手元の現金がなくなった時、会社は倒産する
1.会社はそんなに倒産しない
はじめに書いておくが、会社なんてそんなに簡単に倒産しない。
現在、日本の上場企業は3,676社あるが、その中で倒産する企業は年間数社しかない。平成の30年間で倒産した上場企業は234社だ。
リーマンショックの影響で平成20年は33件の企業が倒産したが、それでも全体の1%にも満たない。自分の持ち株の企業が倒産したときは、その希少な経験を自慢してもいいくらいだ。
参考:平成の上場企業倒産(4月26日16時現在) : 東京商工リサーチ
そんなわけで、倒産なんて滅多に味わえるものではない。
持っている株が明日紙屑になるかもしれない、というのは株式投資をやらない理由としてはかなりズレている。
2.会社が倒産する理由
それでも時々会社は倒産する。一体なぜ倒産するのだろうか?
客が来なくなって商品が売れなくなったときに倒産するのか?
いやいや、商品が1つも売れなくても会社は倒産しない。
例えば、窪田製薬という会社がある。この会社の売上はゼロだ。まだ世の中に存在しない薬を開発している会社なんだけど、売るための薬が完成していない。
売り物がないから売上はゼロ、利益は当然マイナス。去年1年間で32億7,400万円の赤字を出している。
それでも会社は倒産しない。
借金が多くなったときに倒産するのか?
いやいや、借金なんていくらあっても会社は倒産しない。
例えば、誰でも知っているソフトバンクグループだが、その借金は15兆円近い。15兆円の借金を抱えているけど、潰れる可能性はほとんどない。
借金が多い企業ランキングトップ10!巨額負債を抱える会社はどこ? | お金のカタチ
倒産に至る過程はいろいろあるが、直接的な原因は1つしかない。
手持ちの現金がなくなった時だ。手持ちの現金がなくなった時、会社は倒産するんだ。
3.期限が守れない会社は信用されない
中学生が宿題や課題を期限通りに提出しないと、先生に叱られる。
学校で期限を守らなくても叱られるだけだ。しかし会社が「お金を◯月◯日までに支払います」という約束を破った場合、もう信用されなくなってしまう。
会社同士の取引は信用で成り立っている。信用されなくなった会社は、もう商売ができなくなる。
「お金を貸しても返してくれないかもしれない」「商品を渡しても代金を払ってくれないかもしれない」
こんな風に思われるので、もうだれも商品を売ってくれなくなる。銀行もお金を貸してくれなくなる。だから商売が出来なくなってしまうんだ。
お金を払う約束を破った時、その企業は倒産すると思っていい。
だから企業は「お金を◯月◯日までに支払います」という約束を絶対に守る。
逆にこの約束さえ守っていれば、企業は倒産しない。
つまりたくさん現金を持っていて、いつでもお金を払えるような企業は倒産しないんだ。
逆にいくらお客さんがたくさん来て商品がたくさん売れていても、手持ちのお金がなくなって支払いの約束が守れなくなった企業は、倒産する。
4.企業が持っている現金はどこで見ればいいか
というわけで、企業の倒産する確率を知るためには、企業が持つ現金の額を調べればいい。
それが「キャッシュフロー計算書」というところに書いてある。
次回はそのあたりを見ていきたい。
この本、面白かったです。倒産前にどのような事が起きるのか?
具体的な例を上げて説明されています。おすすめ。