東証は上場市場再編を予定している、そしてまたモノサシがゆがむ
日経平均とは東証一部上場企業のなかから選んだ225社の株価から計算した平均だ、と書いた。さらっと「東証一部」とかいう単語を使ったけど、今日はその「東証一部」とかを含む市場の仕組みについて書く。
日本の株取引は「証券取引所」という場所で行われている。日本で株を取引している証券取引所は、東京、札幌、名古屋、福岡の4つだ。札幌、名古屋、福岡の地方証券取引所も面白いけど、今回はとりあえず置いておく。東京証券取引所、略して「東証」のみについて書きたい。
この東京証券取引所、更に4つの市場に分類される。「東証一部」、「東証二部」、「マザーズ」、「JASDAQ」の4つだ。
サッカーJリーグが J1、J2、J3、JFLに分かれているように、東京証券取引所に上場されている企業も4つのリーグに分かれていると考えてくれればいい。
Jリーグで強いチームがJ1に所属するように、大きくて儲かっている会社は東証一部に上場されている。時価総額が500億円以上、最近2年間の利益が5億円以上、などと基準が決まっていて、それを超える企業じゃないと一部上場企業にはなれない。
また一部上場企業でも、何年も赤字が続いた場合、二部に降格となる。2016年8月には、ずっと一部上場だったシャープが降格した。その後いろいろあって業績を改善させ、2017年12月に一部に復帰した。このあたりもJリーグと似ている。
マザーズとJASDAQ(ジャスダックと読む)は、出来たばかりの若くて小さな会社が上場する市場だ。これらの若い会社が順調に成長していくと、やがて二部や一部に昇格する事もよくある。
東京証券取引所に上場されている企業は3600社以上あるが、そのなかで2130の企業が東証一部に上場されている。東証二部は494社、マザーズは276社、JASDAQは736社だ。「上場会社数・上場株式数 | 日本取引所グループ」。
「この4つの市場に含まれる企業数、一部だけ2,130社って多くて、なんかバランス悪くね?」
「それにマザーズとJASDAQも。どっちもこれから大きくなる小さくて若い会社向けの市場だけど、違いがよくわからん。2つに分けている意味ないんじゃない?」
そんな事を考えている東証の偉い人がいるらしい。確かに一部の企業だけが突出して多い。マザーズとJASDAQの違いもよく分からない。
それで、偉い人はこう思った。
「よし、東証一部の企業数を減らそう。そして一部から落ちた企業と、二部とJASDAQの企業を混ぜる。それが二部だ。一部、二部、マザーズの3つに分類しよう。そうすればスッキリするんじゃない?」
そんな事を考えて、その案を年度内にもまとめて発表すると。
そんな事をすると間違いなく混乱する。いろいろ困ることが発生する。正直やめてほしい。
何が困るのか?
1.一部から降格されてしまう会社の株を持っている人が困る。
2.TOPIXの指数のモノサシがまたゆがむ。
3.TOPIXに連動しているETFや投資信託を持っている人が困る。
長くなったので、詳しくは次回以降に。