中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

損益計算書は売上と、お金の配り方について書かれている

 弱肉強食のイラスト

株式投資をやる人の中で、ビジネスそのものに興味がある人はどのくらいいるのだろうか?

「お金には興味がある、だけどビジネスには興味がない。いちいち決算書を読むなんて面倒な事はしたくない。手っ取り早く稼ぐ方法が知りたい。」

そう考える人は多いと思う。そうやって怪しげな「投資顧問」だの「アドバイザー」だの「カリスマ投資家」などの意見に言いなりになって株を買う。わざわざお金まで払って胡散臭い情報を入手し、それに従う。

そんな人は、間違いなく狩られる側だ。そんな人を専門に狩るような人がたくさんいる。せっかく苦労して貯めた大切なお金が、目の前で消えていくのを見ることになる。

努力もしないような弱者は、強者のエサになる。エサになるのが嫌なら努力するしか無い。

 

株式投資をするにあたって、決算書を読めるようになるのは基礎だ。算数で言えば九九を覚えるようなレベルだ。九九を覚えていないような人にお金を恵んでくれるほど、株式市場は甘くない。

だから今日も決算書の話の続き。

決算書に載っている2つ目の表、損益計算書の話だ。

 

 

損益計算書とは、企業の売上と利益について書かれている表だ。

利益については既に少し書いている。できればもう一度読んでください。

 

 上の記事でも書いたが、今回はもう少し踏み込んで書く。

 架空のカレーショップ「くまカレー」の損益計算書を見てみよう。

 

平成30年度、1年間のくまカレーの売上は1億円だった。

社長であり唯一の株主でもあるあなたは、この1億円を儲けとして好きに使って良いのだろうか?

そんな訳はない。カレーライスを作るには肉や野菜やコメが必要だ。まず売上からこれら材料費を支払わなければならない。

米屋さんや肉屋さんに材料費を4,000万円支払ったとする。この4,000万円は「原価」と呼ばれる。材料が無ければ絶対にカレーは作れない。1億円の売上から原価を引いた6,000万円を「粗利益(あらりえき)」とか「売上総利益」と呼ぶ

くまカレーの1年間の粗利益は6,000万円だ。

 

残った6,000万円のお金だが、まだ払わなければいけないものが残っている。

まずは従業員のお給料だ。店の電気代や水道代も請求書が来ている。店を借りている家賃もある。くまカレーのティッシュを駅前で配ってもらったけど、そのお金も払わないと。全部で4,000万円かかった。

カレーをただ作っても売れない。売るためにはいろいろお金がかかる。売るためにかかった人件費や広告費などのお金を「販売費および一般管理費」と呼ぶ。長いので「販管費」と略して呼んでいる。6,000万円の粗利益から4,000万円の販売費および一般管理費を引いた2,000万円を「営業利益」と呼ぶ。

くまカレーの1年間の営業利益は2,000万円だ。

 

 2,000万円の利益が出て喜んでいたら、銀行が「貸しているお金の利息を払え」と言ってきた。そう言えば店を出す時に結構な借金をしていた。すっかり忘れてた。

仕方がないので利息の300万円を払った。残ったお金は1,700万円だ。借金の利息の支払や他社の株の配当など、本業と関係ないところで出入りするお金を計算した後の利益を「経常利益」という。

くまカレーの1年間の経常利益は1,700万円だ。

 

そう言えば他にも細々とした出費があった。カレーにゴキブリが入っていたってクレームをつけてきた客に100万円ほどお金を握らせて黙ってもらった。そんな事は滅多にない、特別なことだ。特別にお金を失ったから「特別損失」だ(利益があれば「特別利益」)。残ったお金が「税引前当期純利益」だ

くまカレーの1年間の税引前当期純利益は1,600万円だ。

  

そしてラスボスよろしく税務署がやってくる。「儲かったのなら税金を払え!」

このラスボスは決して倒すことが出来ない。おとなしく税金を納めて帰ってもらうしかない。400万円の税金を払って残ったお金1,200万円。これを「当期純利益」と呼ぶ。 

 くまカレーの1年間の当期純利益は1,200万円だ。

 

 

ちょっと前に「利益が3つある」と言ってたのに、5つに増えている。

覚えることが増えた!と嘆かないで。

企業を分析するヒントが増えた!と喜んでおこう。

 

 

2.まとめ

1億円の「売上」を手に入れた。このお金をどうやって配ろうか。

 

まず米屋や八百屋に材料費(原価)を払わねば。残ったのが「粗利」だ。

次に従業員の給料など(販管費)を払いたい。残ったのが「営業利益」だ。

その次に借金の利息を払おう。残ったのが「経常利益」だ。

その他こまごまと特別なお金がかかった。残ったのが「税引前当期純利益」だ。

税金は払いたくないけど仕方がない。残ったのが「当期純利益」だ。

 

こんなふうに、1年間の売上で得たお金がどのように流れていくかを書いたのが損益計算書だ。

 

 ポイントは「1年間という期間」だ。貸借対照表が決算時点の一瞬の財産状態を示す表だが、損益計算書は1年間という期間の利益を示す表だ。この事について次回書きます。

 

 

 「決算書の読み方」についての記事はどうしても内容が地味になる。でも決算書の読み方もわからずに投資しても、だいたい負けます。

 わたしは負けるのが嫌なので、多少勉強しました。

 今もしてます。

 

 

↓ これはとてもおもしろい。気分転換にぜひ。

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