コロナショック後の銘柄② 日本リビング保証はHold
1.日本リビング保証の株主がツラい話
日本リビング保証はかなり前から持っている。
なぜ買ったのか、どうして持ち続けているのか、会社の魅力は?
そんな内容を延々と書き続けた記事があるのでぜひ読んでください。
しかし私にとって日本リビング保証を持ち続けるのはなかなかハードな経験だった。買ったのが2018年7月~8月頃だったのだから。
チャートを見ての通り、凄まじいジャンピングキャッチだった。その後1年半の含み損に耐え、2018年12月の急落にも耐え、ようやく買値を上回ったと思ったらまたコロナショックで叩き落される。そんな株を持ち続けている。しかも運用資産の10%程度も。
このような資産運用を真似するのは正直オススメしません。ツラいです。
2.コロナショックで日本リビング保証のビジネスはどうなるか
新型コロナによる不景気が長引けば、住宅の着工件数は減少するだろう。
しかし日本リビング保証は「保険会社」であり、建築会社ではない。新築住宅の着工が減っても売上はそんなに減少しないと考えている。
例えば不景気で新車が売れなくなった時、自動車保険の契約数が減るなんてことはあるだろうか?新車に買い換えるお金がない人が運転をやめるだろうか?古い自動車を乗り続けるだけだと思う。
実際過去30年間で新車の販売数は減っているが、乗用車数は増加している。
国内新車販売数のピークは1990年の777万台だが、2018年には527万台まで減少している。しかし国内保有台数は1990年の5,527万台から2018年の7,794万台へ、3割も増加している。新車の販売台数と自動車保険の契約数は、全く関係がない。だから不景気と自動車保険の契約数も関係ない。
【くるま問答】新車販売は減っているのに保有台数は約30年で40%増加。その理由とは!? - Webモーターマガジン
自動車ではなくて住宅ではどうか。
住宅の地震保険と火災保険の加入率のグラフがある。ちょっと字が読みにくいので、ちゃんと読みたい方はリンクをクリックしてください。
https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/budget/fy2017/2017tokkai_sankou.pdf
見ての通り、不景気と火災保険や地震保険も全く関係していない。むしろバブル景気が膨らんでいる1980年代後半に地震保険の加入率が下がっているのが面白い。神戸や東日本の震災後に地震保険の加入率が上がっているのは当然だろう。不安は人間を保守的にするし、高揚は人間を楽観的にする。
不景気で住宅の設備保証の需要が下がるというのは、ちょっと考えにくい。
3.日本リビング保証の「前受金」という緩衝作用
更にもうもう一点、前受金という緩衝作用がある。
以前の記事で何度も書いているので詳しくは繰り返さないが、日本リビング保証の会計は特殊だ。保証料が10年一括で払い込まれても、売上や利益は1/10ずつしか計上されない。
この特殊な会計方式が緩衝剤として働く。よって、(そんな事はありえないが)実際の売上がゼロになったとしても、数年間は会計上の売上と利益が計上される。一時的なビジネスの失速は、日本リビング保証の決算の数字にほとんど影響しない。
4.解約のリスクは
10年間の保証契約を結んでいてもお金に困ったオーナーが解約するのではないか?そんな疑問点もあるだろう。それについてもIRに確認してみた。
その結果、以下のような回答を頂いた。
「過去の解約の理由のほとんどがオーナーの不動産の売却に伴うもの。設備保証の分野における競合企業はほとんどなく、他社への乗り換えはオーナー側の金銭的なメリットがない。実際、過去にも解約はほとんどなく、解約率は0.1%にも満たない。そもそも解約したところで数万円しか戻らないので、住宅オーナー側の金銭的メリットはほとんどない。新型コロナによる影響で解約が増えるというは想定していない。」
5.まとめ
売る理由がない。
別に株価下落で感情的になっている訳ではない。本当に売る理由がない。
2020/5/1現在の日本リビング保証の時価総額は55.6億円。それに対して年間の営業キャッシュフローが9億円程度。まだまだ成長の余地もある。売る理由がどこにある?
含み損がツラい?
それは売る理由になりません。
次の決算は5月18日です。