千里の馬は常にあれど伯楽は常にはあらず
1.投資家の妄想
「あの時に〇〇しとけば、今頃ぜんぜん違う人生を歩んでいただろうなあ・・」
お盆休みに帰省し、つい高校時代のアルバムなどを見てしまう。ちょっとしたきっかけで昔の記憶がよみがえる。
10年以上前の記憶が、当時の感情とともに浮かんでくる。深い水の底から泡がふわふわと上がってくるようだ。
そして甘酸っぱくて死にそうになる。
記憶のなかで自分がとった選択、あるいは取らなかった選択が、その後の人生をどのように変えていくか妄想する。
妄想は楽しいけど役に立たない。過去は決して変わらない。そんな事は言われなくてもわかっている。
まあ、おじさんの娯楽のひとつだ。人の娯楽にケチをつけてはいけない。
「あの時あの株を買っていれば、今頃もう億を超えているのに」
これは多くの投資家が考えることだ。買っていたら、売らなければ。
「たられば」だ。
これは投資家の娯楽のひとつかもしれないが、あまり健全じゃない気もする。
2.とんかつは買ったけど
健全じゃない、といいながら1つ例を。
アークランドサービスホールディングスという会社について。
中学生は「アークランドサービスホールディングス」と言われてもピンとこないと思う。でも「かつや」なら知っているだろう。アークランドサービスホールディングスはとんかつの「かつや」を展開している会社だ。
そのアークランドサービスホールディングスの10年チャートがこれだ。
解説不要なほど、はっきりと株価は上昇している。
2012年1月4日の株価は 170.8円だった。
それが2018年1月4日には 2,671円まで上昇している。
株価は6年で15.6倍になっている。
その間、株式投資家を名乗りながらその株を買わず、とんかつばかり買っていた。
ああ、なんてこった。とんかつじゃなくてアークランドサービスホールディングスの株を買っておけば、今頃運用資産1億円を超えていたのに・・。
3.テンバガーは常にある
このように、株価が10倍を超えて上昇する株を「テンバガー」という。
長期投資家は誰もがテンバガーに憧れる。
私も憧れているが、一度もつかんだ事はない。
しかし、テンバガーは常にある。
2018年の1年間だけで、その株価を10倍にした銘柄は5つあった。
現在日本の株式市場に上場している会社は 3,673社ある。この中のどれかは、間違いなくテンバガーになる。
ただそれがどの会社かわからないだけだ。
タイトルの「千里の馬は常にあれど伯楽は常にはあらず」というのは中国のことわざだ。「千里の馬」というのは1日千里(現在の距離では400km)も走れる優秀な馬のこと、「伯楽」とは、馬の素養を見抜ける人の事だ。
直訳すれば、「素晴らしい馬は常にどこかにいるけど、それを見抜ける人はあんまり居ない」という意味になる。
これは、「素晴らしい人材はいつもいるんだけど、それを見抜いて抜擢できる人はあんまり居ない」という意味で使われる。
「俺は本当はすごく有能なんだけど、だれも抜擢してくれない。だからこんなところでくすぶっているんだ・・。」
どちらかというとそんな中二病患者が使いそうなことわざだ。才能を見出して使ってくれない上司が悪い、環境が悪い、産まれてきた時代が悪い・・。
そんな事を言っている時点で「千里の馬」ではありえない。
だけど株式投資家にとっては身につまされる。
テンバガーは常にあるのだから。
ただ、それを見抜ける投資家はとても少ない。
そしていつもクソ株クソ株といつも文句を言っている。
そんな事を言っている時点で「クソ投資家」決定だ。
私ですか?
ええ、テンバガーなんて一度もつかんだ事はないですよ。
← このマンガ、未読の方は是非一度読んでください。
女性向けですが、男性でも楽しめます。破壊力がすごい・・。