明豊ファシリティワークスを買った理由④
1.決算前のきもち
明豊ファシリティワークスの分析記事を書き始めてからブログのアクセス数が増えた。
連休明けの11月5日に2Qの決算が発表される事実が、アクセス数に拍車をかけているんだろう。
もっとも、もともと訪問者がごくわずかなブログなので、増えたと言っても大した人数ではない。記事の一番最後にアフィリエイトを貼ってあるが、それを踏んで買い物をしてくれた方はこれまで3人しかいない。ブログを開設して1年以上経ったのに3人、実質的な収入はゼロだ。ブログで月数万円の収入を得ている人はほんとにすごい。
まあブログは収益目的にやっているわけじゃないので一向に構わないんです。
いきなり話がズレた。
このブログを読んでいる明豊ファシリティワークスのホルダーの方は、11月5日の決算発表が気になっているはずだ。決算またぎをするかどうか迷っている人もいるんだろう。
今回は決算前に考えたことを少し書きます。
2.これまでの復習
まずは事実の確認から。
明豊ファシリティワークスは5月15日に2019年3月期の4Q決算を発表した。
その時に出された来季予想は、
2Qで売上が19.0億円、経常利益が2.49億円、
通期で売上が42.8億円、経常利益が7.9億円だった。
この控えめな来季予想について、社長は「米中関係とかいろいろあるし、景気の先行きが見えないのでこの数字を出した」と説明していた。
しかし、5月15日からわずか2.5ヶ月後の7月30日に上方修正を出した。
2Qで売上が20.5億円(+7.9%)、経常利益が4.00億円(+60.6%)、
通期は売上が42.8億円、経常利益が7.9億円と修正せず据え置きだった。
わずか2.5ヶ月後の上方修正の理由は、「社会的にCM(コンストラクション・マネジメント:発注者支援事業)が普及する中で、当社の認知度の向上もあり、受注が予想を超える水準で推移していることを主因に、売上高、営業利益、経常利益及び四半期純利益が期初予想を上回る見込みとなりました。」と書かれている。
「特別な理由はないけど、仕事の依頼が多いんで上方修正しました」
そう読める。
特別な理由もないのに利益が6割以上も増えるとか、ウケる。
そして6割も利益を増やしているのに通期の予想は据え置き、というのも気になる。
3.過去5年の業績予想と実績
以下は、2016年3月期からの四半期ごとの経常利益の進捗率だ。
前年度末に発表された数字を100%として、その進捗率をグラフにした。
2020.3の2Qについては7/30に発表された予想の値を入れてある。
2018年3月までは、ほぼ会社予想通りの結果を出している。
明豊ファシリティワークスの仕事は受注してから終了までの期間が長いので、先の見通しが見えやすいのだろうと予想する。
しかし2019年3月に、初めての大幅な上方修正があった。上方修正の発表は1月25日、3Q発表の10日前だ。
そして今期の上方修正は7月15日、1Q発表の5日前だ。タイミンとしてはずいぶん早い。
4.業態の変化による変化か
ホルダーの方なら当然ご存知だと思うが、明豊ファシリティワークスの業態は変化してきている。アットリスクCMからピュアCMへの変化だ(説明は省きます。会社のサイトにある決算説明資料を参照してください)。
この業態の変化によって、先の数字が読みにくくなったのかもしれない。
また、この業態の変化によって四半期ごとの偏重が変わってきた可能性もある。
上のグラフにあるように、2017年までは1Qの利益が極端に少なく、3Qが多い。その傾向が少しずつ薄れてきている。
アットリスクCMがほぼ完全にピュアCMに移行した今期は、四半期ごとの偏重がほとんどなくなってしまっているかもしれない。そうだとすれば、通期での上方修正がなかったのは控えめでもなんでもないのかもしれない。
あるいは、仕事の依頼がどんどん増えているのなら更に利益は上方修正されるかもしれない。 前回の上方修正から3.5ヶ月も経過しているのだから、それも十分にありうる。
いずれにしても仮定ばっかり。「かもしれない」ばかり。
私は当然決算をまたぎますが、通期の上方修正がなければ投げられるかもしれないです。上方修正があったとしても「出尽くし」で下がるかもしれない。
決算内容によっては跳ね上がるかもしれないし、先のことはわかりません。
しらんしらん。投資は自己責任です。
やることはやったので、あとは祈るだけです。
もちろん、長期では上げると思っているからホールドするんですが。
明豊ファシリティワークスを買った理由③ 将来性について
1.中長期の投資家なので
自分自身のことは中長期の投資家だと思っている。
成長しつつある企業を安く買って中長期で持つ。業績と共に株価が上がっていくのを楽しみとする。そういう投資家になりたいと考えている。
実際は業績があがるかどうかは分からないし、株価が上がるかどうかなんてもっと分からない。
それでも投資に際しては「その企業が成長するかどうか」という事を一番重視する。
その企業が成長するかどうか、その可能性はどのくらいか?それを自分なりに考え、成長性と株価を比較して、安ければ買う。
成長しててもあんまり高ければ買えない。成長する良い会社を安く買いたい。
いつもそう思って投資をしている。
というわけで、明豊ファシリティワークスの将来性について書く。
連休明けの決算発表が気になる方は多いと思うけど、決算予想はその後です。
2.CMの将来性
前回までの記事は中学生にもわかるよう難しい言葉を使わなかった。
今回からの記事は大人向けに書くので、説明不足になることもあるが勘弁してほしい。
前回までの記事で私は「建築アドバイザー」という言葉を使っていた。明豊ファシリティワークスでは「建築アドバイザー」という言葉は使っていない。コンストラクションマネジメント、略してCMという言葉を使っている。
このCM業界の将来性について書きたい。
CM業界での明豊ファシリティワークスの優位性は前回までに書いた。しかし、いくら優位性があったとしても、CMの市場がしぼんで行くのなら業績を伸ばすのは難しい。
まずCMの市場を見てみたい。
上の図は明豊ファシリティワークスの決算資料からのコピーだ。
平成30年度の建築マーケットは全部で70兆円。その中で道路やマイホームなどはCMの対象にならないので省くと、CMマーケットは22.6兆円になる。
22.6兆円の建築費のなかで、CMの介入を受けている部分は3兆円程度、全体の13%に過ぎない。これから国策としてCMを推進していくわけだから、今後も全体の13%にとどまるわけがない。市場が3倍に膨らんだとしてもまだ9兆円、潜在的な市場の半分にも至らない。
市場の天井はまだまだ高いと考えられる。
ちなみにこの3兆円の建築費のなかで、明豊ファシリティワークスが介入しているCMは7,000億円。シェアは23.3%だ。
公共工事に限って言えばシェア50%程度とのことだ。
3.ポイントは人材だ
ある田舎町で災害が起きてけが人が倍増しても、その街の整形外科の売上が倍増することは絶対に、ない。
田舎町の整形外科なんていつでも患者さんであふれている。災害が起きても起きなくても、整形外科医はいつだって忙しい。既に稼働率は100%近いのだから、それ以上患者さんが増えても売上が倍になることはない。医者が過労で倒れ、売上が激減する可能性すらある。
田舎の整形外科が売上を倍にしたいのなら、医師や看護師の人数を倍にする必要がある。
CM業界でも同じことが言える。
いくらCMの市場が拡がっても、その仕事をこなす人材がなくては売上は上がらない。
明豊ファシリティワークスの成長には、優秀な人材の確保が不可欠だ。
明豊ファシリティワークスが人材の確保について行ってる施策を、これから順に挙げていく。
・給料・
良い社員を集めるためには高待遇が必要だ。
有価証券報告書を見ると、明豊ファシリティワークスの社員の平均年齢は44.6歳、平均年収は963万円だ。
上場企業の平均年収は45歳で730万円。それと比べると、まずまずの高待遇だと考えられる。
少なくとも給料が安いと退職者が続出するような会社ではないだろう。
・残業・
いくら給料が良くても、毎日毎日仕事が終わらず、日付が変わる直前まで残業が必要になるような職場は嫌だ。逃げ出す社員、倒れる社員も増えるだろう。
しかし明豊ファシリティワークスは大丈夫だ。決算説明資料に残業時間の推移がKPIとして発表されている。
2018年度の平均残業時間は、月に19.0時間らしい。
これは、ただただ羨ましい。
社員の労働時間辺りの粗利益が出されているのも素晴らしい。無意味かつ非効率的な仕事ほど、労働者を消耗させるものはないのだから。効率的に気持ちよく仕事が出来るのは、社員にとっても会社にとっても良いことだ。
はー、羨ましい。
・業務の可視化・
上のグラフのようなデータを決算発表で示すことが出来るのはなぜか?
それは業務のデジタル化が進んでいるからだ。
明豊ファシリティワークスは1995年という早い段階から、仕事の進捗を顧客と共有するシステムを稼働させている。
それぞれの仕事の進捗状況、どの社員が何の仕事をやっているか、そういう事が管理できるようになっているらしい。
・ノウハウの蓄積、共有・
地方の公立病院で内科医が5人働いていたとする。しかしこの5人は患者さんをそれぞれ別個に診療している。お互いに干渉することなく働いている。総合病院ではあるが、開業医の集合体と同じだったりする。
こういうことは時々ある。
弁護士や会計士などの士業も、そういう事務所があったりするのだろう。よく知らないけど。
CM業界も同じことが起こる可能性がある。
「同じ会社で働いているけど、案件は社員一人ひとりが抱え込んでいる。その担当者が病気になったら、その仕事を引き継ぐ人が大変な苦労をしてしまう。」
こういう状況は望ましくない。
明豊ファシリティワークスでは業務のデジタル化、ノウハウの蓄積にとても力を入れているという。
「提案の仕方、選択肢の出し方、情報の取り扱い方、判断の仕方、意思決定の持って生き方、そういうものが財産であり、そのノウハウのデータ化と蓄積に非常に力を入れている」
決算説明会動画で社長がこのように熱く語っている。
蓄積したノウハウが共有できれば、新しく入った社員がそれを吸収して戦力化するのが早くなるだろう。社員ひとりあたりの生産性は向上する。
4.まとめ
・市場の拡大は問題なし
・社員の待遇も問題なし
実際、社員は年間10人程度増加している。建築業や設計などの実務経験を積んだ人を積極的に採用しているとの事だ。
明豊ファシリティワークスには将来性がある。
そう判断しました。
次回、5日発表の決算について考えた事を書きます。
↓ こんな本もあるんだ・・。読んでおかないとな。
明豊ファシリティワークスを買った理由②
1.信用できる人に頼みたい
これからマイホームを建てる人の気持になってみる。
家のことや不動産のことなど何も知らないけれど、今度家を建てることになった。いろいろ調べたけどやっぱりよくわからない。そんな時に「建築アドバイザー」という人がいることを知った。
建築業界と不動産業界で長く仕事をしているプロだ。自分と比べて圧倒的な知識と経験の差があるのだろう。
しかし、本当に信用できるのだろうか?
知識があったとしても信用できない人には頼めない。味方のフリをしているが不動産屋とグルになっているかもしれない。いいようにお金を抜かれて、その上にコンサル料まで取られてしまうのはたまらない。
そういう心配は必ず残る。
なんと言っても一生に1度の買い物だ。失敗は絶対に避けたい。
そんな事を考えていたところ、近所に建築アドバイザーが2人いることがわかった。どっちにアドバイスを頼めばいいだろうか?
① 25年前からアドバイザーを行っている、実績のあるAさん
② 2年前からアドバイザーを始めたばかりのBさん
いままでの実績を積み上げているAさんに頼みたいのではないだろうか?
高い買い物は失敗できないんだ。そこに駆け出しのBさんに仕事を依頼する理由がない。こういうことは信用と実績が命だ。
ましてや市役所なんかを建てる場合、発注者は公務員だ。
公務員は書類と前例主義で出来ている。そんな公務員が、実績のない人に数十億の仕事を任せるわけがない。
明豊ファシリティワークスは公共事業における建築アドバイザーの、シェア50%程度を占めている。
参考:https://www.meiho.co.jp/ir/document/201907103.pdf
圧倒的なシェアを握っているトップ企業がいるのに、それ以外の企業に依頼するのはよほどの理由が必要だろう。絶対失敗できない事業で、公務員がそんなリスクを取ることなど考えられない。
2.公平な人に頼みたい
話はまた最初に戻る。
マイホームを建てようと考えていた時、近所に2人の建築アドバイザーがいることを知った。どちらにアドバイスを頼めばよいだろうか?
① 知識はすごくあるが、その父親が住宅を建てる工務店を経営しているAさん。
② 知識はすごくあって、親類縁者に建築業者も不動産屋も居ないBさん。
「〇〇工務店に工事を頼めばいいよ。父親が経営している会社だけど、客観的に見てもいい会社だから」
Aさんがそんな事をアドバイスしてきた時、そのアドバイスが本当に公平で客観的な意見だと判断できるだろうか。
アドバイザーは公平さが求められる。実際に本当に公平であったとしても、親類縁者に関係者がいる場合、その公平さには疑問符がつく。そんな事では仕事がスムーズに行かない。
建築業者は建築の知識が十分にある。大きなビルを実際に自分で建てているのだから当然だ。
しかしこのような建築会社は「アドバイザー」としての仕事をすることは出来ない。公平さに欠けると判断されるためだ。株式投資でインサイダー取引が禁じられているのと同じだ。
明豊ファシリティワークスは建築会社とはつながっていない独立した会社だ。
建築業者がいくら建築に詳しくても、子会社をつくってアドバイザー業を始めることは出来ない。明豊ファシリティワークスの縄張りの周囲には、十分な深さの堀がある。
3.国策として国が後押ししている
「地方公共団体による工事」という言葉に悪いイメージを持つ人もいるだろう。
政治家と建設業者の癒着、ハコモノ行政、談合、税金の無駄遣い、公共事業の甘い汁、下請けに丸投げ、脂ぎったくさいオヤジ、料亭での密談、接待、黄金色のお菓子・・。
そういう一面もあるのかもしれないけれど、そんな昭和的な風習をいつまでも受け継いでいる余裕はない。この国はそろそろシャキッとしないとマジでヤバい。
そんなわけで、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」というものが2014年に改正された。そこに「発注者は、発注関係事務について外部能力を活用することができる」という内容が追記され、公共工事の契約の際にアドバイザーを入れることが促進されるようになった。
それ以降、アドバイザーを外部から雇って工事をする方式「コンストラクション・マネジメント」が増え始めた。そこには上記の悪い風習が付け入るスキはない。
公共事業の品質を上げるために、国が動いているんだ。
明豊ファシリティワークスには国策の後押しがある。
しかしこのコンストラクション・マネジメントだが、まだ普及率は1~2割に過ぎない。成長の余白は十分だ。
そんな業界の真ん中にいる明豊ファシリティワークス、今ならとてもお安く求められます。おひとつ、いかがですか?
ええ、ポジショントークです。
続きます。
次回は具体的な数字を見ていきます。
明豊ファシリティワークスを買った理由
1.株との付き合い
自分は長期投資家だと思っている。
だから株の売買の頻度は低い。所有する株の一部を売ることは時々あるが、割合を変更するだけの事が多い。つまり下がる可能性が高いと判断した株の割合を減らしたり、上がる可能性が高いと判断した株の割合を増やしたりするだけだ。あるいは現金の比率を増やしたりもする。
だからポートフォリオの中のメンツはあまり変わらない。何年も付き合いの続いている企業たちが並んでいる。
そんななかで、最近めずらしく新規の株を買った。
明豊ファシリティワークスという会社だ。
また数年間お付き合いすることになるんだろうと思う。長く良い付き合いができればいいと思っている。
「長く良い付き合い」とは、「保有している間、企業が良い業績を出し続けて、株価が順調に上がっていき、含み益が積み上がっていくという状態がずっと続く」という付き合いだ。なんて理想的な付き合いだろう。
・・そう自分で書きながら、その気楽さが笑えてくる。
そんなストレスがない付き合いばかりだったら、株式投資はもっとずっと楽しい。
実際は株価下落にメンタルを揺さぶられながら、それでも自分の判断を信じ続けるという、つらい付き合いになることも多い。
どれだけ株価が下がっても、最後に上がれば報われる。
株価が上がる前に企業と自分の判断が信じられなくなれば、我慢できなくて売ってしまう。そういう時に限ってその後に株価が上昇を始めたりする。株のつらいところだ。
最近買った明豊ファシリティワークスだが、今後株価が下がることもありうる。
そんな時に出会った頃の気持ちを思い出せるよう、買った理由を書く。
2.一生に1回か2回しかない買い物
たとえばコンビニで朝ごはんを買う。
今まで何百回も経験しているし、今後もするだろう。コンビニのおにぎりが安いか高いかは感覚でわかる。食べる前から味が予想できる。
そして何百回もある朝ごはんの買い物は、失敗してもダメージが小さい。初めて買った新商品のおにぎりが吐きそうなほど不味くても、その損失は100円ちょっとだ。
このおにぎりは美味くないので今後買わない。それで終了だ。
「笑えるくらい不味いおにぎりがある!」とネタにすることすら出来る。
しかし、たとえばマイホームを建てる。
家を建てるのは一生に1度経験するかどうかだ。1回経験しても次はないかもしれない。
マイホームの立地は大丈夫だろうか?大雨がきたら冠水しないか?地震が来た時は液状化しないか?この断熱で冬は温かいか?夏は涼しいか?防犯はどうだ?この間取りは不便じゃないか?水回りは大丈夫か?コンセントはこの位置でいいのか?そもそもこの家の値段はこれでいいのか?品質と値段が釣り合っているのか?騙されてぼられているんじゃないか?
そういう不安は必ずつきまとう。いろいろ本を読んだり、いろいろな住宅メーカーの人に話を聞いたり、モデルハウスを何軒も回ったりする。
それでも本当のところはわからない。「初めてのお買い物」をする消費者と、海千山千の不動産屋と住宅メーカー。知識の差は絶対に埋まらない。
無知に付け込まれて騙される可能性は、決してゼロにならない。
ひどい不動産屋に騙された!とネタにして喜べるほど余裕がある人は少ないだろう。100円のおにぎりとは違うんだ。数千万円のマイホーム購入の失敗は、人生を暗転させるに十分なインパクトを与える。
たとえあくどい会社に意識的に騙される事はなくても、経験の無さから必要性の低い設備を導入したりして余計なお金を使うことは十分にある。
そんな時にきちんとした知識を持つ人がアドバイザーになってくれるとありがたい。
「この土地は70年前にあった大雨で冠水したことがあります」
「ここは4mの深さに固い地盤があるから、その深さまで杭を入れると安心ですよ」
「この町は周囲の町と比べると空き巣の発生件数が2.5倍です」
「断熱材にこれだけのお金をかけると、年間このくらいの冷暖房費が浮きます」
「この広さの家ならここまでの暖房施設は不要です。グレードダウン可能です」
「この構造だと停電が続いた時にトイレからウンコが逆流してきます」
不動産屋でも住宅メーカーでもない第三者が、消費者側に立って上記のようなアドバイスしてくれると助かる。こっちは初めて家を建てる素人なのだから。
明豊ファシリティワークスは、そのありがたい第三者をやってくれる会社だ。
3.明豊ファシリティワークスのビジネス
建物を建てるのは個人だけではない。企業や学校、地方自治体なんかも建物を建てる。
そのときに建物を発注する担当の人は、たぶんそれが初めての買い物になるだろう。
市役所の建物や消防署の建物を建て直すのは数十年に一度だろう。校舎や本社ビルを立て直すのも同じだ。20年ごとにすべての建物を建て替える伊勢神宮じゃないのだから、普通の団体は建物を何度も何度も建て替えない。
だから前回の建て替えのを経験した職員はほとんど残っていない。
経験のない素人が、業者の言われるままに数十億の資金を使って建物を建てることになる。業者にとっては付け入るスキがあって美味しいだろう。しかし発注側はいいカモにされてしまう。
そこに明豊ファシリティワークスがアドバイザーとして入る。
必要な部分にお金を使い、無駄なものはカットしていく。
出来上がった建物は必要な機能を十分に持ち、そのうえ無駄使いしてない分安くできる。50億円かかっていたところを45億円で、よりよい建物が完成する。
明豊ファシリティワークスは浮いた5億円のうちの一部を報酬として受け取る。
発注者にとってはとてもありがたい存在だ。より良い建物が建つ上に、値段も抑えることができる。明豊ファシリティワークスにアドバイス料を払っても、全体ではお釣りが来るほど安くなる。
発注者にとって明豊ファシリティワークスは、
「面倒くさいことを代行してもらえる」
「無知に付け込まれることを防止出来る」
「コストが削減できる」
「職場の他の人に建設の仕事を説明しやすくなる」
「その結果、職場内で合意形成がしやすくなる」
そういった事を叶えてくれる会社だ。
そんな会社の株を買ってみたんだ。
長くなったので続きます。
小学生向け会計クイズ
1.会社の数字を調べるのは手段
このブログでは決算書を読むことを推奨している。
「決算書も読めずに株式投資を行うのは火が熱いことを知らずに料理を始めるようなもの」「決算書を読めない投資家はマーケットの養分」
そんな話が時々出てくる。
もちろん決算書なんて全く読まずに株式投資で勝ち続ける人もいる。
でもそんな一部の天才(あるいは常識を超えた幸運の持ち主)の真似をするのはお勧めしない。天才のやり方を凡才が真似しても上手く行かない。
凡才はどんなジャンルでも、地道に努力して勝つ可能性を上げていくしかない。もちろん株式投資でもそうだ。
あきらめて決算書を眺めると、たくさんの数字が書かれている。このブログを読んでくれている中学生は、もう売上や営業利益や借金の額や現金の額を読み取ることができるはずだ。
しかし決算書を読む目的は、数字を調べることだけではない。
数字を調べるのは目的だけど、手段でもあるんだ。
今日はその事について書いてみる。
2.小学生向け会計クイズ
数字を調べるのが目的じゃないのなら、何を調べるのが目的なのか?
その話の前に、このクイズを解いてみてほしい。
問題:以下のA、B、Cはドラえもんの登場人物である「のび太」「スネ夫」「しずか」のお小遣いについて書かれている。
スネ夫のお小遣いについて書かれているのはA、B、Cのどれか?
A:
お小遣い 1,500円
コロコロコミック 560円
お菓子 480円
文房具 220円
財布落とした 300円 → 残金 0円
2019/9/30時点での資産
漫画、書籍など 13,800円
おもちゃ 4,800円
切手 850円 → 合計 19,450円
B:
お小遣い 150,000円
漫画 8,760円
お菓子 1,890円
ラジコン 78,900円 → 残金 60,450円
2019/9/30時点での資産
漫画、書籍など 186,800円
おもちゃ 295,000円
パソコン等 375,900円
切手 897,560円 → 合計 1,755,260円
C:
お小遣い 4,000円
本 1,890円
やきいも 480円
文房具 920円
入浴剤 400円 → 残金 310円
2019/9/30時点での資産
書籍など 83,800円
おもちゃ 7,800円 合計 91,600円
答えがわかっただろうか?
私はドラえもんマニアではないので、内容は適当だ。最後にドラえもんのマンガを読んだのは10年以上前だろう。だから「スネ夫が持っているはずの〇〇が資産計上されていない!」「しずかちゃんは焼き芋が嫌いなのに買うわけがない」といったようなクレームは受け付けません。
それはともかく。
「Bがスネ夫だ」と答えて欲しいのだろうな、というのは気付くと思う。
小学生にしては尋常じゃない額のお小遣いをもらい、たくさんのおもちゃやマンガを持ち、かつてブームだった時に買ってもらった貴重な切手を大量に持っている。
Aはのび太で、Cはしずかちゃんだと当ててくれれば嬉しい。
3.小遣いの額だけではない、性格も知りたい
スネ夫がそのコレクションやラジコンを自慢するシーンは何度もあった。
つまりスネ夫の家は金持ちだ。
小遣いも多額だろうし、たくさんのおもちゃやマンガを持っているはず。
スネ夫は甘やかされて育っているお金持ちのバカ息子だ。甘やかされて育った人間はワガママだし根性もない。
だからBが答えだ。
このクイズに答えた時、無意識のうちに上記のような思考を巡らせてたはずだ。
Aはのび太だろう。いつもスネ夫のことを羨ましがってドラえもんに道具をだしてもらっていた。財布を落としているあたりものび太らしい。小学生だからドジで済まされているけど実際はただの不注意だ。少ない小遣いを無駄に使っているし、残念な子だ。
Cはしずかちゃんだろう。いつもお風呂に入っている、きれい好きな女の子だ。本や文房具にお金を使っている。いかにも優等生らしいお金の使い方だ。
ドラえもんを読んだことがない人でも、お小遣いとその使い方と資産状況を知れば、それがどのようなキャラクターかが予想できるだろう。
お金はとても汎用性が高い道具だ。
お金の使い方を見ると、その人の趣味や性格がよく分かる。
4.個人も会社も同じだ
ここで話が元に戻る。
決算書を読めば、その会社の資産や利益の数字を知ることができる。
すごく儲かっているのか、赤字なのか。沢山の現金を持っているのか、借金だらけなのか。すべて決算書に書いてある。
そしてお金の流れがわかれば、その会社の「キャラクター」もわかる。
激しい競争を戦いながら必死で生き延びているの会社か?
経営が下手で打つ手打つ手が裏目にでている会社か?
規制された業界でのんびりと生きている会社か?
株のほとんどを握っている創業者一族に食い物にされている会社なのか?
そんな会社のキャラクターもある程度理解することができるんだ。
会社のキャラクターが「ダメなやつ」「嘘つき」「大事な時に裏切る」「運も悪い」。そういうネガティブな印象だった場合、株を買うのは止めといたほうが良いだろう。
「地味だけど努力家」「必要な仕事を淡々とやり続ける」「ここぞという時に全社一丸となって危機を乗り切る」「投資家にもきちんと利益を還元している」。
そんなポジティブな印象の会社に投資したい。
先程のクイズなら、小学生でもBがスネ夫だと答えられるはずだ。お金の流れから、その人のキャラクターを読んだわけだ。
小学生でも出来るのだから、中学生が決算書を読んで会社のキャラクターを読むことも出来るはずだ。
スネ夫よりしずかちゃんと友達になりたいだろ?
決算書が読めるということは、出会う前にしずかちゃんを選ぶことが出来るってことなんだ。
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黒字倒産とは何か?儲かってる企業が倒産する訳は?
1.黒字倒産!
商売がうまく行かなくて利益が出ない。そんな状態の事を「赤字」という。
逆に、商売が上手く行って儲かる状態の事を「黒字」という。
そのくらいは中学生でも知っているだろう。
しかし、世の中には「黒字倒産」という言葉がある。
商売が上手くいってお金が儲かっている。それなのに倒産してしまう。
そんな不思議な事が、世の中では時々起こる。
これは株式投資家にとって嫌な話だ。
儲かっているから、これから成長すると思っているから株を買ったのに。それなのに倒産してしまう。買った株が無価値になってしまう。
あんまりじゃないか?黒字でも倒産してしまうなんて。やっぱり株は怖くて出来ない。
そう思う人もいるかもしれない。
でも大丈夫だ。決算書さえちゃんと読めれば、黒字倒産する会社の株を買ってしまう事はない。安心してほしい。
というわけでまず、なぜ黒字倒産なんていう事が起こるかを見てみよう。
2.現金がどんどん減っていても黒字だったりする
ここで、「くま不動産」という架空の会社を見てみよう。
くま不動産は土地を買って住宅地を造成し、販売する会社だ。
2019年前半、くま不動産はとても業績が良かった。
2018年にくま島と本州を結ぶ「くま島大橋」が開通したのだ。くま島から本州に通勤、通学することも可能になり、多くの人がくま島に家を建てるようになった。その結果、くま不動産は大繁盛していた。売り物が足りなくなる程、土地はよく売れた。
勢いに乗ったくま不動産は、大量の土地を仕入れるようになった。多額の借金をして土地を買い求めた。仕入れた分だけ売れるのだから、仕入れをケチる必要はない。
しかし2019年10月になって、土地の売れ行きは突然悪くなった。消費税の増税のためだ。くま島の土地を買おうと考えていた人は、みんな増税前に買ってしまっていた。
しばらく待てば、また土地が売れるようになる。そう思ってくま不動産は土地の仕入れを止めなかった。
何年経ってもくま島の土地の売れ行きは回復しなかった。くま不動産はたくさんの土地を在庫として抱え込んでしまった。
この間、くま不動産が持つ現金はどんどん減っていった。次々と土地を買っていたのに売れなかったのだから当たり前だ。
しかし現金がどんどん減っている間も、くま不動産は黒字だった。
買った土地が売れていない。それでも決算書にある「損益計算書」には、くま不動産が儲かっていると書かれてあった。
くま不動産はウソを書いていたわけではない。決算書のルール通りに書くと、現金がどんどん減っている状態の会社でも「黒字」だという事になるのだ。
ちょっと難しい話になるが、損益計算書には「費用収益対応の原則」というルールが存在する。これは「売上に対応する仕入れ在庫だけが、売上の原価として計上される」という意味だ。
くま不動産は1,000万円の土地を10ヶ所購入した。全部で支払いは1億円だ。
このなかで実際に売れた土地は1ヶ所だけだった。1,400万円で売れた。
この場合、損益計算書には「売上1,400万円、原価1,000万円、粗利400万円」と記載される。売れなかった9ヶ所の土地の代金は原価に含まれない。だから利益が400万円出たことになる。これが「費用収益対応の原則」だ。売上に対応していない費用(この場合は9ヶ所の土地の仕入れ代金9,000万円)は計上しなくていいんだ。
実際は1億円の仕入れをして、1,400万円しか売れなかった。現金が8,600万円減っている。
だけど、損益計算書のルールでは「売上に対応する仕入れ在庫だけが、売上の原価として計上される」となっている。このルールによると、くま不動産は黒字なのだ。
3.黒字でも現金がなければ倒産する
上の話が理解できれば、黒字倒産が全然不思議じゃないことがわかるだろう。
会社が倒産するのは、手元に現金がなくなった時だ。
現金がなくなれば、お金を期限通りに払うという約束が守れない。 お金を払う約束が守れなかった時に、会社は倒産する。
書類の上でどれほど儲かっていたとしても、お金がなくなれば会社は倒産するんだ。
黒字倒産がおかしいわけじゃない。現金が減っているのに黒字というルールが、ある意味おかしいんだ。損益計算書のルールは、時として現実にそぐわない。
「現金がどんどん減っているけど黒字」と言われても困る。理屈の上で儲かっていても嬉しくない。理屈だけじゃ腹の足しにはならない。
大事なのは現金なんだ。
だからこそキャッシュフロー計算書が大事だ。
損益計算書よりずっとリアルなお金の動きが書いてある。
「今回はちょっと難しくて理解できない、もっとわかりやすく書け!」
そう思う中学生がいるかもしれない。
わからなくてもこれだけは覚えておいてほしい。
現金の流れが載っているのはキャッシュフロー計算書だ。
現金がどんどん減っている企業の株は買うな。
現金の流れがわかるキャッシュフロー計算書は重要なんだ。
ふたたびキャッシュフロー計算書の話
1.現金を増やす方法
前回、キャッシュフロー計算書を見ると企業が持っているお金の金額がわかるという話を書いた。せっかく話が出てきたので、ついでにもう少しキャッシュフロー計算書の話を続けたいと思う。
さて、お金をほとんど持っていない中学生のみなさん。
突然ですが、私が手持ちの現金を増やす方法を教えてあげます。
実は手持ちの現金を増やす方法は3つあります。
① 稼ぐ
② 財産を売る
③ 借金する
この3つ。
バカにしてんのか?と怒らないで。これはとても大事な話なんだ。
順番に説明する。
まず、① 稼ぐ。
アルバイトをして給料をもらう、自分でたこ焼き屋を始めて利益を得る、現金が当たる懸賞に応募する。
なんでもいい。とにかく稼ぐこと。お金を稼ぐと手持ちの現金は増える。
しかし稼ごうとしても、たこ焼きが売れなければ赤字になる。懸賞が当たらなければ切手代が無駄になる。稼ぐのが失敗すれば手持ちの現金は減る。
そして② 財産を売る。
持っている本をブックオフに売る、ポケモンカードをヤフオクで売る、じいさんから貰った古銭をメルカリで売る。
なんでもいい。財産を売って代金を得る。財産を売ると手持ちの現金は増える。
逆に財産を買うと手持ちの現金は減る。
最後に③ 借金をする。
家族からお金を借りる。友達からお金を借りる。奨学金を借りる。
なんでもいい。借金をすれば手持ちの現金は増える。
借金を返すと現金は減る。
2.キャッシュフロー計算書
やっぱりバカにしてる、と思わないでほしい。
この3つが理解できれば、キャッシュフロー計算書は理解できるんだ。
これは、前回の記事でも出てきたシステムディのキャッシュフロー計算書だ。
キャッシュフロー計算書を見ると、企業がどのくらい現金を持っているかがわかる。
上の表の一番下の欄「現金及び現金同等物の期末残高」の部分だ。
ここに書いてある通り、システムディは平成30年10月31日の時点で7億3,239万円の現金を持っている。
キャッシュフロー計算書は、このお金をどのように手に入れたかが書いてある表だ。
まず、下から2行目を見てほしい。「現金及び現金同等物の期首残高 520,247」と書いてある。
一番下の欄は「期末残高」、下から2行目は「期首残高」だ。
つまり、1年前の平成29年10月31日には、システムディが5億2,024万円の現金を持っていたという意味だ。それが1年後に7億3,239万円になっている。
1年間で2億1,215万円増えた。どうやって増やしたのか?
それが書いてあるのがキャッシュフロー計算書だ。
3.稼ぐ、財産を売る、借金する
ここで話が最初に戻る。
お金を増やす方法には、① 稼ぐ、② 財産を売る、③ 借金する、の3通りあると書いた。
上のキャッシュフロー計算書でマーキングしてある部分の、
「営業活動によるキャッシュフロー」とは「① 稼ぐ」の方法でお金を増やした額が書いてある。システムディの営業活動によるキャッシュフローは11億1,989万円。つまり、システムディは業務支援ソフトの商売で1年間に11億円以上稼いだということだ。
「投資活動によるキャッシュフロー」とは「② 財産を売る」の方法でお金を増やした額が書いてある。システムディの投資活動によるキャッシュフローは▲6億4,656万円、マイナスだ。つまり、システムディは財産を売るのではなく買っているんだ。6億円以上のお金を、財産を得るために使っている。
もちろんシステムディはポケモンカードや金塊などの財産を買ったわけではない。仕事に必要なパソコンや机などの財産を買ったんだ。すべて今後の仕事に役立てるための出費だ。だから財産を買った出費の事を「投資活動」と呼んでいるんだ。
「財務活動によるキャッシュフロー」とは「③ 借金する」の方法でお金を増やした額が書いてある。システムディの財務活動によるキャッシュフローは▲2億6,118万円。これもマイナスだ。つまり、システムディは借金をするのではなく、返しているわけだ。稼いだお金から2億6千万円の借金を返済したのだ。
まとめると、システムディは本業で11億円以上稼ぎ、6億円以上の財産を買い、2億円以上の借金を返した。その結果、5億2,024万円の現金が、1年後に7億3,239万円に増えた。そういう事がキャッシュフロー計算書で読み取ることができる。
4.まとめ
とりあえず大事なところはここまで。
お金を増やす3つの方法は、① 稼ぐ、② 財産を売る、③ 借金する、の3通り。
それぞれ、① 営業活動によるキャッシュフロー、② 投資活動によるキャッシュフロー、③ 財務活動によるキャッシュフローと呼ばれている。それぞれの金額が、キャッシュフロー計算書には分けて書かれている。
キャッシュフロー計算書を読む上で、まず理解するのは5行だけでいい。
一年前の現金の額である「現金及び現金同等物の期首残高」
現在の現金の額である「現金及び現金同等物の期末残高」
なぜそのように変化したのかが3つに分けて書かれている、
① 営業活動によるキャッシュフロー
② 投資活動によるキャッシュフロー
③ 財務活動によるキャッシュフロー
この5行だ。
企業はお金を稼ぐための組織なのだから。
お金の流れが書いてある部分が一番大事なんだ。
まずはここまで理解しよう。
以前に書いた記事も、合わせて読んでください。
キャッシュフロー計算書って家計簿と同じなんです。