時価総額が増えてファンドが買う?
需要が増えて株価が上昇する状況について検証するシリーズ。
今日はファンドが買う時について。
1.かぶ1000さんのツイキャス
かぶ1000さんという有名な個人投資家がいる。
中学生から株を始め、異常なほどの熱量ではまり込み、「株式投資にすべての時間を使いたい」という理由で一度も就職せずに現在に至るという、筋金入りの投資家だ。収入はすべて投資から得ている「専業投資家」であり、運用資産は3億円以上。誰もが認める勝ち組の投資家だ。
このかぶ1000さんが、最近ツイキャスをはじめた。ツイキャスとは、スマホだけで動画がライブ配信できるアプリだ。私はおじさんなので、今回はじめてツイキャスの存在を知った。
ツイキャスはライブだけでなく録画の再生も出来る。
かぶ1000さんが何時間も延々と株式投資について語るのをクルマの運転中に聞く。これが最近の私の習慣になった。
ある日のかぶ1000さんのツイキャスに、「たーちゃん」という個人投資家が登場した。このたーちゃんさんも、1億円を超える資産を運用する株式投資家だ。二人で何時間も延々と株式投資について語っていたが、その中に気になるセリフがあった。
「時価総額が300億円弱の企業の株を買っておくんですよ。その企業の時価総額が300億円を超えたら、ファンドが買ってくるようになるんです。そうすると株価がするすると上がっていくんです。ファンドは時価総額300億円以下の株を買えないんです。そういうルールになっている。だから300億円を超えると、ファンドが買うようになって株価が上がる」
わたしの記憶はいい加減なので、文章は正確ではない。でも上記のようなことをたーちゃんさんが言ってた。「時価総額が300億円を超えるとファンドの需要がプラスされ、その結果需給がよくなって株価が上がっていく」。これはちょうど最近書いているテーマじゃないか。
今回はこの言葉について検証してみた。
「時価総額 300億円を超えるとファンドが買うようになる」というのは本当か?
2.「時価総額300億円」の立ち位置
まず、時価総額300億円とはどのくらいの会社なのか?という事を確認してみる。
Yahooファイナンスには「株式ランキング」というコーナーがあり、毎日の時価総額がすべてランキング形式で確認することができる。
これを見ると、1位はトヨタ自動車の21兆3000億円だ。
300億円というととんでもない大金だが、トヨタ自動車の時価総額を比較するとずいぶん小さい。時価総額300億円というのは、間違いなく小型株に分類される。
東京証券取引所の定義では、
大型株 一部上場、時価総額上位 100社
中型株 一部上場、時価総額 100位~500位
小型株 一部上場の残り全部、二部、マザーズ、ジャスダック、その他の企業
という事になっている。
6月5日の終値で、時価総額100位は野村ホールディングスであり、1兆2227億円だ。ここまでが大型株に分類される企業だ。
そして500位は時価総額1632億円の乃村工藝社だ。ここまでが中型株になる。
それ以外は全部小型株ということになる。
ちなみにこの東京証券取引所の定義では、JASDAQに上場している日本マクドナルドホールディングスは時価総額6555億円だが小型株、という扱いになる。マザーズに上場している4575億円のメルカリも同様に小型株だ。
まあ、このあたりの定義の歪みはおいておこう。
とりあえず時価総額300億円とは、かなり小さい企業だと押さえておけばいい。
3.小型株ファンドを確認してみる
「時価総額300億円以下はファンドの買いの対象にならない。300億円を超えると買いの対象になる。」
このことを証明するのは簡単じゃない。私は金融機関で働いたことはないし、実際どのようなルールで運用されているかは不明だ。私はインデックスファンド以外のファンドを買ったこともないし、ファンドに詳しいわけではない。
仕方がないから、いくつかの小型株ファンドの組み入れ銘柄を確認してみることにした。
使ったのは価格.comの「投資信託比較」のページ。価格.comは電化製品だけではなく、投資信託や住宅ローンの比較もできてしまうなかなか使えるサイトだ。
価格.com - 投資信託比較 - はじめての投信入門・ファンド情報
そこで小型株ファンドの純資産額の多いものをいくつかピックアップして、その組み入れ銘柄を確認してみた。
① いちよし中小型成長株ファンド「あすなろ」 総資産783億円
「中小型」という単語が含まれたファンドのなかで一番総資産が大きかったのでピックアップしてみた。
組み入れ銘柄 上位10社とその時価総額
シーイーシー 703億円
アンリス 2319億円
KHネオケム 1042億円
東京都競馬 914億円
富士ソフト 1555億円
タカラバイオ 2628億円
日特エンジニアリング 440億円
岩谷産業 1784億円
トラスト・テック 639億円
ネクステージ 818億円
② SBI中小型割安成長株F ジェイリバイブ(年2回) 資産総額395億円
「中小型」の言葉が入ったファンドの総資産額2位。
組み入れ銘柄 上位10社とその時価総額
ホシザキ 5706億円
ジョイフル本田 1253億円
飯田グループHD 5032億円
くらコーポ 861億円
ダイセキ 1149億円
ニチハ 1063億円
ラウンドワン 1545億円
プレステージインターナショナル 923億円
東京精密 1012億円
③ ニッポン中小型ファンド 資産総額 227億円
小型株投資で有名な「苦瓜ファンドマネージャー」が運営しているファンド。
組み入れ銘柄 上位10社とその時価総額
カチタス 1573億円
ニチアス 1205億円
ジャックス 660億円
LIXILビバ 536億円
KHネオケム 1042億円
ダイキョーニシカワ 581億円
コーナン商事 762億円
MCJ 690億円
愛三工業 417億円
山一電機 202億円
④ スーパー小型株ポートフォリオ 資産総額 9.76億円
「超小型株」で検索して出てきたファンド。総資産額は小さいけどピックアップ。
組み入れ銘柄 上位10社とその時価総額
オプテックス 475億円
丹青社 426億円
リログループ 4405億円
トラスト・テック 639億円
プレステージインターナショナル 923億円
新晃工業 423億円
オカムラ 1165億円
東祥 1095億円
藤森工業 521億円
共立メンテナンス 2055億円
4.予想よりずっと大変だった
簡単に考えていたけど、ここまで調べるだけでも相当大変だった。
適当にサンプリングしただけでこんなに疲れた。一体何をしているんだろう、という気持ちになってきた。
分析については次回に。
↓ 小型株投資で有名な苦瓜ファンドマネージャーが書いた本。
投資について、初心者にもわかりやすく買いてあります。