中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

システムディを買った理由

お絵描きをしている子供達のイラスト 

 

13年間で資産を700倍に増やした伝説の投資家、ピーター・リンチは言った。

「クレヨンで説明できないアイデアには決して投資してはいけない」

 

システムディがストップ安をした後にナンピン買いをした。昔の人が「下手なナンピンすかんぴん」と、ことわざにして残すほどハイリスクな行動だ。

大丈夫なのか、と息子が心配しているかも知れない。というわけで、私が「ナンピン買いをしても大丈夫である可能性が高い」と判断した根拠を書いてみたい。さすがにクレヨンは使わないが、中学生でも理解できるように書いてみたい。

 

 

 システムディは、業種特化型の業務支援ソフトウェアを作っている会社だ。

「業種特化型の業務支援ソフトウェア」とは何か?

 例えばゲオでDVDを借りる時、レジで「ピッ」とやってお金を払う。その瞬間にデータが入力される。お客の方はDVDをいつまでに返せばいいか、そのレシートを受け取るだけだが、店の方はそうじゃない。レンタル代として支払われたお金がゲオの売上として記録される。その積み重ねが企業の年間の売上や利益につながる。

同時に、どこのどんなお客が何を借りたか、というデータが蓄積される。日本中から集まった売上のデータが解析され、次にどんなDVDを仕入れるかの参考にされる。

DVDを1枚借りるだけで、そのデータが「ゲオホールディングス」というゲオを運営している会社のなかを駆け巡る。そんな事をいちいち手書きや計算機でできるわけがない。だからそんな面倒な事は全てコンピュータにやってもらう。コンピュータにちゃんと働いてもらうためのプログラムがソフトウェアだ。

それぞれの企業に、それぞれのソフトウェアが必要だ。レンタルビデオ屋と薬局と市役所では、それぞれ仕事の内容が違う。レンタルビデオ屋にはレンタルビデオ屋向けに特化したソフトウェアが、市役所には市役所向けに特化したソフトウェアが必要なのだ。それが「業種特化型の業務支援ソフトウェア」だ。

 

システムディは、「大学向け」「スポーツ施設向け」「小中高校向け」「地方自治体向け」「薬局向け」「契約書や勤務規定作成システム」の6つの領域で、それぞれに特化した業務支援ソフトを作っている。

 

仕事をしていると、一度導入したソフトはなかなか入れ替えが利かない。そのソフトで作った書類やデータベースは、別のソフトに変えると使えなくなってしまう。

例えば、現在一番普及しているワープロソフトはマイクロソフトが作っている「Word」だ。あんまり使いやすいソフトだと思えないが、今後いくら使い勝手の良くて安いワープロソフトが発売されても、wordの地位は変わらないだろう。これまで作った無数の書類がwordでしか見れないのだから、いまさら他のワープロソフトに入れ替える訳にはいかない。

それと同じように、システムディが提供している業務支援ソフトも入れ替えは利かない。一度導入されれば、他の会社の商品に取って代わることはまずない。このような商品の場合、一度お客さんになってもらえれば、よほどのことがない限りずーっとお客さんなのだ。

このように一度でもその商品を買ってもらえれば、あとは努力しなくても売上と利益が続いてくるような商売を「ストックビジネス」という。システムディは典型的なストックビジネスを展開している。

 

 

システムディの仕事のやり方は以下の通り。

1.まずその業界の大手企業に、業務支援ソフトをオーダーメイドで作る。

例えば「日本大学」のような、学生がものすごくたくさんいる大学からオーダーメイドの業務支援ソフトを受注する。そして日本大学にピッタリあったソフトを作る。日本大学に社員が乗り込んでいって、一緒に仕事をしながらどのような業務支援ソフトが必要か確認する。そして働いている人の要望を聞きながら、日本大学にあった業務支援ソフトを作成する。

このような仕事はものすごく手間がかかる。だから人件費がかさむのであまり儲からない。

 

2.日本大学向けに作った業務支援ソフトをベースにして、どの大学でも使えるようなシンプルなパッケージソフトを作る。それを他の大学に売る。

小さな大学とかは、オーダーメイドの業務支援ソフトを作ってもらうほど予算がない。だからこのようなパッケージソフトを買って使う。パッケージソフトは、一度作ってしまえば後はコピーして売るだけだ。だから利益率が高い。売っただけ儲かる。

 

3.一度そのソフトを使って仕事を始めた各大学は、もうずっとそのソフトを使い続けるしかない。システムディにとっては、メンテナンスやバージョンアップなど、ずっとお客さんになってもらえる。

 

 4.この「大学向け」でやったのと同じことを、別の業界でも行う。「スポーツ施設向け」「小中高校向け」「地方自治体向け」「薬局向け」「契約書や勤務規定作成システム」の、全部で6つの領域だ。それぞれの領域で、それぞれに特化した業務支援ソフトを作っていく。

 

 

 

業務支援ソフトを作っているシステムディの商売を理解してもらえただろうか。システムディは業務支援ソフトという入れ替えが利かない商品を作っている。入れ替えが利かないから、お客さんは減らない。増え続けるだけだ。これがストックビジネスのいいところだ。売上はガッチリ安定していて、かつ成長の余地がある。そして成長した分だけ、それがまた安定した売上につながる。

ああ、良い商売だ。

 

ここまでがシステムディを買った理由だ。

次は、ナンピン買いをした理由まで書きたい。