中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

ふたたびキャッシュフロー計算書の話

 嬉しそうに家計簿をつける人のイラスト

 1.現金を増やす方法

前回、キャッシュフロー計算書を見ると企業が持っているお金の金額がわかるという話を書いた。せっかく話が出てきたので、ついでにもう少しキャッシュフロー計算書の話を続けたいと思う。

 

さて、お金をほとんど持っていない中学生のみなさん。

突然ですが、私が手持ちの現金を増やす方法を教えてあげます。

 

実は手持ちの現金を増やす方法は3つあります。

① 稼ぐ

② 財産を売る

③ 借金する

 

この3つ。

 

バカにしてんのか?と怒らないで。これはとても大事な話なんだ。

順番に説明する。

 

まず、① 稼ぐ。

アルバイトをして給料をもらう、自分でたこ焼き屋を始めて利益を得る、現金が当たる懸賞に応募する。

なんでもいい。とにかく稼ぐこと。お金を稼ぐと手持ちの現金は増える。

しかし稼ごうとしても、たこ焼きが売れなければ赤字になる。懸賞が当たらなければ切手代が無駄になる。稼ぐのが失敗すれば手持ちの現金は減る。

 

そして② 財産を売る。

持っている本をブックオフに売る、ポケモンカードヤフオクで売る、じいさんから貰った古銭をメルカリで売る。

なんでもいい。財産を売って代金を得る。財産を売ると手持ちの現金は増える。

逆に財産を買うと手持ちの現金は減る。

 

最後に③ 借金をする。

家族からお金を借りる。友達からお金を借りる。奨学金を借りる。

なんでもいい。借金をすれば手持ちの現金は増える。

借金を返すと現金は減る。

 

 

2.キャッシュフロー計算書

やっぱりバカにしてる、と思わないでほしい。

この3つが理解できれば、キャッシュフロー計算書は理解できるんだ。

 

これは、前回の記事でも出てきたシステムディのキャッシュフロー計算書だ。

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キャッシュフロー計算書を見ると、企業がどのくらい現金を持っているかがわかる。

上の表の一番下の欄「現金及び現金同等物期末残高」の部分だ。

ここに書いてある通り、システムディは平成30年10月31日の時点で7億3,239万円の現金を持っている。

キャッシュフロー計算書は、このお金をどのように手に入れたかが書いてある表だ。

 

まず、下から2行目を見てほしい。「現金及び現金同等物期首残高 520,247」と書いてある。 

一番下の欄は「期残高」、下から2行目は「期残高」だ。

つまり、1年前の平成29年10月31日には、システムディが5億2,024万円の現金を持っていたという意味だ。それが1年後に7億3,239万円になっている。

 

1年間で2億1,215万円増えた。どうやって増やしたのか?

それが書いてあるのがキャッシュフロー計算書だ。

 

 

3.稼ぐ、財産を売る、借金する

ここで話が最初に戻る。

お金を増やす方法には、① 稼ぐ、② 財産を売る、③ 借金する、の3通りあると書いた。

 

上のキャッシュフロー計算書でマーキングしてある部分の、

「営業活動によるキャッシュフロー」とは「① 稼ぐ」の方法でお金を増やした額が書いてある。システムディの営業活動によるキャッシュフローは11億1,989万円。つまり、システムディは業務支援ソフトの商売で1年間に11億円以上稼いだということだ。

 

「投資活動によるキャッシュフロー」とは「② 財産を売る」の方法でお金を増やした額が書いてある。システムディの投資活動によるキャッシュフローは▲6億4,656万円、マイナスだ。つまり、システムディは財産を売るのではなく買っているんだ。6億円以上のお金を、財産を得るために使っている。

もちろんシステムディはポケモンカードや金塊などの財産を買ったわけではない。仕事に必要なパソコンや机などの財産を買ったんだ。すべて今後の仕事に役立てるための出費だ。だから財産を買った出費の事を「投資活動」と呼んでいるんだ。

 

「財務活動によるキャッシュフロー」とは「③ 借金する」の方法でお金を増やした額が書いてある。システムディの財務活動によるキャッシュフローは▲2億6,118万円。これもマイナスだ。つまり、システムディは借金をするのではなく、返しているわけだ。稼いだお金から2億6千万円の借金を返済したのだ。

 

まとめると、システムディは本業で11億円以上稼ぎ、6億円以上の財産を買い、2億円以上の借金を返した。その結果、5億2,024万円の現金が、1年後に7億3,239万円に増えた。そういう事がキャッシュフロー計算書で読み取ることができる。

 

 

4.まとめ

とりあえず大事なところはここまで。

お金を増やす3つの方法は、① 稼ぐ、② 財産を売る、③ 借金する、の3通り。

それぞれ、① 営業活動によるキャッシュフロー、② 投資活動によるキャッシュフロー、③ 財務活動によるキャッシュフローと呼ばれている。それぞれの金額が、キャッシュフロー計算書には分けて書かれている。

 

キャッシュフロー計算書を読む上で、まず理解するのは5行だけでいい。

 

一年前の現金の額である「現金及び現金同等物の期首残高」

現在の現金の額である「現金及び現金同等物の期末残高」

なぜそのように変化したのかが3つに分けて書かれている、

 ① 営業活動によるキャッシュフロー

 ② 投資活動によるキャッシュフロー

 ③ 財務活動によるキャッシュフロー

この5行だ。

 

企業はお金を稼ぐための組織なのだから。

お金の流れが書いてある部分が一番大事なんだ。

まずはここまで理解しよう。

 

 

以前に書いた記事も、合わせて読んでください。 

 

 

   キャッシュフロー計算書って家計簿と同じなんです。