前回の記事はちょっとわかりにくかったかも知れない。というわけで、今回はまず前回のまとめを書いてから始める。
前回のまとめ
・株式市場全体に投資する「インデックス投資」という戦略がある。
・ETFは普通の株と同様に売買できる。
・日本ではTOPIXや日経平均に価格が連動するETFが多い。
・インデックス投資されているお金の総額は現在82兆円と、とんでもない額だ。
ここからが続き。
TOPIXは、一部上場されている企業全部の時価総額から計算されている。
東証の偉い人は、その上場市場を再編すると言い出している「東証は上場市場再編を予定している、そしてまたモノサシがゆがむ 」。
上場市場を再編して一部上場の企業の数が減れば、当然TOPIXの数字がゆがむ。きっとまた変な計算式を持ち出してきて、一見TOPIXの連続性が保たれているように見せるのだろう。でも長い目で見ればモノサシがゆがむのは間違いない。
そして何より、一部上場から降格される企業が問題だ。
東証一部に上場していれば、その時価総額に応じてインデックス投資の資金が流れ込む。TOPIXに連動しているETFが買われるということは、東証一部上場企業の株全てが買われるのと同じだ。だから東証一部に上場しているだけで、どんな酷い企業でも株を買ってもらえる。
降格されればそのメリットはなくなる。いままで株を買ってくれていたインデックス投資の人たちが、逆に手持ちの株を売ってくる事になる。その資金が82兆円もあるのだから、影響が軽い訳がない。降格させられる企業の株は激しく売り込まれ、株価は低迷するだろう。
東証一部から降格されるの条件として、時価総額が500億円以下、あるいは1000億円以下という基準が検討されている。2019年1月4日現在、時価総額500億円以上の企業数は、東証一部の企業の2130社のなかで1008社だ。同じく時価総額1000億円以上の企業数は682社だった。その基準に達しない半分以上の企業は降格されるのだろうか。
降格が決まったら、それらの企業の株価は間違いなく下がる。82兆円を超えるインデックス投資されている資金が株を売ってくるのだから、下がらない訳がない。だから降格が決まる前から株価は下げてくる。
そのような値下げリスクが高い株を、これから買おうとする人がどのくらいいるだろうか。東証一部に上がったばかりの、若くて小さい会社の株価が上がりにくい。そんな状況は、日本全体の経済の勢いすら挫く可能性がある。これは惨劇だろう。
先行き不透明な経済状況のなかで、東証の偉い人はなぜそんな馬鹿なことを言い出しているのか。全く理解に苦しむ。
しかし、そんな事を言っていても仕方がない。起こることは起こるし、こんな弱小ブログでいくら反対を叫んでもそれが覆ることはない。起こることは起こる。そう思って対応するしかない。
正しい人の上にも、正しくない人の上にも、雨は降る。雨は降るものだと考えて対応すれば、またチャンスは転がってくるのだから。