INFORICHを買ったわけ③・・先行する香港
1.新規事業と海外進出
これは私の偏見なのだけど、決算説明会資料に、始めたばかりでまともに売上も立っていないような新規事業の事をでかでかと書いている企業は警戒してしまう。
また、まだ事務所を開いた程度の海外進出の事をでかでかと書いている企業も同様だ。
投資家に期待を持たせるために、株価対策としてやっているのかもしれない。
だけどメインのビジネスの成長が頭打ちになっているシグナルにしか見えない時もある。
INFORICHも海外事業について決算説明会資料に書いてある。
もちろんバッテリースタンドの数は圧倒的に日本国内が多い。これを見るとINFORICHのビジネスの本体が日本国内であり、海外事業がサブだという事がわかる。
国内のビジネスが上手く行かない限りINFORICHへの投資は上手く行かない。だから企業分析の中心は国内事業になるはずだ。
しかし3回目のブログ記事にして海外事業について触れる。
それには訳がある。
2.INFORICHのビジネスは香港で開始された
2023年5月12日に行われた1Qの説明会でのQ&Aの内容だ。
こんな事が書かれている。
司会者:「海外で営業利益が黒字の地域はありますか? その国の収益性と日本の将来の収益率をどのように見込んでいますか?」というご質問です。
橋本:海外で営業利益が黒字の地域は、日本よりも1年ほど早くサービスを開始した子会社の香港です。
INFORICHのモバイルバッテリーシェアリングビジネスは香港で開始された。
その香港では既に黒字化しているというのだ。
INFORICHは「香港の状況は日本の1年先を行っている」と説明会等で言っている。
私が知りたいのは「日本でのINFORICHのビジネスが将来的に上手くいくかどうか」だ。先行した地域である香港の状況は大いに参考になるはずだ。深掘りするには十分な理由だろう。
しかしどうして香港でのビジネスが黒字にできたんだ?
前回の記事で書いた通り、中国はモバイルバッテリーシェアリング企業が乱立して各社赤字になっていた。中国と香港はほぼ地続きで相互の人の流れも活発だ。
それなのになぜINFORICHだけ黒字に?
そのあたりをIRに問い合わせた。
明確な回答がかえってきた。
「香港では当社のサービスがシェア8割近くを占めており、適正な設置先への支払い料金で・適正な量を設置できていることが黒字化に繋がったと考えます」
株主しては実に心強い。
更に聞いてみた。
「香港での状況は日本の状況の1年先を行っているというのはどういう意味?」
それに対してはこんな回答が。
「モバイルバッテリーシェアリングのビジネスは一定の密度のバッテリースタンドを設置することがスタート。その結果ユーザーに認知され、利用が習慣化される、というのがビジネスの根幹。香港は日本より1年早くバッテリースタンドが一定の密度に達した。そのため認知から利用の習慣化が1年早く進んでいる。そういう意味で1年先を行っていると説明した」
非常に満足できる回答だった。
日本国内でもモバイルバッテリーシェアリングが普及していくような気がしてきた。
少なくとも私は。
3.次回予告
思ったより長くなったので今回はこれで終了にします。
次回は金にうるさい投資家がどうしても考えてしまうこと
「そもそも誰がそんなもの借りるんだ?Amazonで3,000円で買えるものを24時間540円で借りる?ありえんだろ!」
という疑問について書く予定です。
INFORICHIの競合各社についてはその後くらいに書こうかと思ってます。