中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

手術が上手くなりたい人のために/投資が上手くなりたい人のために①

腹腔鏡手術のイラスト

1.私の職業

あまりブログでは触れていないが、私の本業は産婦人科医だ。

 

都会の方では「産科医」と「婦人科医」が分かれている病院もあるが、医師の数が足りていないイナカでは両者を区別する余裕はない。産婦人科医はお産もやるし、婦人科の手術もやる。普通の分娩も帝王切開もやるし、子宮や卵巣の手術も執刀する。腹腔鏡の手術などもやっている。

というわけで、私は日々血と羊水を浴びながら暮らしている。

 

産婦人科医のくせに投資をやっているのか?こんなブログまで書いてて暇なのか?もっと患者さんのために努力するのがスジじゃないか?」

などという批判を受けると面倒だ。ブログで職業について触れてなかったのはそれが理由だ。

今はそこまで反響のあるブログじゃないのでいいかと思っている。

でも念のため、予想される上記の批判について先に答えておきます。

 

わたしは全然暇じゃないです。だからつまらない批判は無視しますからよろしく。

 

 

このブログは株式投資がテーマだ。それなのに何故自分の職業の話を始めたのか。

それは、手術と投資がとても似ている事に気づいたからだ。

そして手術の技術を習得することと、投資の技術を習得することも共通点が多い。その両方を「それなりに」習得してきた自分だ。悩みの多い駆け出し外科医と、悩みの多い駆け出し投資家に役立つことも書けるかもしれない。

 

そう思ったから自分の職業を公開したんだ。

投資など全く興味のない駆け出しの外科系の医師にも役に立つと思う。間違ってこのサイトに迷い込んだ外科系の皆さんも、ぜひ読んでいってください。

 


2.駆け出しの外科系医師の悩み

 手術は手を使った技術だ。医師になる以前に行っていた机の上の勉強とは全く違う。勉強ができる医師が、手術も上手いとは限らない。

 

医学部の受験から医師国家試験まで、コツコツ勉強して知識を身に着けることは何度も経験しているし慣れている。しかし手術が上手くなるためにはどうすればいいのかよくわからない。

もちろん手術をする前には解剖の本を読み手術書を読んで準備をする。しかしお腹の中の状態は個人差がある。なかなか教科書通りにはなっていない。まして手術中に予定外の出血があったときなどは頭の中が真っ白になってしまう。教科書通りじゃなくても、急に出血しても、それに対応していく必要がある。

 

先輩の医師が執刀する手術に助手として入るのだけど、あまりにレベルが違いすぎて何をやっているのかすらわからない。自分も同じことが出来るようになる気が全くしない。

 

先輩の医師がいろいろ教えてくれるのだけど、その言葉はあまりにも感覚的だ。

「そうじゃない、もっとそこはガバーっという感じでペアンをかけるんだ」

ガバーってなんだよ。

 

「なぜそこでコッヘル使う?そこでそれを使うと出血するのがわからない?」

わからないから使ったんだよ。なんでわかるんだよ?


「経験を積めばいずれ上手くなるよ」
いずれっていつだよ。俺は早く上手くなる方法が知りたいんだ。

 

「お前にはセンスがない。センスを身に着けろ」

なんだセンスって。それを教えてくれよ。

 

「センスは持って生まれたものだから身に着けることはできない」

・・・うるさい。黙れ。

 

 

上の例はすべて私が実際に言われた言葉だ。手術が上手い人が教えるのも上手いとは限らない。

 

そして、まれに本当にセンスのある若手医師がいる。執刀経験がそれほど多いわけでもないのに、実に手際よくやってのける。出血量も少なく、執刀時間も短く、スムーズに終えていく。そういう同僚がいると、励みになるより先に凹む。

やっぱりセンスが必要なのだろうか、などと考えてしまう。

 

 

3.駆け出しの外科医と投資家の悩みのまとめ

書いていると昔の仄暗い感情が湧き上がってくる。

 

でもそんなに苦痛じゃない。私はもうそれなりの技術を身に着けた。後輩と一緒に手術に入って多少は指導したりする立場にもなった。

 

手術が上手くなりたい若手外科系医師の悩みをまとめてみる。

・上手くなる方法が確立されていない

・だから努力の方法がわからない

・適切な指導者が必ずしもいるわけではない

・手術は実際に執刀しなければ上手くなれない

・しかし執刀の機会はそれほど多くない

・手術は常にリスクをともなう

・予想外のことはいつでも起こる可能性があり、対応できない

・上手い人と自分を比べてしまい、凹む

・手術動画や手術書は上手い人が作っており、才能が違う

・へたくその初心者が「普通の執刀医」になるための方法が知りたいんだ

・自分には才能やセンスが不足しているのではないかと考えてしまう 

 

 

これは投資が上手くなりたい初心者の投資家にも当てはまると思う

・上手くなる方法が確立されていない

・だから努力の方法がわからない、本を読んでも儲からない

・適切な指導者が必ずしもいるわけではない

・投資は実際にお金を使ってやらなければ身につかない

・でも種銭がそんなにあるわけではない

・投資は常にリスクをともなう

・予想外のことはいつでも起こる可能性があり、対応する自信がない

・上手い人のパフォーマンスと自分を比べてしまい、凹む

・本やツイキャスは上手い人がやっており、才能が違う

・へたくその初心者が「普通の投資家」になるための方法が知りたいのに、初心者向けのものは怪しげな教材も多く、何を信じていいのかも分からない。

 ・やっぱり自分には才能やセンスがないのだろうかと考えてしまう

 

 

4.これだけはまず伝えたい

予想通り話は長くなりそうだ。

 

次回に続くんだけど、次も読んでもらえるかはわからないのでこれだけは覚えておいてほしい。

 

手術も投資もセンスはいらない。

センスがない、とディスってくる人の言葉は完全に無視してよい。

 

 年利100%を目指す投資家とか、心臓血管外科の頂点を目指すとか。

そういう方以外はセンスなんていりません。本当です。

 

詳しくは次回書きます。

 

 

 

↓ 駆け出しのころ、こういう本を何冊か読みました。参考になる部分もありますが、トップナイフになる方法より「まず平均的な医師になる方法」が知りたかった。

外科手術に上達くなる法ートップナイフたちの鍛錬法