PSOLを買ったわけ④・・IT業界の仕組み
1.下請け・孫請け・ひ孫受け
トヨタやホンダのような自動車メーカーには、部品提供その他のためにたくさんの下請け企業が存在する。大手ゼネコンにも、たくさんの下請け孫請け企業が存在する。
これらはピラミッド構造を形成する。下に行けば行くほど企業の数が多く、規模が小さく、仕事は細分化され、従業員の給料は安くなる。
IT業界にも同様なピラミッド構造が形成されている。
顧客企業のシステム開発を大企業のSIerが受注し、概略を決め、デザインを描く。その後、2次請けのグループ企業や独立系中堅SIerに発注する。2次請けの企業はその仕事を更に細分化して3次請け企業に流す。
ピラミッド構造の上であるほど、仕事の付加価値が高く、利益率がよく、社員の給料もよく、定着率も高い。
下の方はその逆だ。給料も安く、労働環境が過酷で、人材の定着率が低い。
↓ 1番参考になった記事のリンクを張っておきます。画像もこのサイトのものです。
IT業界の多重下請け構造で得をする人、損をする人 - paiza開発日誌
2.IT業界におけるPSOLの立ち位置
IT業界においても、ピラミッド構造の上の方ほど立ち位置としては美味しい。
付加価値が高く利益率もよい顧客企業から直接受注する仕事は、「プライム案件」と呼ばれる。
PSOLは大企業ではないし、2次請け3次請けがたくさん連なっているわけでもない。
しかし、受注する仕事の85%がプライム案件だ。
「顧客企業に導入された各種の汎用システムを、それぞれの企業が利用しやすいようにアレンジし最適化する」という特殊な立ち位置がそれを可能にしているのだろう。
その結果、PSOLの営業利益率は2019年で12.1%となっている。
これはIT企業としてはものすごく高い。SIerの最大手であるNTTデータですら、2019年の営業利益率は6.6%なのだから。
ITサービス30社の営業利益率ランキング、意外に健闘した「2社」とは | 日経クロステック(xTECH)
3.人材の供給源としてのピラミッドの下層
IT業界はピラミッド構造が形成されており、社員の待遇は上に行くほどよくなる。同じ仕事をしていても所属している企業によって給料が違う。これはまあ、どこの業界も同じだろう。
ピラミッド構造の下の方という職場環境のせいで安月給に甘んじている人材を引き抜く。これはPSOLの成長戦略のひとつだ。
「優秀だがピラミッド構造の下の方の企業でくすぶっている人材は存在する。そのような人材を引き抜いていきたい。その職場で活躍していて、転職など考えていないような人材を雇いたい。」
PSOLの社長は、決算説明会の動画でそんな様な事をいってた。
ヘッドハンティング成功のためには、人材に見合う待遇を用意しなければいけない。
前回説明したMD制は、ヘッドハンティングしたい人材にとても良く刺さるフックらしい。
ピラミッド構造の下部では、上から流れてきた仕事を上の決めた仕様で上の決めた納期に従ってこなしていく。
一方PSOLのMDになれば、権限を大幅に移譲され、経営者と同じように自分の考えで仕事を進め、その成果をリターンとして受け取ることができる。
この差は大きい。
4.まとめと次回予告
・IT業界はゼネコンと同様のピラミッド構造が形成されている
・ピラミッド構造の最上部の案件は「プライム案件」と呼ばれる
・PSOLはニッチな立ち位置ながらプライム案件が85%
・その結果、IT業界のなかでは営業利益率が高い
・PSOLピラミッド構造の下の方から人材をヘッドハンティングしている
次回、PSOLのビジネスの市場規模について書きます。
その次がRPAについて。
それも書いたら企業のバリエーションについて書きます。
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