中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

株価が動く時・・・・株価は需給で動く

 

スマートフォンでチャートを見る女性のイラスト

1.売る人と買う人がいるから株価が決まる

私のポートフォリオは、時価総額300億程度までの小型株を中心に構成されている。特に小型株を意識して選んでいるわけではないが、会社の事業が理解しやすく、成長の余地が大きいと考えられる株を選んでいると小型株ばかりになってしまう。

これまで紹介した銘柄の5月24日時点での時価総額は、マークラインズが255億円、プレミアグループが262億円、ウィザスが42億円、システム・ディが39億円だ。いずれも時価総額は小さい。

このような小型株をたくさん買おうとするときは、なかなか大変な事がある。売り物が出ないんだ。

 

日本の企業の中での時価総額トップはトヨタ自動車の21兆円だが、トヨタ自動車の5月24日の1日間の売買代金は211億円だ。これだけ活発に取引されていれば買いたいときにすぐ買えるし、売りたいときにすぐ売れる。

一方、ウィザスの5月24日の売買代金は599万円だ。こんなに少ないと買いたいと思っても簡単に買えない。売ってくれる人がいないのだから。

 

 そういう小型株を強引に買い進めると、自分ひとりの少ない資金が株価を吊り上げてしまう。その銘柄の1日の売買代金の2割が自分の取引、という事すら起こる。自分の欲しい銘柄の株価を自分で上げてしまうことになるんだ。もっと買いたいのに。

 

売るときも同じだ。まとまった額の小型株を売るときは一気に売れない。少しずつ売らないと、自分の売りで株価を下げてしまう。

それでも売れるならまだマシだ。もともと売買代金の少ない小型株に悪い材料が出たときなどは、売り物ばかりが湧いてきて買い手が誰もいなくなる。

そうなれば値段が付かない。これがストップ安だ。

 

 

2.買いたい人が多いと株価は上がる

売り手の買い手の数で値段が決まるのは小型株だけではない。21兆円の時価総額を誇るトヨタ自動車もおんなじだ。買いたい人が多いと株価は上がる。売りたい人が多いと株価は下がる。そうやって日々の株価が決まっていく。

株価は需要と供給、つまり需給で決まるんだ。

 

決算発表が悪くて株価が下がった、上方修正が発表されて株価が上がった、円高になって株価が下がった、貿易戦争の懸念が上昇して日経平均が下がった。

日々こんなニュースが報じられる。投資家はニュースを聞いて、喜んだり哀しんだり興奮したりする。株価が動く理由はいろいろ報じられるが、本当のところはわからない。上方修正で株価が下がることもあるし、下方修正で上がることもある。そして全くニュースがなくても、株価は日々、勝手に動く。

 

でも売りが多いと株価は下がるし、買いが多いと株価は上がる。これだけは間違いない。

 

例えば「上方修正」というニュースが出たとしよう。普通ならいい話だ。

そのニュースを聞いても、

A:「これから更に業績が上がって株価が上がるに違いない。買おう」

B:「もっともっといい数字が出ると思ったのにこの程度か。売ろう」

と、全く逆の反応をする人がいる。

Aの反応をする人が多いと株価は上がるし、Bの反応をする人が多いと株価は下がる。そのバランスによって株価が決定するだけだ。

 

 これは株に限らない。ちょっと前にドラえもんの王冠コレクションの話を書いた。王冠でもビットコインでも株でも、欲しがっている人が多ければ価格は上がる。

 

 

3.もっと高い値段でも欲しい人が増えると株価は上がる

 買った株は上がってほしい。でも自分が買った価格より高い値段でも買ってくれる人が現れない限り、株価は上がらない。自分が買った後に欲しがる人が次々に出てくれば、株価は上がっていく。

 

マイナーだったアイドルや女優が、なんらかのきっかけでブレイクすることがある。出演した映画がヒットしたり、CMが話題になったり。私は芸能界については全く無知なので例を挙げる事はできないが、思い当たる人は思い出してほしい。

それと同じように、なんらかのきっかけでマイナーな株がブレイクすることがある。マイナーで誰からも見向きもされていなかった企業が有名になり、その株を欲しがる人が増加して株価がぐんぐん上がっていく。

これが理想的な展開だ。スカウトの人が将来の大女優やアイドルの原石を探すように、投資家は3800社を超える企業の山からお宝銘柄を探すんだ。

 

注目していたマイナーなアイドルがブレイクすると、ちょっと自慢できる。でも買っておいたマイナーな株がブレイクすると、自慢できる上にお金が儲かる。

お宝銘柄を誰より早く見つけ、ブレイク直前に大量に買いたい。

 

 

4.空売りしている人こそ仲間だ

これだ!と思って買った株だけど、簡単に上がる事はあんまりない。特にマイナーな株を買ったときは、ブレイクするまでに時間がかかる事も多い。下手すると何年間も待つことになる。それをずっと我慢して待つ。

そんな時、検討していたけど結局買わなかった株がぐんぐん上がったりする。買った株は上がらないどころか、じりじり下がっていたりする。それを我慢するのは精神的にきつい。株の利益の9割は我慢代、そんなことわざがあるくらいだ。

 

あまりにも株価が上がらないときは不安になる。果たして自分の企業分析は正しかったのか?何かとんでもない見落としがあったんじゃないか?大きな花を咲かせると思って水をやっているけど、実は雑草なんじゃないか?

不安になると他の人の意見を聞いて安心したくなる。TwitterやYahooの掲示板を見ると、自分と同じ気持ちになっている株主の言葉が並んでいる。それを読んで少し安心する。これだけこの株に注目している人がいるんだから大丈夫だろう、と。

 

でも掲示板でその株の事を褒めている人は、既に株主である可能性が高い。そして低迷を続けるその株に対し、待ちくたびれている可能性も高い。待ちくたびれている株主は、ちょっと株価が上がったら売ろうと考えていたりする。

売る人が多いという事は、株価が下がりやすいという事だ。

 

一方、同じ掲示板でその株をディスっている人もいる。こんなクソ株を持っている奴はアホだど、株主もディスる。アホだと言われれば腹も立つ。そうやって掲示板上で不毛な争いが勃発したりする。

 

 その株をディスる人は、その株が下がってほしいんだろう。

株価が下がってほしいと願う人は、

① 待ちくたびれて売ってしまった元の株主か、

② 下がったら安い所で買いたいと思っている未来の株主か、

③ 空売りをしている投機家だろう。

 

 ①の、待ちくたびれて売ってしまった株主はもう無害だ。

 ②の、下がったら買おうと思っている人は味方だ。下がったら買い支えてくれるんだから、株主としてはありがたい。

③の、空売りをしている投機家は最高の味方だ。空売りした株は、かならず買い戻す必要がある。安くなったら買おうと思っている②の人より、確実に買ってくれるんだ。

 

株価は需給で決まる。

空売りの買い戻しであれ何であれ、買ってくれる人が多ければ株価は上がるんだ。

逆に、後は売るだけの株主がいくら居ても、株価は上がらない。

そう考えると、掲示板でクソ株クソ株とディスってくる人は貴重だ。株を買ってくれるのだから、彼らの存在は株価上昇のための燃料だ。

 

株価上昇したときは空売りしてた人々が退場しないよう、一緒に祈ろう。