中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

キャッシュフロー計算書は「本当のお金」の流れを示す

通帳を見て青ざめる人のイラスト(男性)

 

決算書の読み方入門編シリーズもようやくキャッシュフロー計算書のところまで来た。重要だけど地味な話が続く。中学生向けに噛み砕いて説明しているつもりなんだが、息子がちゃんと読んでくれているか不安だ。

だからもう一度念を押しておこう。

「決算書を読めない投資家はカモにされるよー。頑張って貯めたお金が消えるよー。」

 

 

では本題。

決算書には3つの表が載っているが、その3番目がキャッシュフロー計算書だ。今回はその存在意義について書く。

今日のブログのタイトルは「キャッシュフロー計算書は『本当のお金』の流れを示す」だ。

なんだそれは?本当のお金?ニセモノのお金の話もあるのか?

そう思うかも知れない。

 

1年間のお金の流れを示すのは損益計算書だ。売上がいくらで、そのお金をどのように配分して、どのくらい利益が残るか。それを書いたのが損益計算書だったはずだ。

しかし、損益計算書は「フィクション」が含まれている。本当のお金の流れを知るためには、キャッシュフロー計算書も見る必要がある。キャッシュフロー計算書を知る前に、損益計算書にはどのような「フィクション」が含まれているか確認してみよう。また架空のカレーショップが登場する。

 

 

カレーショップ「くまカレー」のカレーには様々なスパイスが使われている。そのスパイスをくまカレーに納入しているのは「くまスパイス」という会社だ。くまスパイスは東南アジアからスパイスを輸入し、それを加工して製品を作り、販売している会社だ。

 

ある時、くまスパイスの経理担当者が、通帳をみて真っ青になった。

「まずい、お金がない!

お金が足りなくなって期限までに支払いが出来ないと、その会社は倒産することになる。

 

それを見た同僚が聞く。

「なぜだ?この前くまカレーから大量の注文があったじゃないか?ずいぶん儲かったはずだろう?」

「くまカレーからの代金の支払いは来月末だ!その前に会社のお金が足りなくなる!」

 

 

ほとんどの会社では、毎回の取引でいちいちお金をやりとりをしない。ある程度の期間商品をやり取りして、最後にまとめて代金を支払う。

しかし商品を販売先に納入した時点で「売上」がカウントされる。売上があったときと、実際にお金が入る時は時間差がある。損益計算書には「売上」が書かれているが、「本当のお金」が入ってきたかどうかまでは書かれていない。

カレーショップなら、カレーが売れた瞬間に代金を受け取ることができる(正確には食べ終わった後だから30分後か)。しかし企業同士の取引では、売上と代金の支払いにはかなりの時間差がある。売れた瞬間に「売上」が書かれるが、現金が会社に入ってくるのは2ヶ月後、という事もよくある。だからくまスパイスにはお金が無くなっていたのだ。 

 

くまスパイスにお金が残っていない原因は他にもあった。去年の年末にスパイスの香りを失うことなく製粉する新しい機械を買った。そこで手持ちの現金を大部分使ってしまっていた。

機械のような何年も使う設備は、買った年だけで計算するとおかしなことが起こる。例えば1年の利益が1,000万円程度の会社が5,000万円の機械を買った場合、その年だけ4,000万円の赤字になってしまう。たとえその機械が10年間使えるとしても、だ。

それじゃあ変だという事で、10年間使える機械は10年間、毎年少しずつお金を支払っている形にして計算する。

実際にお金を払うのは最初の年だ。しかし少しずつ支払っている形にして利益の凸凹が無いようにする。この考え方を「減価償却」という。少しずつ価値が減少していくイメージだ。

高価な機械を買って何年も使うような場合も、損益計算書と実際のお金の流れは変わってくる。「本当のお金」は買った年に10年分出ていったのに、毎年1年分づつ出ていっているように損益計算書には書かれる訳だ。だけどキャッシュフロー計算書には、買ったその年に払ったお金がきちっと書かれる。

 

他にもあるが、損益計算書だけでは現実のお金の流れはわからない。企業にお金がなければ、どれだけ利益が出る会社でも倒産することになる。くまスパイスは大ピンチだ。

それでは困ると、キャッシュフロー計算書が作られた。

キャッシュフロー計算書は「本当のお金」の流れが書いてある。売上の時期とは関係なく、キャッシュが入ってきた時に収入として書かれる。減価償却も関係なく、お金を支払った瞬間が支出だ。

 

そういう意味で、お小遣い帳はキャッシュフロー計算書だ。中学生にも理解しやすい、かも知れない。

 

以上がキャッシュフロー計算書の存在意義だ。

 

 

「利益はフィクション、キャッシュは現実」

そんな言葉があるらしい。「現実にあるキャッシュこそが真実で、手元にない「利益」なんて解釈次第で増減する」そんな意味も含まれるんだと思う。

 

キャッシュフロー計算書の読み方は、まあまだ良いでしょう。 

 決算書の読み方シリーズは、これでいったん終わりです。

 

 

 

 ↓ 子供に株をやらせる前にお小遣い帳をつけさせる必要があると思っています。

  我が家ではお小遣い帳の提出が、次の月のお小遣いを受け取る条件です。

子どもにおこづかいをあげよう!