中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

ドラえもん「王かんコレクション」とビットコイン

電柱にぶつかる人のイラスト

 

1.ドラえもん「王かんコレクション」

金も、ダイヤモンドも、ビットコインも、欲しがっている人がいるから価値がある。

そんなものは誰も欲しがらないよ、となってしまえば無価値だ。

 

藤子不二雄による「ドラえもん」という漫画にその事が書かれている。藤子不二雄はさすが天才だけあって、子どもたちに経済学の基本をさり気なく教えている。

今日はそれを紹介してみたい。

 

 ドラえもん9巻、第4話 「王かんコレクション」。ネタバレを含むので、事前情報なく漫画を読みたい方は、これより下を読まないで下さい。

 

 

 

この「ドラえもん9巻」は、1975年11月に発売されている。今から44年も昔なのだから驚く。時代背景もずいぶん違う。令和の中学生にとってはなじみのない話も出てくる。まずは「王かん」とは何か?という所から。

 

王かんとは王冠だ。王様の頭の上に乗っているコレだ。 

そしてビンのジュースに付いている金属製のフタのことも指す。 

 こんなビンに入ったジュースのフタのことも王冠という。形も似てるし。

 

f:id:nigatsudo:20190512094744p:plain

↑ こんなやつね。

ジェネレーションギャップが心配だったから書いたけど、さすがに知っているか?

 

 

2.あらすじ

「王かんコレクション」は、スネ夫がいつものように自慢する所から話が始まる。

「ぼくの切手コレクション、すごいでしょ?うらやましい??」

ジャイアンとしずかちゃんも対抗する

「わたしもコインのコレクションなら自信がある!」

素直に羨ましがるのび太。自分も切手コレクションを始めたいとママにねだるが、当然のようにお金は貰えない。しょげてドラえもんに愚痴る。

「自慢できるコレクションがなくて肩身がせまい」

なぐさめるドラえもん

「君だってすごいコレクションを持っているじゃないの」

押し入れから出してきたのは大量のジュースの王冠。のび太が小さな頃、意味もなく集めていたものらしい。

「こんなもの持ち出して、、僕をバカにしているの!!」

 

これに返すドラえもんのセリフがすごい。

「そもそも物のねうちってなんだろう。みんなが欲しがるってことじゃないかな。切手だって宝石だって、みんなが欲しがらなければ、ただの紙切れや石ころにすぎない」

相場の核心を突いたドラえもんのこのセリフ。投資家なら感動するが、のび太は投資家ではない。その言葉の価値を理解できず、ふてくされたままだ。

 

そこで登場するのが「流行性ネコシャクシビールス」というひみつ道具だ。流行させたいものをウイルスに吹き込んで培養し散布すれば、感染した周囲の人たちにブームを巻き起こすことが出来る。

この「流行性ネコシャクシビールス」という生物兵器により、誰もが王冠を欲しがるようになった。早速スネ夫は金にものを言わせてレア物の王冠を手に入れて自慢する。しかし大量の王冠ストックを持つのび太には勝てない。気持ちよく王冠コレクションを自慢するのび太。悔しがるスネ夫ジャイアン、しずかちゃん。

このブームは凄まじく、スネ夫ジャイアンも王冠集めに奔走する。しずかちゃんすら「3食もおやつも全部コーラにして」と、ママにお願いする。聡明なしずかちゃんですらこうなのだ。

 

やがて流行は頂点に達する。

のび太が所有する「8月12日の三河屋の王冠」を200万円で買いたいというコレクターが現れる。

f:id:nigatsudo:20190512110057p:plain

200万円という大金を前に恐怖すら感じるドラえもんのび太。200万円で売ってくれと懇願するおじさん。

 

しかし、いつだってバブルは頂点で、突然崩壊する!!

f:id:nigatsudo:20190512110247p:plain

突然ビールスの効き目が消えて、王冠の価値はもとのガラクタに戻ったのであった。

 

 参考:(※ネタバレ)ドラえもん「王冠コレクション」: 円熟未熟留学生 in ケンブリッジ(という町)

 

 

3.ジュースの王冠とビットコイン

この話は実に完成度が高い。ドラえもんのセリフを再度上げるが、この一言ですべてを言い表している。

「そもそも物のねうちってなんだろう。みんなが欲しがるってことじゃないかな。切手だって宝石だって、みんなが欲しがらなければ、ただの紙切れや石ころにすぎない」

これ以上付け加えることも、削ることもできない。

 

と言いながら付け加える。

ビットコインっていう電子データ。本当にそんなものが欲しいのか?みんなが欲しがっているから買うんじゃないか?もっと高く売れると思ったから買ったんじゃないのか?

確かにビットコインで大儲けした人はたくさんいる。200万円という大金にひるむ事がなければ、のび太も王冠で大儲けする事ができた。

でも、誰も欲しがらなくなったら、それはただのガラクタ、あるいは電子データになってしまう。

 

王冠が200万円だなんて、そんな事は現実には起こらないよ!

そう思う中学生はいるだろう。でも、同じようなことは歴史上何度も起こっている。

1637年のオランダでは、「チューリップの球根」が熟練職人の年収の10倍の値段で取引されていた。現在の日本円で言うと5000万円くらいだろうか?誰もがチューリップの球根を欲しがったから、値段が際限なく上がったんだ。

値段が上がるから欲しくなる。欲しがる人が増えるからもっと値段が上がる。だからもっと欲しくなる。その繰り返しだ。

この事件は、「オランダ チューリップ・バブル」として歴史に残っている。もちろん、今オランダにチューリップの球根を持っていっても売れない。それだったらオランダに輸出するより、自宅の植木鉢に植えるほうがよさそうだ。

 

ビットコインは、ビットコインそのものに価値があるわけじゃない。みんなが欲しがるから価値が出現しているんだ。だれも欲しがらなくなったら無価値になる、そんなものに投資するのはオススメできない。

個人的にはそう思っています。

 

 

ドラえもんを読んで、経済を学ぼう! 

 

ついでにジュースをのんで王冠をコレクションしよう。価値が出るかもしれないよw。