捨て猫を拾う不良より、80点を取った出来杉君を買え
1.雨の日、捨て猫を拾う不良
私はネコが好きだ。ネコ好きに悪い人はいない、と思っているくらいだ。
しかし「捨て猫を拾う不良が良い人扱いされる」という話は好きじゃない。
ここでの「不良」とは、「威圧的な態度と服装で周囲を威圧し、飲酒喫煙万引暴力などの違法行為をする高校生」と定義する。40歳の不良、とかはいないはずだ。最近あまり「不良」と触れ合う事がないので間違っているかもしれないが。
飲酒喫煙くらいならば個人の問題なのでプラベート空間で好きにしてくれればいい。しかし万引や暴力などは迷惑だ。迷惑だからこそ、「不良」の評判は悪い。
そんな評判の悪い不良が、雨の日に捨て猫を拾う。
それをたまたま見かけた女の子の中で、その不良の評判が急上昇する。そしてやがて恋愛に発展する。
そんなストーリーが時々ある。
ちょっと検索してみたら、矢沢あいの「天使なんかじゃない」というマンガがヒットした。
このマンガなんだが、1992年に発売されている。「りぼん」という少女マンガ誌に連載されていたようだ。「いらすとや」のイラストにも収録されるほどの有名なシーンなのだから、少女マンガの古典なんだと思う。
興味のあるかたは読んでみてください。
2.捨て猫を拾うヤンキー効果
そんなコテコテの少女漫画じゃないんだから、今どきそんな事で不良の評判が上がったりしない。しかも25年以上前だしw
そんな風に思う方はいるだろう。
しかし現代においても「ギャップ萌え」や「ツンデレ」という言葉が存在する。
普段のイメージと違う「良いこと」や「親しみのあること」が、より評価される。不良が捨て猫を拾ったり、ツンツンした冷たい美人が自分だけにはデレついてくれたり。
普段と違ったところが刺さってくる。
背景と違うからこそ目立つんだ。
この本もそうだろう。
「小学校から名門私立に通い、努力の結果慶応大学に現役合格した話」
では誰も読んでくれない。
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)
「ギャップ萌え」「ツンデレ」「ビリギャル」に加えて、「捨て猫を拾うヤンキー効果」という言葉を提案したい。
「白い服にこぼしたケチャップが目立つ」という単純な話なんだけど。
3.捨て猫を拾う不良は評価できるか?
たとえ捨て猫を拾うような優しさを持っていても、ヤンキーはヤンキーだ。
万引や暴力を繰り返す事と猫をかわいいと思う事は、矛盾なく両立する。キャットフードを万引して子猫を育てることが良いことか?私にはわからない。
株式投資でも時々そんな事がある。
売上も伸びず、利益もギリギリ黒字。有利子負債がたっぷりあり、その利子の負担が会社をジリジリと圧迫している。今後市場環境が改善する気配もなく、生き延びることが最大の目標となったような企業。
そんな企業がたまたま一度だけ良い決算を出す。
そうすると株価が少し回復したりする。
もちろんダメな企業が一時的に良くなったところですぐにもとに戻る。捨て猫を拾ったヤンキーがそれをきっかけに更生すればいいが、そんな事は少ない。一時的にちょっとだけ良い決算を出したところで、ダメな会社はダメなままだ。
「捨て猫を拾うヤンキー効果」で判断を誤ってはいけない。
ダメな会社はまたすぐダメな決算を出すようになる。そんな会社の株を買ってもうまく行かないだろう。
4.80点を取った出来杉君を買え
捨て猫を拾うヤンキーの逆として、「80点をとった出来杉君」というパターンもある。
デキ過ぎるのでテストはいつも満点、スポーツも万能、何をやらせても完璧だ。
そんな出来杉君がテストの当日に高熱をだしてしまった。テストの結果は80点。
いつも100点しか取ったことのない出来杉君だからこそ、80点でも激しく評価を下げてしまう。
「80点を取った出来杉君」のような会社の株は、売られてしまうんだ。
しかし出来杉君なんだから、次のテストはまた100点を取る。100点を取り続けるので、出来杉君の評判は元に戻る。
80点を取った時に株を買った投資家は、報われてお金を増やすことができる。
そんなわけで、私は「決算が悪くて株価が暴落した」というニュースには敏感に反応するようにしている。決算をよくよく読んで、その悪い決算が一時的なものだと判断できた場合、積極的に買うことを検討する。
その会社が間違いなく「出来杉君」なのであれば、次は100点を取るに決まっている。それに伴って株価はもとに戻るのだから。
もちろん、その80点が一時的なものだと確信できた場合に限るけど。