INFORICHを買ったわけ①
1.INFORICHを買った
INFORICHというモバイルバッテリーシェアリングの企業がある。
その企業の株を買った。
買ったのは6月7日から7月24日までの間だ。
最初はPFの2%程度だったが、8月10日の決算発表前の段階でPFの17%を占めるまでになった。
投資の初期ロットでここまで大きなポジションを取ったのは初めてだ。
しかもINFORICHは上場して1年もしない企業だ。情報も少ないし実績も積みあがっているとは言えない。
゛若い会社は実績が足りないし、情報も少ない。
分からない事はリスクだ。若い会社への投資はリスクが大きい。
リスクの大きな投資は慎重に行う必要がある。
という訳で、今後は以下のルールを自分に課したい。
主力サービスのローンチ5年以内の企業、あるいはIPO後に決算発表を5回以下しか行っていない企業には半分のポジションしか取らない。”
これは2022年の反省として私が書いたブログの引用だ。
こんな事を書きながらINFORICHに大きく投資した。
ある意味自分で決めたルールを破ったとも言える。これで上手くいかなかったら自虐的に安西先生の画像を張る羽目になってたところだ。
しかし結果的に上手くいった。とりあえずよかった。
INFORICHはかなり悩みながら買った。その思考過程について書いてみたい。
例によって何回も続く長い話になります。
2.INFORICHのビジネスモデル
INFORICHのビジネスモデルはシンプルだ。モバイルバッテリーを「CHARGE SPOT」と呼ばれる無人のバッテリースタンドで貸し出してレンタル料金を受け取るだけ。料金は30分165円からだ。利用者は好きなところでモバイルバッテリーを受け取り、好きな場所に返却することができる。
それ以外にバッテリースタンドについているサイネージを利用した広告等のビジネスも行っているが、こちらは売上の1%にも満たない。今後の成長が期待できる部分もあるが、些末な部分だ。コストもそれほどかかってないようだ。
あくまでもINFORICHの本業はモバイルバッテリーシェアリングだ。こちらがうまくいかない限り投資の成功はありえない。サイネージを利用した広告その他のビジネスについては完全に無視して考える。
3.INFORICHの主張
中国ではモバイルバッテリーシェアリングサービスが日本より普及している。中国全土に360万台のバッテリースタンドが存在しており、より一般的に利用されている。
もちろん中国は14億人の国民がいるわけだが、それでも360万台といえば人口400人あたり1台になる。
INFORICHの創業者である秋山広宣社長は「今後日本でも中国と同じようにモバイルバッテリーシェアリングが普及していく」と考えた。
そして香港でモバイルバッテリーシェアリングの企業を買収し、そのノウハウを日本で展開することを決めた。INFORICHが日本でモバイルバッテリーシェアリングサービスを開始したのは2018年からだ。
現在、INFORICHのバッテリースタンドは日本国内に4万台ほど。INFORICH以外の企業のバッテリースタンドを合わせても5万台だ。日本の人口は1.25億人だから、2,500人あたり1台になる。400人あたり1台の中国と比べるとまだまだ少ない。
ここまでは事実だ。
そしてここからがINFORICHの主張になる。
「日本でのバッテリーシェアリングはこれからもっと普及していく。日本国内で10万台程度までCHARGE SPOTを増やす余地がある。そうなれば1台当たりの利用者も増える。最終的なアクティブユーザーは1000万人を想定している」
これは2023年2Qの決算発表以前に社長がインタビューや決算説明会で語った内容だ。
そして8月22日に出された中計は以下の通り。
「2026年度の売上190憶円、EBITDA 60億円を目指す」
ほんとかよ・・。
4.すぐに湧き上がる疑問
このような会社の主張を鵜吞みにする投資家はいない(いたとしても淘汰される)。
すぐに以下のような疑問が湧いてくる。
・日本でも中国と同じようにモバイルバッテリーシェアリングが普及するのか?中国と日本じゃずいぶん社会の構造が違うぞ。スタバでもマックでもファミレスでもコンセントは使えるし充電ができるよ。
・日本にそんなにCHARGE SPOTを出す余地があるのか?既に結構な数があるぞ?
・中国ではモバイルバッテリーシェアリングの普及が進んでいるって言うけど、モンスターエナジー(中国のモバイルバッテリーシェアリング企業、NASDAQ上場)は赤字だぞ。本当に利益を上げることが出来るのか?
・そもそも誰がそんなもの借りるんだ?Amazonで3,000円で買えるものを24時間540円で借りる?ありえんだろ!
これらの疑問点に対してどのように考えたか。
それについて次回から書いていきます。
5.謝辞とおまけ
INFORICHという企業はふくろうさんという方から教わりました。
多くの気付きを与えてくれたふくろうさんに感謝します。
あと、最近読んでよかった本。
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」
むちゃくちゃ面白かった。映画「オデッセイ」の原作である「火星の人」と同じ作者。面白くないわけがないと思ってたけどそのハードルを楽々超えた。
SFへのアレルギーがない方ならかなり高確率で楽しめます。おすすめ。