中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

PSOLを買ったわけ⑦・・企業価値と株価について

アリババと40人の盗賊のイラスト

1.成長のためのボトルネック

ちょっと前にTwitterでこんな事をつぶやいた。

 

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具体的には一時期のニンテンドースイッチをイメージすればいい。

どこの店舗でも品切れ、Yahooオークションで定価よりずっと高値がつくような状態では、商品の供給イコール売上になる。

この場合のボトルネックは商品の供給だ。需要はいくらでもある。商品の供給量を増やす事が、そのまま売上の増加につながる。

 

 

PSOLのビジネスモデルや立ち位置については過去6回に分けてそれなりに書いた。

顧客企業に導入された各種の汎用システムを、それぞれの企業が利用しやすいようにアレンジし最適化する。ニッチかつ面倒くさい労働集約的なこのビジネスには競合がいない。そしてDXの流れは加速する事はあっても止まることはない。

 

ここからはかなり乱暴な仮定になる。

PSOLの成長にとってのボトルネックは人材の確保なのではないか。人材の確保が進めば、それがそのまま売上の増加につながるのではないか。

そのように考えた。

 

 

2.PSOLのこれまでの成長

PSOLの過去の売上を確認する。

有価証券報告書で2015年からの売上高と従業員数(正社員数)の推移が確認できる。

それをグラフにしたのが以下だ。

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そこそこ比例して増えているように見える。

年間平均成長率は、売上高が+11.3%、従業員数が+12.1%と計算できる。

若干従業員数の上昇が高い。しかし入社した社員が戦力化するまでのタイムラグを考えると、そんなに大きな差ではないと考えた。

 

少なくとも過去において、従業員数と売上高はまずまず相関しているようだ。

 

 

3.今期の予想

8月14日に、PSOLは今期の業績の下方修正を行った。

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売上は2,776百万円と-14.9%の修正、営業利益は356百万円と-67.1%の修正だった。

その原因は、新型コロナウイルス感染症の流行による案件の延期や凍結だ。こればかりは致し方ないように思う。

 

これまでの四半期ごとの売上、原価、販管費、営業利益の推移のグラフは以下の通り。

2019年の1Qは発表されていないので、2Qの累計の数字を二等分してグラフ化しています。その部分は割引いてみて下さい。

 

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2019年4Qから販管費が増加し、それに伴って営業利益がガクンと下がっている。
販管費の上昇についていろいろ調べてみたけど、あまりはっきりとした答えが出なかった。

 

売上と原価率の推移は以下の通り。

 

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ここで、今期の会社予想について考えてみる。

2020年の会社予想は、売上 2,776百万円、営業利益 117百万円だ。

2020年2Qまでの実績は、売上 1,321百万円、営業利益 30百万円だ。

 

売上予想達成までには、3Qと4Qで1,455百万円必要になる。2019年の3Qは765百万円、4Qは718百万円。2019年下期合計で1,483百万円。

昨年の98%の売上があれば達成可能だ。

新型コロナウイルス感染症の影響が抜けていれば十分達成できると考える。

 

原価率は過去の数字からちょっと厳しくして70%とする。

すると原価は1,943百万円、粗利は833百万円。117百万円の営業利益を出すためには、販管費を716百万円に抑える必要がある。

販管費は1Qが181百万円、2Qが192百万円だった。3Qと4Qは少し節約して172百万ずつにすれば達成可能だ。

 

原価率を少しゆるくして69%にすると、粗利は860百万円。この場合販管費はQ毎に185百万円使っても、営業利益117百万円は達成可能になる。

今期についてはそのあたりの数字が妥当なのではないだろうか。あんまり細かい数字にこだわっても仕方ない。

 

 

4.来期の予想とバリュエーション

まだ今期の3Qも発表されていないが、来期の数字を予想してみる。

原価率は70%、販管費は2020年2Q単独の数字である192百万円から上昇しないとし、これを4倍した768百万円で固定する。

この条件で固定すれば、売上から利益が計算できる。

 

社員数の採用には引き続き力を入れているようだし、これまでと同様、年間10%の売上増加が可能だと想定する。

すると、2021年の売上は3,054百万円、営業利益148百万円、純利益は89百万円となる。

これでは全然買えない。

 

 

ここで来期の原価率70%が妥当かどうか考えてみる。

有価証券報告書を確認すると、原価は3分の2が労務費であることがわかる。つまり社員に払う給料だ。これは固定費の割合が高いだろう。

そして残りの3分の1は経費だが、その7割以上が外注費だ。こちらは変動費の性質が強いと考える。

 

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 という訳で、原価の3分の2が固定費、3分の1が変動費と考える。

 2020年の原価が1,943百万円。その2/3の1,282百万円が固定費、残りの1/3が変動費で661百万円。変動費が売上と比例して上昇すると考えると2021年で+10%として727百万円。Totalで原価2,009百万円となる。そうすると粗利は1,045百万円となる。

 

すると、2021年の売上は3,054百万円、営業利益277百万円、純利益は166百万円となる。

四季報予想は、2021年の売上が3,000百万円、営業利益250百万円だった。それより少しいい予想になる。

 

純利益166百万円だと、

PER20で評価されるとして33.2億円、

PER25で評価されるとして41.5億円、

PER30で評価されるとして49.8億円の時価総額がつく。

2020年11月6日現在のPSOLはPER36.5、時価総額38億円だ。

 

これだと今買っても損はしなさそうだ。だけど安全域は小さいし、あまり儲かるような気はしない。 

 

 

5.私がPSOLを買った理由

ここからは妄想が入る。

 

いままでPSOLは年間+11%ずつ売上を伸ばしてきた。今期は新型コロナ感染症の流行のため売上が下がったが、人材採用は同じ様に続けているようだ。

それなら2021年の売上は、凹んだ2020年の+10%で計算しなくても良いだろう。

2021年の売上は2019年の+10%の更に+10%、つまり+21%でも良いのではないか。

 

そう考えると、売上は3,475百万円、原価が2,082百万円、粗利1,393百万円、営業利益は625百万円、純利が375百万円となる。

これでは営業利益率18%になる。これは妄想が過ぎるか。

 

いろいろな数字をこねくり回したけど、利益の方は難しい。RPAの方は利益率も違うし、プロモーションにもお金がかかるし、人材採用も更に増えるかもしれない。

これまで通りの粗利や販管費を適用するのは合理的ではないような気がする。

 

 

これまでも営業利益率は12%くらいだった。という訳で、2021年の営業利益率は11%という事にしよう。雑だけど何の予想もしないよりマシだ。

2021年は、売上は3,475百万円、営業利益は382百万円、純利が229百万円だと決めた。

 

純利益229百万円だと、

PER20で評価されるとして45.8億円、

PER25で評価されるとして57.3億円、

PER30で評価されるとして68.7億円の時価総額がつく。

 

2020年11月6日現在のPSOLはPER36.5、時価総額38億円だ。どう考えても安い。

という訳で、私はPSOLを買った。

 

 

6.お詫びとお礼

最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。

いろいろ数字をいじって、最後は全てひっくり返して雑に決めてしまいました。計算に付き合って読んでくれた方はズッコケてしまいますね。すいません。

 

素人の考えですので笑って流して下さい。

私はいつもこんな風に考えて株を買っています。最後はクソみたいに雑になります。

それでも考える事に意味があると思っています。

 

 

お付き合いありがとうございました。 

 

 

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