日本リビング保証を買ってずっと持っている理由①
1.日本リビング保証の話が書けなかった
日本リビング保証は2018年に買った。
買ってすぐに株価が3分の2に下がり、年末には半分まで下がった。2019年の終わりには買値まで戻したが、ここまで含み損に耐え続けたのは初めての経験だった。
赤い矢印が私の買った場所だ。
買った頃の日本リビング保証のPERは40~50倍だった。それでも安いと判断して買った。その判断についてずっと書こうと思っていたが、日本リビング保証はちょっと変わった会計処理をしている。そのため分かりやすく書く自信がなくて先送りにしていた。
でも持っている理由を人に説明できない株は持っていてはいけない、とも思う。
という訳で書いてみます。日本リビング保証を買った理由と、含み損に耐え続けた理由について。
2.日本リビング保証のビジネスモデル
日本リビング保証は個人住宅のアフターサービスを提供する会社だ。
家は設備の修理やメンテナンスや修繕など、建てた後でも様々なアフターサービスが必要になる。これらのアフターサービスが日本リビング保証のビジネス領域だ。
日本リビング保証のセグメントは「① おうちのトータルメンテナンス事業」と「② BPO事業」に分けられる。おうちのトータルメンテナンス事業は、Ⅰ.保証サービスと、Ⅱ.検査補修サービスと、Ⅲ.電子マネー発行サービスが含まれる。
① おうちのトータルメンテナンス事業
Ⅰ.保証サービス
(1)住設あんしんサポート・・・新築住宅向け設備保証
(2)売買あんしんサポート・・・中古住宅向け設備保証
Ⅱ.検査補修サービス
Ⅲ.電子マネー発行
② BPO事業
日本リビング保証のビジネスを目次にすると上記のようにまとめられる。これらを順番に説明していきたい。まずは①ーⅠ-(1)住設あんしんサポートから。
①ーⅠ-(1)住設あんしんサポート
住設あんしんサポートは新築マイホームの設備に対する延長保証のサービスだ。
電化製品を量販店などで買うと半年から1年程度の保証がつく。保証期間中は故障しても無料で修理してもらえる。同じようにマイホームを建てたときにも保証がつく。ボイラーが壊れたりトイレが流れなくなったりすると、無料で修理が受けられる。
しかしこれらの設備保証期間は通常1~2年だ。だけどマイホームを1年や2年で買い替える人などほとんどいないだろう。そこで住宅の設備の保証期間を最長10年まで延長するサービスが「住設あんしんサポート」だ。
借家やアパート住まいの場合、設備が故障した時は不動産屋か大家さんに言って直してもらう事になる。しかし、自分の家の場合は自腹を切って修理を依頼するしかない。修理が終わるまで不便なうえに、お金もかかる。保証が効いていれば、少なくともお金を余分に取られることはない。
保証延長を顧客にあっせんするのは住宅メーカーだ。あるいは住宅メーカーがサービスの一環として保証金を払う事も多いようだ。
この保証延長は住宅メーカー側にもメリットがある。
まず延長保証が販促の一環として作用する。
そして面倒なメンテナンス作業を代行してやってもらえる。トイレ詰まりや小さな修繕など、いちいち現場まで行って対応するのは住宅メーカーにとって無駄が大きい。
また、顧客との良好な関係を維持できる。少額とは言えその都度お金を払ってもらうのは心理的にも負担になる。これら少額のお金を、家を建てる時にまとめて払ってもらえば痛みが小さい。マイホームの取得費にメンテナンスの保証金を足したところで、ほとんど誤差レベルでしか金額は増えないだろう。顧客との良好な関係が維持できれば、やがて改築などの仕事を受注する機会も増えるだろう。
住宅あんしんサポートはB to CではなくB to Bのビジネスだ。
①ーⅠー(2)売買あんしんサポート
一方、売買あんしんサポートは中古住宅向けの設備保証サービスだ。
新築の住宅ならトイレもバスも新品だ。しかし中古住宅の設備は中古だ。中古車の品質が一台一台違うように、中古住宅の設備は品質にばらつきがある。
中古住宅の設備であるバス、トイレ、キッチンを検査し、その上で3か月から2年間の期間で保証するのが売買あんしんサポートの内容だ。
近年、少子化と過疎化、核家族化のため、空き家が問題になっている。2013年の段階で日本全国で820万戸の空き家が存在する。これが2033年には2,150万戸に増加すると見積もられている。
増え続ける空き家~2つの空き家問題~-NPO法人 空家・空地管理センター
その一方で日本の中古住宅の流通量は欧米と比べて6分の1しかない。
空き家問題の解決の為にも、国は中古住宅の流通促進を国策として推進している。
2018年4月、中古住宅流通促進のため宅地建物取引業法が改正された。これにより中古住宅の売買をあっせんする不動産業者は、住宅設備の検査・保証をあっせんする義務が生じるようになった。
https://www.mlit.go.jp/common/001201151.pdf#search=%27%E5%AE%85%E6%89%8B%E5%BB%BA%E7%89%A9%E5%8F%96%E5%BC%95%E6%A5%AD%E6%B3%95%E6%94%B9%E6%AD%A3%27
上記は国土交通省が作成した資料の一部だ。
その中にインスペクションという言葉がある。これは「住宅の設計・施工に詳しい専門家が、住宅の劣化状況、欠陥の有無などを診断する」という意味だ。
見る目はない消費者が安心して中古住宅の購入を購入できるように、国が保証の後押しをしているのだ。
日本リビング保証の「売買あんしんサポート」は国策に沿った商品だと言える。
この売買あんしんサポート、保証料はほとんどが仲介不動産業者が負担しているようだ。不動産業者が保証を付けた商品として中古住宅を売り出しているわけだ。最終的に保証料は購入費に転嫁されているだろうけど、日本リビング保証が直接お金を受け取るのは不動産業者だ。
売買あんしんサポートも、B to Bのビジネスだと言える。
予想通り長くってきた。
続きは次回に。