中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

長期のインデックス投資という戦略

 

ビーチの酔っぱらいのイラスト

 

株式投資の戦略は無数にある。その中の「分散と集中」という要素について以前少し書いた。参照:「株式投資には多くの流派があり、初心者を混乱させる -

 

私は普段、6~8銘柄の株しか保有しない。かなり集中して投資している方だと思う。

集中して投資することのメリットは以下の2つだ。

1.1つの銘柄の株価が上昇したときに、運用資産全体がちゃんと増える。

2.少数の銘柄を保有していると、ひとつひとつの銘柄をきちんとフォローできる。

 

特に1.だ。

資産を5つの銘柄に均等に分散させて保有している場合は、1銘柄あたりの金額は20%になる。その中の1つの銘柄が2倍に上昇すれば、運用資産全体が120%になる。

一方、資産を50の銘柄に均等に分散させて保有していると、1銘柄あたりの金額は2%になる。その中の1つの銘柄が2倍に上昇したとしても、運用資産全体では2%しか増えない。せっかく2倍に増えたのに、全体では102%にしかならない。それでは色々調べた甲斐がない。

もちろん1つの銘柄がガツンと下がると、それに伴って運用資産全体の額もガツンと下がる。それが集中投資の最大のデメリットだ。これがなかなか痛い。私自身、2018年は何度か痛い目にあった。

 

 

痛い目に合うのは嫌だ。だからなるべく沢山の銘柄を少しずつ持ちたい。1つや2つの会社が潰れたところで屁でもない、と言えるくらい多くの銘柄の株を持ちたい。

そんな要望に答える投資戦略もある。それがインデックス投資という戦略だ。

 

まずは下のチャートを見てほしい。TOPIXの10年間の推移だ。

 

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企業の数字をがんばって調べたり、ビジネスモデルを考えたり。そんなことを全てやめて、東証一部の企業の株を全部買っておく。そうすれば時間はかかるかも知れないが、株価はゆっくりと上がっていくだろう。実際、2012年から7年間で、TOPIXは倍くらいに上がっている。なかなか悪くない数字だと思う。

 

東証一部には2,130社の株式が上場されている。それを全部買うなんて、普通に考えて無理だろう。そう考える人もいると思う。

でも実際は買える。沢山の人からお金を集めて買えばいい。集めた大金を使って、東証一部上場の企業の株を、時価総額に合わせた割合で買っていく。そうすれば、その株のカタマリはTOPIXと同じように値が動く。

東証一部の企業には、すごく儲かっていて株価が上がっている株もあれば、赤字続きで潰れるんじゃないかっていう会社の株もある。いろいろな会社があるが、全部を買っておく。そうすれば平均してまずまずの成果が上がるんじゃないか。そういう考えから「インデックス投資」という戦略が成り立っている。

 

インデックス投資をするならば、「ETF」というモノを買えばいい。Yahooファイナンスで検索すれば山ほど出てくる。TOPIXと同じような値動きをするTOPIX連動ETF日経平均と同じように値動きをする日経225連動ETFあたりが主なETFだ。

ETFは、株と全く同じように売買できる。その仕組を詳しく知る必要は全然ない。

ETFを買っておけば、広く、浅く、多くの株を買うのと同じ事になる。どうせ暴落する時は全部の株が下がるし、景気が良い時はほとんどの株が上がる。でも長い目で見ればゆっくり上がっていくだろう。そう考えてほったらかしにしておく。ETFを買えばそれができる。

 日本には日経平均TOPIXがあるように、世界中の株式市場に同じような指標がある。これら世界中の指標と連動したETFが存在する。ETFを使えば、世界中の株を広く薄く買うことも出来る。

 

 

日本のETFの資産総額は2018年11月時点で36兆2000億円だ。これにインデックス型の投資信託の総額、45兆9000億円を加えた金額が加わる。

全部で82兆1000億円。これが日本で投資されているインデックス投資の総額だ。2018年度の日本の国家予算が97兆7000億円だから、それに迫るほどの大金だ。

参考: 数字で見る投資信託 - 投資信託協会

 

このスゴい額のお金が株式市場を歪めてしまうことがある。小さな池にいる巨大な魚が泳ぐと、水の流れや池の水位すら変わってしまうように。

上場市場を再編しようとしている東証だが、それがどんな事を起こすと考えられるか。それを次回書くことにする。

参照:東証は上場市場再編を予定している、そしてまたモノサシがゆがむ -

 

  

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