中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

「増資」という青天の霹靂

 

米農家のイラスト(農業)

 

晴天の霹靂(へきれき)とは、直接的には「晴れ渡った空に突然鳴り響くカミナリ」という意味だ。何の前触れもなく衝撃的な事件が起こる、という意味のことわざになっている。

 

昨日、株価収益率(PER)を出す時は、「時価総額を当期利益で割る」よりも「株価を一株利益で割る」方が良かったりするよ、なぜかというと時々「変なこと」が起こるからだよ、という話を書いた。「当期利益と一株当たり利益 -

今日はその続き。

 

「変なこと」とは何か?それこそが「増資」だ。

増資とは、会社が株を追加して発行して売り出してしまうことだ。これが起こると一株あたり利益が下がって、株価が下がる。何の前触れもなく発表され、株主をがっかりさせる。まさに晴天の霹靂だ。今回は増資について書く。

 

毎回おなじだが、一年に100万円の利益を出す会社があるとする。この会社の当期利益は100万円だ。

発行済株式数が10,000株ならば、当期利益を発行済株式数で割ればEPSが出る。

一株当たり利益(EPS) = 100万円 / 10,000株

            = 100円

この会社の一株当たり利益(EPS)は100円だ。

 

 ここで、突然この会社が新たに1,000株を追加で発行した場合。発行済株式数は1000株増えて11,000株に増加する。当期利益は変わらないので、一株当たり利益は下がる。

一株当たり利益(EPS) = 100万円 / 11,000株

             = 90.9円。

一株当たり利益が90.9円と、10%近く下がってしまう。

株とは会社の所有権だ。いままで1株あたり1/10,000の所有権があったのに、発行済株式数が増えた後は 1/11,000の所有権に減ってしまう。いままでは株主の1株あたりの取り分が100円だったのに、発行済株式数が増えた後は1株あたりの取り分が90.9円に減ってしまう。株数が増えたせいで、一株当たりの価値が下がってしまうのだ。

 

これが増資だ。何の前触れもなく発表され、株価がドカンと下がる。

 

株価収益率(PER)= 株価 / 一株当たり利益(EPS) ・・①

なので、一株当たり利益が下がれば分母が小さくなってPERが上がる。

以前にも書いたが、PERとは会社の値段が当期利益の何年分かをを示した数字だ。「紙幣印刷機のお値段、つまり会社の値段の付け方は? 」

会社本体の価値が変わらないのなら、一株当たり利益が下がった時は株価が下がることでPERは元の数字に戻る。

①の式の、分子と分母が同じ割合で下がると、PERが元に戻るという理屈だ。

 

 増資をする会社があるので、当期利益だけでは過去に渡って評価するのが難しくなる。だからPERは、株価を一株当たり利益(EPS)で割って求めるのが一般的だ。 

 

本日のまとめ

・企業の利益は一株当たり利益(EPS)で評価しよう。PERもEPSを使ったほうが便利

・発行済株式数が増える「増資」には気をつけよう。株数が増えたせいで、一株あたりの価値が薄まってしまう。

 

増資は株主にとってなかなか嫌なイベントだ。会社にとっては株を新たに発行してお金が増えるのかも知れないが、株主はたまったもんじゃない。 私も何度か煮え湯を飲まされた。これからも増資しそうな会社には投資しないつもりだ。

 

逆に発行済株式数が減るイベントもある。自社株買いという奴だ。これは、株数が減る分だけ株価が上がる。株価と共に株主のテンションも上がる。

これについてもいずれ説明します。

 

 コメは食べるけど。