PSOLを買ったわけ⑤・・市場規模と成長性とゴールドラッシュのスコップ
1.ニッチな市場の規模
PSOLは、資産運用を行っている金融機関に導入された各種汎用システムを利用しやすいようにアレンジし最適化する、というビジネスを行っている。
実に面倒くさそうな仕事だが、類似案件を多くこなしてノウハウを蓄積しながらサービスの質の向上を図っている。その結果、ニッチな市場ながらほぼ独占的な地位を占めているらしい事は既に書いた。
では「資産運用を行っている金融機関に導入された各種の汎用システムを利用しやすいようにアレンジし最適化するビジネス」の市場はどのくらいあるのか。
まず、資産運用を行っている金融機関の数を確認する。
投資信託協会という組織があるが、そこの会員数は2020年10月23日時点で106社だ。協会正会員 - 投資信託協会
投資顧問業協会という組織もあるが、そこに加入している投資運用会社数は297社だった。https://www.jiaa.or.jp/profile/kaiin.html
「投資信託運用会社」で検索すると、こちらのサイトに470社あると書かれていた。
知らないだけで、結構な数の投資運用会社が存在するようだ。
2.有価証券報告書を読んで
思ったより多いな、と思いながらPSOLの有価証券報告書を確認する。
すると、「事業等のリスク」の場所にこんな記載があることに気付く。
PSOLの2019年12月期における売上の50.5%は、野村グループからのものとなっている。野村グループへの依存度がとても高いのだ。
この事実をどう考えればよいだろうか。
「万が一野村グループとの関係性が悪くなった場合、売上が半分に落ちてしまう。完全に仕事を切られる事は無いにしても、足元を見られてサービスを買い叩かれてしまうかもしれない。」
そんなリスクがあるという考えも成り立つ。
あるいは、
「野村グループだけで半分も売上があるのなら、市場の余白はまだまだある。ニッチな市場とは言いながら成長の余地は十分。」
こんな風に考えることも出来る。
いずれにしても、野村グループが売上の半分を占めている事実は変わらない。その解釈は両方とも考えに入れておきたい。
3.同一顧客から案件を繰り返し受注
有価証券報告書をもう少し読むと、こんな記載もある。
2018年の取引先企業72社のうち、2019年も案件受注があった企業は64社。取引継続率は88.9%となっている。
決算説明会の動画でも社長が言っていたが、PSOLは同じ企業から小規模な案件を繰り返し受注することが多いようだ。
野村グループからの案件受注が売上高の半数を占めるということだが、その割合は改善しつつも続いている。これはPSOLの提供するサービスの付加価値が高いことの証拠だと考えている。
サービスを受ける側にとって便利だからこそ手放せない。その結果、継続した取引が行われると考えている。
4.ゴールドラッシュとスコップ
普通に生活していても「デジタル・トランスフォーメーション」という言葉を聞かない日は無い。政府も盛んに旗を振っているし、企業は言うに及ばずだろう。
政府のDX関連予算・総まとめ プロジェクトでデジタル化を推進 | 月刊「事業構想」2020年5月号
そんな中でPSOLの仕事が減るなんて事は、ちょっと想像がつかない。DXは、システムが使いやすくなって仕事が効率化してこそ意味がある。
システムを使いやすくする事がPSOLの提供する価値なのだから。
今後、政府も企業もDXに予算を割いてくるのは間違いないだろう。
そこで潤うのはどこの企業か?
これはなかなか難しい。DXが進むことによって伸びる企業もあれば、統一化されたシステムに負けて淘汰される企業もあるからだ。
ゴールドラッシュに乗って金を掘ってみてもお金持ちになれるのは一握りだ。
しかし、確実にお金持ちになった人がいる。
金を掘る人にスコップを売った人だ。
そんな話を聞いたことがあると思う。
実際はカリフォルニアまで鉄道を引いた企業だったり、金掘りの男たちに丈夫なジーンズを売ったリーバイスだったりする訳だが。
私には、PSOLがゴールドラッシュでスコップを売る企業に見える。
まあ、煽りですねw
6.次回予告
RPAについて書きます。
この本、面白かったです。
この本を読んで各企業のサイトを見ると、デジタルについてわかっている企業とわかっていない企業が判別出来るようになります。
株式投資には直接役立つことはなさそうですが。