中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

手術が上手くなりたい人のために/投資が上手くなりたい人のために①

腹腔鏡手術のイラスト

1.私の職業

あまりブログでは触れていないが、私の本業は産婦人科医だ。

 

都会の方では「産科医」と「婦人科医」が分かれている病院もあるが、医師の数が足りていないイナカでは両者を区別する余裕はない。産婦人科医はお産もやるし、婦人科の手術もやる。普通の分娩も帝王切開もやるし、子宮や卵巣の手術も執刀する。腹腔鏡の手術などもやっている。

というわけで、私は日々血と羊水を浴びながら暮らしている。

 

産婦人科医のくせに投資をやっているのか?こんなブログまで書いてて暇なのか?もっと患者さんのために努力するのがスジじゃないか?」

などという批判を受けると面倒だ。ブログで職業について触れてなかったのはそれが理由だ。

今はそこまで反響のあるブログじゃないのでいいかと思っている。

でも念のため、予想される上記の批判について先に答えておきます。

 

わたしは全然暇じゃないです。だからつまらない批判は無視しますからよろしく。

 

 

このブログは株式投資がテーマだ。それなのに何故自分の職業の話を始めたのか。

それは、手術と投資がとても似ている事に気づいたからだ。

そして手術の技術を習得することと、投資の技術を習得することも共通点が多い。その両方を「それなりに」習得してきた自分だ。悩みの多い駆け出し外科医と、悩みの多い駆け出し投資家に役立つことも書けるかもしれない。

 

そう思ったから自分の職業を公開したんだ。

投資など全く興味のない駆け出しの外科系の医師にも役に立つと思う。間違ってこのサイトに迷い込んだ外科系の皆さんも、ぜひ読んでいってください。

 


2.駆け出しの外科系医師の悩み

 手術は手を使った技術だ。医師になる以前に行っていた机の上の勉強とは全く違う。勉強ができる医師が、手術も上手いとは限らない。

 

医学部の受験から医師国家試験まで、コツコツ勉強して知識を身に着けることは何度も経験しているし慣れている。しかし手術が上手くなるためにはどうすればいいのかよくわからない。

もちろん手術をする前には解剖の本を読み手術書を読んで準備をする。しかしお腹の中の状態は個人差がある。なかなか教科書通りにはなっていない。まして手術中に予定外の出血があったときなどは頭の中が真っ白になってしまう。教科書通りじゃなくても、急に出血しても、それに対応していく必要がある。

 

先輩の医師が執刀する手術に助手として入るのだけど、あまりにレベルが違いすぎて何をやっているのかすらわからない。自分も同じことが出来るようになる気が全くしない。

 

先輩の医師がいろいろ教えてくれるのだけど、その言葉はあまりにも感覚的だ。

「そうじゃない、もっとそこはガバーっという感じでペアンをかけるんだ」

ガバーってなんだよ。

 

「なぜそこでコッヘル使う?そこでそれを使うと出血するのがわからない?」

わからないから使ったんだよ。なんでわかるんだよ?


「経験を積めばいずれ上手くなるよ」
いずれっていつだよ。俺は早く上手くなる方法が知りたいんだ。

 

「お前にはセンスがない。センスを身に着けろ」

なんだセンスって。それを教えてくれよ。

 

「センスは持って生まれたものだから身に着けることはできない」

・・・うるさい。黙れ。

 

 

上の例はすべて私が実際に言われた言葉だ。手術が上手い人が教えるのも上手いとは限らない。

 

そして、まれに本当にセンスのある若手医師がいる。執刀経験がそれほど多いわけでもないのに、実に手際よくやってのける。出血量も少なく、執刀時間も短く、スムーズに終えていく。そういう同僚がいると、励みになるより先に凹む。

やっぱりセンスが必要なのだろうか、などと考えてしまう。

 

 

3.駆け出しの外科医と投資家の悩みのまとめ

書いていると昔の仄暗い感情が湧き上がってくる。

 

でもそんなに苦痛じゃない。私はもうそれなりの技術を身に着けた。後輩と一緒に手術に入って多少は指導したりする立場にもなった。

 

手術が上手くなりたい若手外科系医師の悩みをまとめてみる。

・上手くなる方法が確立されていない

・だから努力の方法がわからない

・適切な指導者が必ずしもいるわけではない

・手術は実際に執刀しなければ上手くなれない

・しかし執刀の機会はそれほど多くない

・手術は常にリスクをともなう

・予想外のことはいつでも起こる可能性があり、対応できない

・上手い人と自分を比べてしまい、凹む

・手術動画や手術書は上手い人が作っており、才能が違う

・へたくその初心者が「普通の執刀医」になるための方法が知りたいんだ

・自分には才能やセンスが不足しているのではないかと考えてしまう 

 

 

これは投資が上手くなりたい初心者の投資家にも当てはまると思う

・上手くなる方法が確立されていない

・だから努力の方法がわからない、本を読んでも儲からない

・適切な指導者が必ずしもいるわけではない

・投資は実際にお金を使ってやらなければ身につかない

・でも種銭がそんなにあるわけではない

・投資は常にリスクをともなう

・予想外のことはいつでも起こる可能性があり、対応する自信がない

・上手い人のパフォーマンスと自分を比べてしまい、凹む

・本やツイキャスは上手い人がやっており、才能が違う

・へたくその初心者が「普通の投資家」になるための方法が知りたいのに、初心者向けのものは怪しげな教材も多く、何を信じていいのかも分からない。

 ・やっぱり自分には才能やセンスがないのだろうかと考えてしまう

 

 

4.これだけはまず伝えたい

予想通り話は長くなりそうだ。

 

次回に続くんだけど、次も読んでもらえるかはわからないのでこれだけは覚えておいてほしい。

 

手術も投資もセンスはいらない。

センスがない、とディスってくる人の言葉は完全に無視してよい。

 

 年利100%を目指す投資家とか、心臓血管外科の頂点を目指すとか。

そういう方以外はセンスなんていりません。本当です。

 

詳しくは次回書きます。

 

 

 

↓ 駆け出しのころ、こういう本を何冊か読みました。参考になる部分もありますが、トップナイフになる方法より「まず平均的な医師になる方法」が知りたかった。

外科手術に上達くなる法ートップナイフたちの鍛錬法

手間いらずを買わなかった理由②

ベッドでくつろぐ女性のイラスト

1.なぜ買わなかった手間いらず

ホテルの予約サイトを一括してコントロールするサービスを提供する「手間いらず」。

すごく儲かっているし、年間20%のペースで成長している。ビジネスモデルとしても秀逸でリスクが小さく儲けが大きい。顧客であるホテル側にとってもメリットが大きいサービスだし、実に私好みの会社だ。

それでも株を買わなかったのは何故か。

 

それは競合と、市場の大きさが気になったからだ。

 

 

2.手間いらずの競合他社

ホテルの予約サイトを一括してコントロールする、というビジネスはだれが考えたのだろう。すごくいいアイデアだと思うのだけど、それを誰が考えたかは分からない。

 

発明品には特許がある。薬品メーカーのように、特許が利益の源泉になっている会社は少なくない。しかしビジネスのアイデアには特許がない。

いいアイデアを考えても独占することができない。誰でもパクることが可能なんだ。

 

ホテルの予約サイトを一括してコントロールするサービスだが、提供しているのは手間いらずだけではない。競合他社がいくつもある。

競合他社の調査は株を買う前にかならず行うべきだろう。

以下に手間いらずの競合他社を列挙していく。

 

① ねっぱん

予約サイトコントローラー業界のトップシェア。楽天のグループ会社なので楽天トラベルに登録していれば無料で使える。そのこともあり、2018年9月の段階で、ねっぱんを利用している施設は8,000だった。

 

② TLリンカーン

リクルートJTBの関連会社。リクルートといえば「じゃらん」、JTBといえば「るるぶ」だ。TLリンカーンは「じゃらんnet」や「るるぶトラベル」と連携している。大企業の信用もあってか大規模ホテルや老舗旅館などの利用が多いらしい。初期費用10万円、月額費用15,000円~とややお高い。約4,000施設に利用されている。

 

③ その他のサービス

ルームマネージャー、らく通with、AirHost PMS、民泊ダッシュボード、など。きちんと調べなかったけど同様のサービスを行っている会社は多数あった。

 

④ 手間いらず

初期費用5万円、月額9,900円~。利用施設数は公開されていない。

しかし2019年1Qのストック部分の売り上げが3億0353万円だった。3で割ると一か月あたり1憶118万円になる。この売り上げ全てが最低料金である9,900円のコースだと仮定すると10,000施設が利用していることになる。しかし業界シェアトップのねっぱんが8,000施設なのでそれはあり得ない。いろいろ計算して、手間いらずを利用しているのは5,000施設と推定した。

 

 

3.市場規模はどのくらいか

H27年3月に厚生労働省が行った統計がある。これによると、日本全国のホテル数は9,779施設、旅館は41,899施設、簡易宿泊房は26,349施設だ。すべての宿泊施設を合わせると78,127施設となる。

この78,127施設がすべて予約サイトコントローラーを使用する可能性はとても低い。そもそも予約のできないサウナやラブホテルが存在するし、真面目に経営するつもりのない民宿や旅館などいくらでもある。

手間いらずの顧客になるような真面目な宿泊施設はどのくらいあるのだろうか。いろいろ調べて、私は4万施設と概算した。

 

業界トップのねっぱんが8,000施設、TLリンカーンが4,000施設、手間いらずが5,000施設(予想)、その他がどのくらいあるかは調べなかったが、合わせると3,000施設はいいっているだろう。となると、全部で2万施設がなんらかの予約サイトコントローラーを利用していることになる。

真面目にやっている宿泊施設が4万、導入済みが2万。すると残りが2万しかない。

 

 

4.当時の結論

手間いらずは年間20%以上、成長している。

競合他社も同様に成長すると仮定すると、2万施設が4万施設まで増加するまで4年もかからない。

 

購入を検討していた2019年5月の手間いらずのPERは35倍前後だった。

PER 35というのはかなり高い。毎年20%成長しているからこそPER 35という評価がされていると考えられる。

3年後はもう成長の限界が見え始めている可能性がある。その時にPER 35という数字で評価されることはないだろう。3年後は今よりずっと成長しているだろうけど、それ以降の成長は難しいのではないか。

豊富な資金でM&A、という成長戦略を描くことは可能だ。しかし手間いらずの社員数はわずか38人だ。そんな小規模な会社がM&Aをスムーズに行うほどの人材を抱えているものだろうか?

 

そんな不確定な未来に投資することはできない。もっと安全確実な投資先は他にある。

そう考えて、手間いらずは買わなかった。

 

結果は前回書いた通りだ。2倍以上に上がっている。

 

 

5.現在の振り返り

それなりに時間をかけて調査した手間いらずだったけど、買わなかった。

買っておけばお金が2倍に増えていた。とても残念だ。

 現在の手間いらずのPERは52.8倍。成長に限界があると思われている会社の株価ではない。

成長に限界があるって判断しているのは私だけかもしれない。あるいは成長に限界があっても数年先まで考える必要がないのかもしれない。3年先まで株を持ってる人の方が少なさそうだし。

 

あるいは、手間いらずの株価が上がったのはたまたまかもしれない。

今年はなかなか地合いが良く、特にここ最近は小型株の上昇が目立っている。この地合いだったからこそ手間いらずも上がったのかもしれない。地合いがよければ企業に対する目は甘くなる。地合いが悪いときはとても厳しくなる。

いずれにしても先の事はわからないんだし、株に「たられば」は要らない。 手間いらずを買わなかった私は結果から見ればへたくそだが、違う結果が出ている可能性だってあるんだ。

 

 

今回の話は「株を買う前の調査はこんな風にやるといいですよ」という例のつもりだった。買っていないのだから文章に魂は込められていない。

 

でもこんな風に思考の過程を残しておくことは重要だと思う。

買った株も買わなかった株も、私はぜんぶ手書きで記録を残している。だからこそこんな記事が書けます。データは既に古いですが。

 

先の事はわからないと書いたが、少しでも勝つ確率を上げることは可能だ。勝つ可能性を上げる方法として、今回の話を書きました。

 

「思考の過程をノートに残す」

初心者の方はぜひ参考にしてください。

 

 

  ああ、旅行に行きたい。

手間いらずを買わなかった理由

ベッドメイキングのイラスト

1.買っときゃよかった手間いらず

前回、私が株を買う前に必ず行うルールについて書いた。

現在私が持っている株は、すべてその調査を行った後に購入を決めた株だ。

同様に調査を行ったのだけど最終的に購入を見送った銘柄はたくさんある。「購入すべきじゃない」という自分の中の反対派が議論に勝った銘柄だ。

 

その銘柄の中にはその後暴落したものもあるし、スイスイ上がっていった株もある。

「買わなくて良かった」と思うことも「買えばよかった」と思うこともあるが、今回は「買えばよかった」の方について書く。自分がなぜその企業に興味を持ち、どのように調査を進め、どのポイントで購入を見送ったか?

そしてその後どうなったか?

そんなことを書いてみます。

 

「手間いらず」っていう会社の株なんですけどね。

 

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 購入を検討していたのは2019年5月。買っておけば2倍になっていた訳だけど、買わなかった。

そんな事はよくある話。だからなんの感情も込めずに純粋に振り返ってみます。

 

 

 2.手間いらずのビジネスモデル

成長している企業を見つけたら、まずビジネスモデルを調べる。前回の記事でも「はじめに決算の書類5年分に目を通す」というような話を書いたが、ビジネスモデルを十分に理解するのが第一の目的だ。

 

 手間いらずは「ホテルの予約サイトを一括してコントロールするサービスを提供する会社」だ。

旅行や出張でホテルの予約が必要になるとき、ほとんどの人はネットで検索するだろう。楽天トラベルとか、JTBや近畿ツーリストなどのサイトとか、Booking.comとかAirbnbとか。どんなホテルがあり、どんな値段で泊まれるのか、そもそも部屋は空いているのか?そういう事をネットで確認する。

 

ホテル側としてはなるべくたくさんのお客さんに来てほしい。だから多くのサイトに登録する事になる。ホテルの予約サイトは有名無名を含め、国内に100以上ある。すこしでも部屋を埋めるためには多くのサイトへの登録が必要だろう。

 

そうなると情報の更新が大変になる。ひとつ予約が入るたびに、多数のサイトの空き部屋数の情報を変更しなくてはいけない。これは大変に面倒だ。

そこで利用するのが手間いらずのような会社だ。多くのホテル予約サイトを一括してコントロールできれば大変に手間が省ける。そういう事が可能になるアプリケーションを、手間いらずは月額9,900円~の料金で提供している。

 

 

3.数字を調べる

売り上げも利益も成長している。

 

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 検討していた頃の2019年2Q決算資料だが、年間24.4%で成長していることをアピールしている。

 

 

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 アプリケーションを一度開発してしまえば、あとはコピーして売ってお金をもらうだけだ。売り上げがのびればそのまま利益がのびる。

その結果、当時の営業利益率は驚異の 62.0%。社員数わずか38人が、半年間で6億4,000万円を売り上げ、2億7,000万円を稼いでいる。むちゃくちゃ儲かってる。

 

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儲かりすぎて、B/Sには現金があふれかえっている。
32億4千万円のB/Sのうち、現預金が29億9千万円を占めている。儲かりすぎてお金を使うところがないんだ。

 

 

4.ここまでのおさらい

手間いらずがすごく儲かっていることは間違いない。

念のため、前回書いた「株を買う前のルール」に従って確認していく。

 

・決算に関する書類は過去5年分目を通す

   → 読んだ。すごく儲かっている。ビジネスモデルもよい。


・セグメントごとの売り上げと利益の推移のグラフを作る

   → ホテル予約アプリケーションの売り上げが97.2%。他を検討する必要なし。


・月次が出ている場合、これもエクセルでグラフを作る

   → 月次は出ていない。そもそも導入施設数が非公開。


・企業のサイトのすべてのページを見る

   → 見た。特に引っかかる事なし。


・転職サイトで社員や元社員の口コミを見る

   → 社員の話はみつからない。社員数38人だし。


・その企業が提供している商品やサービスの評判を掲示板で確認する

   → 悪い印象はない。

 

・可能であれば自分で商品を買ったりサービスを利用したりする

   → これは無理。

 

・競合他社を調べる

   → ここからが問題。

 

すごく儲かっている会社だし、成長もしている。

しかしこの状況はいつまで続くのか?20%以上の成長がいつまで維持できるのか?

そんなことを考えて結局購入を見送った。その思考の過程を次回書きます。

 

 

株を買う前のルール

ダブルスタンダードのイラスト

1.株を買う前のルール
私が株を買う時は、自分で決めたいくつかのルールに従って買う。

 

そのルールは以下の通り。

・決算に関する書類は過去5年分目を通す

・セグメントごとの売り上げと利益の推移のグラフを作る

・月次が出ている場合、これもエクセルでグラフを作る

・企業のサイトのすべてのページを見る

・転職サイトで社員や元社員の口コミを見る

・その企業が提供している商品やサービスの評判を掲示板で確認する

・可能であれば自分で商品を買ったりサービスを利用したりする

・競合他社を調べる

フィスコなどの無料レポートを探して読む

・以上をB5のルーズリーフノート1枚にまとめる

・その株を「買うべき理由」と「買うべきではない理由」を箇条書きにする

・買うべきじゃない理由を本気になって主張し、買いたい自分と議論を交わす

これらの作業を終えてから買ってはいけない事になっている。

 

これらのルールはどこかで聞いたことがあるものばかりだろう。目新しいものではない。しかしルールはきちんと守ることによってはじめて価値が出てくる。


私は株を買いたい。いつもいつも株を買いたくて仕方がない。良さそうな企業はすぐ欲しくなる。

しかしロクに調べずに買った株は失敗することが多い。

知らない企業だからずっと持つことができない。本来なら数倍まで成長するポテンシャルをもった株を20%程度の上昇で売ったりする。あるいは少しの下落で損切りしてしまう。そのあとで暴騰するのを口を開けて見送るわけだ。

 

大して調べもしないで株を買わないように、上記のルールを自分で作った。自分で作ったルールだからちゃんと守る。そうすれば勝てる可能性が増える。

 

 

2.株と刺身パック

大切な自分のお金を使って株を買うわけだから、買う前にいろいろ調べるのは当然だ。

スーパーで398円の刺身のパックを選ぶ時に1分間の時間をかけるのなら、398,000円の株を買うときはその1,000倍の時間をかけて調査しても割に合う。1,000倍だから1,000分間、つまり16時間40分だ。400万円分株を買うなら166時間調査してもいいわけだ。

もちろんそこまで時間をかけることはない。
上記の「株を買う前にやることリスト」を一通りこなすのに、半日から1日あれば十分だ。

 

値段だけではない。刺身パックと株は値段以外にもいろいろ違うことがある。


スーパーの棚ならマグロの刺身コーナーにはマグロの刺身しか置いていない。

しかしマーケットはそうじゃない。「お買い得!クロマグロ 中トロ」と書いてある商品棚にナマズやフグの刺身が普通に置いてある。

それなのに調査に時間をかけず、「なんとなく雰囲気で」株を買ってしまう。

ちゃんと調べていない刺身はフグの卵巣の刺身かもしれない。マグロだと思って食べれば死ぬ。

マーケットにはそうやって死んだ投資家の死体がいくつも転がっている。

 


3.たいした話はしていない

この程度のことを偉そうに書くのは気が引ける。まともな長期投資家なら誰でもやっている。

「その程度の調査で株を買っているの?」

と、逆に驚かれるかもしれない。

「中一の息子に教える・・」というブログタイトルにして良かったと思う。いつでも「子供向けなので・・」と逃げることができる。

 

でも、この程度の調査すらしていない投資家がいることも事実。

だからこそ私のような素人でも儲けることができるんです。

 

 

 

↑ 石川県の郷土料理「フグの卵巣の糠漬け」です。

猛毒のテトロドトキシンを含むフグの卵巣を安全に食べることができます。とてもおいしいです。話のネタにどうぞ。

明豊ファシリティワークスの社員数について

人材の引き抜きのイラスト

1.社員数が減った

明豊ファシリティワークスの社員数が減っていた。

 

3ヶ月前、1Q発表時点での明豊ファシリティワークスの社員数は251人だった。
今回の2Q発表時点での社員数が246人だった。
5人減っている。

 

明豊ファシリティワークスの事業は人材が命だ。不動産や建築やビジネスに深い知識と経験がないと仕事はできない。「知識と経験を持つ人材」そのものが明豊ファシリティワークスの価値だと言ってもいいかもしれない。

つまり社員が減ったという事は、明豊ファシリティワークスの価値が下がった可能性があるのだ。

 

そうかもしれないけど、そうじゃない可能性もあるよ。

そんな話を少し前に書いた。

この事についてもう少し掘り下げてみた。 

 

 

2.社員数の内容

社員数の減少は派遣社員が減っただけなのか、それともエース級の社員が退職しているのか?

なんとか調べる方法はないかと調べていたところ、有資格者一覧のページが目にとまった。2019年10月31日における明豊ファシリティワークスの人材一覧、といってもいいページだ。

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有資格者|明豊ファシリティワークスのコンストラクションマネジメント

 

そして過去のデータはFISCOの書いたレポートの中にあった。

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https://www.meiho.co.jp/ir/document/201907103.pdf

 

この2つを比べれば、社内の人材がどのように変化していったのかを調べることができる。

 

 

3.比べてみた

2019年4月と10月を比較してみる。

技術師    5名 → 6名

一級建築士  74名 → 77名

建築設備士、建築積算士、コスト管理士、VEリーダー、CASBEE建築評価委員、LEED-AP、建築仕上診断技術者、、、。

 

うん、わからない。

それぞれの資格がどのようなものなのか、全然理解できない。

 

まあそれでも減ってなければいいんだよ。そう思ってもう一度見てみた。

すると、増えているのもあるけど減っているのもある。

増えているのは新規入社した社員かもしれないし、社員が新たに資格を取得したのかもしれない。減っているのは退職した数だろう。資格喪失するような社員がいるとは思えない。

 

比べてみると「一級施工管理技士(建築)」の減少が目立つ。

 2018年10月 37名

 2019年4月   34名

 2019年10月 30名

と、明らかに減少し続けている。

 

一級施工管理技士派遣社員やパートである可能性は低そうだ。やっぱり社員の流出はあるのか?少し不安になった。

 

 

4.一級施工管理技術士とは何か

 さすがにこれは気になって調べた。

このサイトがわかりやすかった。

施工管理技士とは?1級と2級はどう違う?取得メリットは? | 施工管理技士の資格取得情報サイト「セコカンマガジン」

 

 

以下は上記のサイトからの引用だ。

特定建設業」及び「一般建設業」の許可を受けてた建設業者は、建設業法により営業所ごとに「専任の技術者」を配置することが義務付けられています。特定建設業の場合は1級、一般建設業の場合は1級または2級の国家資格(施工管理技士)保持者は専任の技術者となることが可能です。建設業の許可を受けている場合は営業所ごとに必ず専任の技術者を設置する必要があるため、施工管理技士等の有資格者が不在となれば建設業許可を維持できなくなります。

 

どうやら建築業者が各営業所に配置しなければいけない資格者のようだ。

調剤薬局における「薬剤師免許保有者」のようなものだろうか。

 

 

ここからは私の推測。

明豊ファシリティワークスの業態が「アットリスクCM契約」から「ピュアCM契約」に移行していったのは、ホルダーの方ならご存じだと思う。

施工管理技士とは、アットリスクCM契約で必要な資格なのではないだろうか。

 

アットリスクCM契約では、明豊ファシリティワークスが建築業者として仕事をすることになる。建築業者なら営業所ごとに施工管理技士の設置が必要だ。

しかしピュアCM契約では、明豊ファシリティワークスは完全なサービス業となる。ピュアCM契約では施工管理技士が必要ないのではないだろうか?

そこで施工管理技士が他の建築会社に動いたのではないか?その影響で社員数が多少増減しているのではないだろうか?

 

明豊ファシリティワークスは業態を変化させている企業なんだ。アットリスクCMからピュアCMに変化しているのだから、必要な人材も変わってくるのは当然だ。

だから社員数の減少はそんなに気にする必要はないのかもしれない。人材の出入りは当然あるのだろう。

少なくともブラックな職場から有能な社員が次々と逃げ出している、という訳ではない。そう考えた。

本当のところがどうかはわからない。 

 

 

5. おわり

気になる点をちょっと深掘りしてみた。

最後の結論はあくまでも私の推測だ。本当のところはわからない。

 

少なくとも今後の有資格者数の推移は注目すべきだろう。

 

奨学金と「判断力のない子供」

 

貸与奨学金の返済に追われる人のイラスト

 

1.決算シーズンを終えて

みなさんこんばんは。

今回の決算シーズンはいかがだったでしょうか。

 

決算の数字で会社の好調不調が見えてくるし、発表前後は株価が動きやすいし。

発表前のドキドキはたまらないですよね。このような密度の濃い日々を過ごせるなんて、本当に投資家冥利に尽きます。

決算資料を読み込んでいるうちにいつの間にか夜ふかし、という方も多いと思います。楽しみが多いのはありがたいです。

お金が増えれば更に良いんですけど、そのあたりは置いておきましょう。

 

ここは株式投資ブログなので決算についてもいろいろ書きたいのですが、今日は休みです。株式投資とは直接関係ないことを書きます。

株式投資とは直接関係ないですが、間接的には激しく関係していることです。

奨学金のことです。

 

 

2.奨学金政令

れいわ新選組、という政党を立ち上げた山本太郎代表が「奨学金政令」という公約を出していました。借りていた借金がチャラになる徳政令。日本史の教科書に載っています。奨学金という借金がチャラになります。

 

奨学金政令

なかなかインパクトのある言葉です。Twitterなどでも議論が湧いていたようです。

このあたりの議論を聞いていると、私はすごくもやもやした気持ちになります。

かなり旬が過ぎた話題ですが、 旬を逃すのはいつものことなので気にしません。今日は私のもやもやについて書いてみようと思います。

 

 

さて、奨学金です。

日本の大学生の約半分が奨学金を借りているようです。奨学金という借金を背負っている人は日本全国で500万人ほどいるそうです。

 

その500万人を救うための徳政令

500万人の中には私も含まれます。私がすべての奨学金を払い終わるのは2023年です。50歳の背中も見え始めたこの歳で、未だに奨学金を返し続けています。

 

それほど裕福じゃない家に生まれた私です。高校生の頃から奨学金を借り始めました。奨学生募集の掲示板を見つけて自分で申し込みに行ったこと、募集のときに面接を受けたことなど、いまだに覚えています。

大学生になったのは1990年代前半です。既にバブルは崩壊していました。長い長い不景気の始まりの頃です。

 

当然のように私は様々な機関から奨学金を借り続けました。

一番ヒヤヒヤしたのは単位を落とす事でした。

借りていたある奨学金のルールに「仮進級は認めない」という条項があったのです。

そのときに通っていた大学は単位を3つまで落としても仮進級が認められていました。進級後にもういちど下の学年の講義を履修する事ができたのです。単位をひとつふたつ落としたまま進級し、年度末に無理をして辻褄を合わす。そんな同級生はたくさん居ました。

 

しかし私がこの技を使うと奨学金が打ち切られてしまいます。それはマズい。

自分だけゲームのルールが違うんですね。

それでもちゃんと卒業しました。

 

卒業時は奨学金が総額で900万円ほどになっていました。全額が返却される予定日の西暦を見て笑えてきました。

「そんな先まで未来が続いているのか!」

そんな気分になりました。

しかし未来が途切れることはなく、今月も返済のためにお金が口座から引き落とされています。 

 

 もし徳政令が本当に発令されれば、私は喜んで返すのをやめます。

合理的な投資家を目指しているので、お金を返すことにこだわったりしません。

 

 

3.奨学生は被害者じゃない

それでも「奨学金政令」にもやもやを感じるのは、奨学金を借りた人が被害者っぽく扱われているからでしょう。

 

お金を借りたら返す必要があります。

奨学金のお金は「自分への投資資金」です。自分のスキルを向上させ、より生産の高い人間にするための投資です。

遊ぶためのお金ではありません。将来稼ぐための資金です。

 

その事実に気付かずに大事な投資資金を浪費してしまった?

それは会社のお金を横領してギャンブルに使ってしまったのと変わりません。

 

ここまで返すのが大変だとは思わなかった?

奨学金を借り始めるのは、ほとんどが18歳以上です。18歳といえばもう選挙権すらあります。まっとうな判断が出来る大人だとみなされているわけです。

お金を借りるという意味くらい学んでおきましょう。

 

そもそも、と「奨学金被害者」に聞きたいです。

あなたは学生時代、図書館の貸出カードを持っていましたか?

 

図書館に行けば沢山の本が置いてあって、タダで借りることができます。

本を読むことは大変に効率の良い勉強方法です。世の中の仕組みもしっかりと知ることができます。

借金をすることの意味について、奨学金の意味について、学ぶ機会はいくらでもあったわけです。その機会を利用しなかったのは自分です。

 

それなのにただ被害者ぶるのは救われない。

自分を「判断力のない子供」扱いするのはやめましょう。

年齢的にはとっくに大人です。

 

 

4.おわり

私は大学の学費は無料にするべきだと思っています。

それが、この国がすべき将来への投資だと思っています。少子化対策の一助にもなるはずです。

 

だからといって、自分を子供扱いする「奨学金被害者」に共感はできません。

その時はそういうルールになっていたわけですから。

ルールを理解せずルールを知ろうともせずにゲームに負けて、被害者ぶるのはおかしい。

 わたしのもやもやの原因はそこなんだと思います。

 

 

株式投資の世界にも時々いますよね。

「有名投資家の〇〇さん推し銘柄を買ったら損した!!」って騒ぐ人。

自分を「判断力のない子供」扱いするのはやめましょう。

少なくとも投資家には徹底的に向いていませんよ。

 

 

 

  こんな本がいくらでも図書館に置いてあります。

         

あと、「放送大学」という奥の手もあります。ググってみてください。

明豊ファシリティワークス 2020年度2Q発表後

パックの飲物を飲んでいる女の子のイラスト

1.明豊ファシリティワークス決算前のブログアクセス数

このブログを読んでくれる人は少ない。でも良いんだ、趣味で書いているだけだから。

 

そんな「すっぱいブドウ」を地で行くような文章を何度も書いている。

しかし、明豊ファシリティワークスの分析を書いたときから急にアクセス数が増えた。そうなると「すっぱいブドウ」だと見切ったブドウを再び取りに行きたくなる。もっとアクセスが欲しくなる。

 

決算が出てすぐに記事を書けばアクセス数が伸びるだろう。

そう思いながら一週間以上経ってしまった。

 

正直言うとあんまり書くことがない。

「予想通りの2Q決算でした」

 

でもちょっとだけ思ったことを書きます。

twitterやYahoo掲示板で挙げられていた事も踏まえながら。

 

 

2.論点① 通期の上方修正がなかった

明豊ファシリティワークスの決算発表後、株価は2日間で11.8%ほど下がった。

 

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株価下落の理由の1つには、通期の上方修正がなかったことだと予想する。

 

御存知の通り明豊ファシリティワークスは7月30日に上方修正を出した。

その内容は前回の記事にも書いたが、

2Qで売上が20.5億円(+7.9%)、経常利益が4.00億円(+60.6%)と上方修正。

通期は売上が42.8億円、経常利益が7.9億円と修正せず据え置きだった。

 

上方修正から2ヶ月半経過したので、今度は通期も上方修正するんじゃないかとの期待があったのだろう。正直、私もそれを期待していた。

 でも期待した通りの上方修正はなかった。残念。

 

でも、そのうち通期も上方修正するんじゃないですか?

以前の記事に書いたようにビジネスモデルが機能すれば、会社は必ず成長する。そして現在の株価が過度に期待されたものでもないし。

会社の成長性に株価が追いつくまでゆっくり待つ予定です。

 

 

3.論点② 前回の上方修正より2Qの数字が悪かった

7月30日の上方修正では、

2Qで売上が20.5億円、経常利益が4.00億円だった。

 

実際の数字は、

2Qで売上が20.9億円、経常利益が3.92億円だった。

 

経常利益の数字が2%悪かった!

そんな意見もあった。

 

 それでは進捗率のグラフを見てみよう。まずは7月30日の上方修正時に出された数字をもとに作ったグラフだ。

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そしてこっちが今回出された2%悪い数字で作ったグラフ。

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違いがわかりますか?

 

私にはわかりません。2%は誤差の範囲内だと思います。

少なくとも長期目線では誤差です。

 

 

4.論点③ 社員数が減っている

3ヶ月前、1Q発表時点での明豊ファシリティワークスの社員数は251人だった。

今回の2Q発表時点での社員数が246人だった。

5人減っている。

 

明豊ファシリティワークスのビジネスは人材がとても重要だ。

優秀な社員が増えてこそ、会社が成長する。

そのことはブログの記事でもしっかりと書いた。

 

 今回の発表で社員が5人減っている。

 

しかし、今回発表の社員数は「契約社員派遣社員を含む」ものだ。

 

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バリバリのエース級社員が5人減っていれば惨事だが、派遣社員が減っただけならそれほど大きな影響はないだろう。

本当のところはわからない。4Q後に出される有価証券報告書には正社員と派遣社員を分けた数字が発表されるので確認したい。

 

 

5.おわり

あんまり書くことがない、と言いながら結構書いてしまった。

他に何か論点があれば是非コメント欄へ。

 

あるいはTwitterで。フォローすると喜びます。

 

それより明日は機関投資家向けの決算説明会があります。

動画がアップされるのは明後日以降かもしれませんが、きちんとチェックしていきたいです。