まず生き残れ。儲けるのはその後だ。・・・ジョージ・ソロスの名言
株式投資を始めるのは簡単だ。資金を用意し、口座をつくって入金する。そしてクリックを何回か。これで株が買える。
株式投資で儲けるのも簡単だ。勝った株が上がれば儲かる。下がれば損するけど、究極的には上がる可能性と下がる可能性は五分五分だ。誰かが買った株は、別の誰かが売った株だ。短期的にはどちらかが儲かっている。
しかし、長期間で見ると株式投資で勝ち続けるのは難しい。株式投資で大損をして、投資を止めてしまう事を「退場」という。一説によると、株式投資で成功するのは5%くらい。残りの95%は最終的に退場しているとか。
この5%という数字がどこから来ているのか調べたが、結局わからなかった。だけどこんな数字が見つかった。野村證券が2017年4月に個人投資家に1000人に対して行ったアンケートだ。これによると、2016年4月から2017年3月までの1年間で投資の利益がプラスだったのは36.4%、プラスマイナスゼロだったのは44.5%、マイナスだったのは19.1%だ。儲けたのは3人に1人。損したのは5人に1人といったところだ。ちなみにこの期間、日経平均株価は16,164円から18,909円と、17%ほど上昇している。マーケットの季節は秋でも冬でもなく、春だ。そのような環境のよい状態で、儲けたのが3人に1人。
しかしこのデータはかなり割引いて考えたほうがいい。調査方法をよく読むと「個人投資家3000人にアンケートを送り、回答が1000人に達した段階で締め切って集計した」とある。儲かった人と、損をした人。どっちがよりアンケートに対して協力的だろうか?損をした人が、嬉々として証券会社のアンケートに答えるだろうか?どう考えても儲かった人が積極的にアンケートに協力するだろう。そう考えると、アンケート結果は相当歪んでいると考えて間違いない。儲けたのが5人に1人、損をしたのが3人に1人だったとしても上のような結果になるだろう。
このように、アンケートの結果が歪むことをバイアスという。この場合「生き残りバイアスがかかっている」という。生き残りバイアスについてはいずれ説明する。
その調査結果のリンク ↓
またアメリカでの話だが、個人投資家向け資産運用アプリ「Openfolio」のユーザー約60000人を調査したところ、70%近くが2015年通算で損をしていたという報道もあった。ちなみに2015年のアメリカの株式市場はほぼ横ばいだった。
全体の5%しか生き残れない、というのは大げさだと思う。しかし株で利益を上げるのはそんなに簡単な事じゃない、ということは理解出来るだろう。
だから株をやって、いきなり儲けることを考えても仕方がない。最初は失敗して当たり前だと思ったほうがいい。最初から儲かると調子に乗って、その後退場する可能性がぐっと高まる。
「まず生き残れ。儲けるのはその後だ。」
これは伝説のファンドマネージャー、ジョージ・ソロスの名言だ。株の世界では生き残ることが第一だ。退場さえしなければ、生き残ってさえいればチャンスはある。退場してしまえばこれ以上損をしないが、株式市場からの恩恵を受け取ることもできない。お金持ちにはなれない。
退場せずに経験を積んでいけば、儲かる可能性が少しずつ増えていく。まずは生き残る事を考えよう。