手間いらずを買わなかった理由
1.買っときゃよかった手間いらず
前回、私が株を買う前に必ず行うルールについて書いた。
現在私が持っている株は、すべてその調査を行った後に購入を決めた株だ。
同様に調査を行ったのだけど最終的に購入を見送った銘柄はたくさんある。「購入すべきじゃない」という自分の中の反対派が議論に勝った銘柄だ。
その銘柄の中にはその後暴落したものもあるし、スイスイ上がっていった株もある。
「買わなくて良かった」と思うことも「買えばよかった」と思うこともあるが、今回は「買えばよかった」の方について書く。自分がなぜその企業に興味を持ち、どのように調査を進め、どのポイントで購入を見送ったか?
そしてその後どうなったか?
そんなことを書いてみます。
「手間いらず」っていう会社の株なんですけどね。
購入を検討していたのは2019年5月。買っておけば2倍になっていた訳だけど、買わなかった。
そんな事はよくある話。だからなんの感情も込めずに純粋に振り返ってみます。
2.手間いらずのビジネスモデル
成長している企業を見つけたら、まずビジネスモデルを調べる。前回の記事でも「はじめに決算の書類5年分に目を通す」というような話を書いたが、ビジネスモデルを十分に理解するのが第一の目的だ。
手間いらずは「ホテルの予約サイトを一括してコントロールするサービスを提供する会社」だ。
旅行や出張でホテルの予約が必要になるとき、ほとんどの人はネットで検索するだろう。楽天トラベルとか、JTBや近畿ツーリストなどのサイトとか、Booking.comとかAirbnbとか。どんなホテルがあり、どんな値段で泊まれるのか、そもそも部屋は空いているのか?そういう事をネットで確認する。
ホテル側としてはなるべくたくさんのお客さんに来てほしい。だから多くのサイトに登録する事になる。ホテルの予約サイトは有名無名を含め、国内に100以上ある。すこしでも部屋を埋めるためには多くのサイトへの登録が必要だろう。
そうなると情報の更新が大変になる。ひとつ予約が入るたびに、多数のサイトの空き部屋数の情報を変更しなくてはいけない。これは大変に面倒だ。
そこで利用するのが手間いらずのような会社だ。多くのホテル予約サイトを一括してコントロールできれば大変に手間が省ける。そういう事が可能になるアプリケーションを、手間いらずは月額9,900円~の料金で提供している。
3.数字を調べる
売り上げも利益も成長している。
検討していた頃の2019年2Q決算資料だが、年間24.4%で成長していることをアピールしている。
アプリケーションを一度開発してしまえば、あとはコピーして売ってお金をもらうだけだ。売り上げがのびればそのまま利益がのびる。
その結果、当時の営業利益率は驚異の 62.0%。社員数わずか38人が、半年間で6億4,000万円を売り上げ、2億7,000万円を稼いでいる。むちゃくちゃ儲かってる。
儲かりすぎて、B/Sには現金があふれかえっている。
32億4千万円のB/Sのうち、現預金が29億9千万円を占めている。儲かりすぎてお金を使うところがないんだ。
4.ここまでのおさらい
手間いらずがすごく儲かっていることは間違いない。
念のため、前回書いた「株を買う前のルール」に従って確認していく。
・決算に関する書類は過去5年分目を通す
→ 読んだ。すごく儲かっている。ビジネスモデルもよい。
・セグメントごとの売り上げと利益の推移のグラフを作る
→ ホテル予約アプリケーションの売り上げが97.2%。他を検討する必要なし。
・月次が出ている場合、これもエクセルでグラフを作る
→ 月次は出ていない。そもそも導入施設数が非公開。
・企業のサイトのすべてのページを見る
→ 見た。特に引っかかる事なし。
・転職サイトで社員や元社員の口コミを見る
→ 社員の話はみつからない。社員数38人だし。
・その企業が提供している商品やサービスの評判を掲示板で確認する
→ 悪い印象はない。
・可能であれば自分で商品を買ったりサービスを利用したりする
→ これは無理。
・競合他社を調べる
→ ここからが問題。
すごく儲かっている会社だし、成長もしている。
しかしこの状況はいつまで続くのか?20%以上の成長がいつまで維持できるのか?
そんなことを考えて結局購入を見送った。その思考の過程を次回書きます。