金についても悪いイメージを持つ人が多い。

ブログの一番上に載せている「いらすとや」で、借金という言葉で検索してみた。すると、やっぱり苦しそうな人のイラストばかりが出てくる 借金の検索結果 | かわいいフリー素材集 いらすとや。気持ちはわからないでもない。

でも今回は「正しい借金」について書いてみたい。

 

どんな企業でも何らかの形で借金をしている。借金をせずには会社を経営することは出来ない。会社の数字を理解するためにも、まずは正しい借金について押さえておきたい。

 

例えばあなたが専業農家だとする。

ある程度の水田を所有しており、そこから年間2000万円分のコメが収穫できる。稲作に必要なトラクターやコンバインなどの農機も自分で所有しており、経費や税金その他を払ったあとも、毎年1000万円のお金が残る。

農繁期は忙しいが、農機の性能が良いので仕事は早めに終わる。まだまだ余力を残した状態で1日を終えることができる程度だ。

 

ある日、近所の米農家のおじいさんがパラオへ移住することを決断した。青い海を見ながら余生を過ごしたい、そう考えたらしい。そのおじいさんが、あなたに水田を買わないかと提案してきた。価格は3000万円だ。

おじいさんの水田は年間1000万円分のコメが収穫できる。既にあなたはトラクターその他の農機は十分そろっている。計算すると、年間700万円くらいの利益が出そうだ。自分が少し頑張って働けば、年収が700万円アップする。水田の価格が3000万円ならば、5年もすれば十分回収できる。3000万円というのは、おじいさんとの日頃からの付き合いがあってこその値段のようだ。

 

しかし、あなたにはほとんど貯金がない。農機の購入や子供の進学などでお金がかかってしまったからだ。払うお金は持っていない。だけど確実な収入アップにつながる水田が、明らかに安い値段で手に入るチャンスだ。どうすればいいだろうか?

 

こういうときこそ借金だ。水田を担保にすれば、利息は2%で借りれるという。

あなたは5年間で3000万円の借金をすべて返し、その後は年収1700万円の農家になることができた。

これが正しい借金だ。

 

 

正しい借金とは、以下の2つの条件を満たす借金だ。

1.問題なく返済できる事

2.借金をする事で、よりお金を稼げる事。あるいは節約になる事。

 

逆に正しくない借金は、以下のいずれかを満たす借金だ。

1.返済するのがキツい事

2.お金を稼げない事

 

返済できない借金は正しくない。借金の悪いイメージはここから来ていると思う。利息が重くのしかかり、返済期限が気になり、仕事にも集中できない。借金は、個人でも企業でも、問題なく返済できる範囲内でするべきだ。

 

借金は、上に書いた農家のようにお金を稼ぐ目的で行うべきだ。

遊びやギャンブル目的に借金をしてはいけないのは当然だが、収入レベルに合わないクルマやマイホームのためにも大きな借金をしてはいけない。

ちなみに、奨学金はお金を稼ぐ目的で借りる借金だ。大学に行ってきちんと知識やスキルや資格を身につければ、将来的に収入アップとしてお金が帰ってくる。これは正しい借金だ。

あくまでも「将来稼ぐためにお金を借りている」という意識があれば、だけど。

大学に行っても、ただ4年間ぼんやりと過ごすだけでは知識もスキルも資格も身につかない。それでは将来の収入アップにつながる訳がない。奨学金は、あなたがより稼げるようになるためお金を貸してくれる。4年間遊ぶために貸してくれた訳じゃない。

 

 

個人の借金について書いた。しかし企業の借金でも同様の事が言える。

投資する企業が無理な借金をしていないか?どのくらいの額の借金があるか?その借金はお金を稼ぐためにやっているのか?

そんな事を調べる方法について、近日書きます。

 

 

借りたら返すな! ―――いちばん得する! 儲かる会社に変わるお金の借り方・残し方