1.捨て猫を拾った不良の末路
前回、「捨て猫を拾った不良」を大げさに持ち上げるのは危険だ、という話を書いた。
ちょっと優しいところがあったとしても、不良は不良。万引や暴力を引き続き続けるようなら、一時的な評判の上昇など何の役にも立たない。
それと同様に、一瞬だけ良い決算を出したダメ企業の株を買ってはいけない。
そんな事を書いた。
しかし、人も会社も変わることがある。
いままで全くいい所がなかった人が、何かをきっかけにして成長する。そして自らの未来を変えていく。世の中にはそんな話がたくさんある。
「ビリギャル」も突然目覚めた。
きっと学年ビリのギャルが「なんらかのきっかけ」で勉強を始めたんだろう。そして頑張って結果を出して、慶応大学に受かったのだろう。
読んでいないので全くの予想なのだけど。
雨の日に捨て猫を拾った不良は、子猫との出会いで人生を変えるだろうか。
変える可能性もある、と思っているけど。
2.一時的な変化はスルーしろ
雨の日に子猫を拾った不良。
そのシーンを誰かに見られ、すこし評判が上がることもあるだろう。
しかし子猫の面倒をみるのは大変だ。手間もかかるし、お金もかかる。
キャットフードを万引してくれば問題が解決するほど、子猫の世話はたやすくない。
その不良はちょっと優しいだけじゃなく、賢い部分もあった。
自分には手に負えないと現状を理解し、新しい飼い主を見つけて子猫を譲ることにした。これはこれでいい話だ。
不良のおかげで子猫は幸せに暮らすことができた。
しかし不良はもとに戻った。また以前のような、ただの不良に戻ってしまった。
不良が良くなったのは一時的なものだった。不良の評判も、元の悪いところに戻った。
3.ビックチェンジは買え
では、こんなパターンはどうだろう。
雨の日に子猫を拾った不良。
かいがいしく子猫の世話をしているうちに、どんどん情が湧いてくる。とてもじゃないけど誰かに子猫を譲ることなどできない。
仕方がないのでアルバイトを始める。多少ムカつくことがあっても子猫の世話のためにはお金が必要だ。我慢を覚えながら仕事をきちんとするようになる。
ある日、目を覚ますと子猫が猫耳のかわいい女の子に化けている。不良はびっくりする。
猫耳の女の子は、拾ってくれたお礼を言うこともなく、家事やその他の仕事をすることもなく、いままで通り不良のアパートで好き勝手に暮らす(ネコですから)。
基本的にワガママで気まぐれだけど、時々膝の上に乗ってくる(ネコですから)。
猫耳の女の子は、これからも不良と一緒に暮らすようだ。
女の子と暮らすために、不良は更にまじめに仕事を続けるようになる。
将来の事も考えて貯金も始める。もう誰も「不良」だなんて言わなくなる。
やがて投資もするようになり、いつしか億り人になる。
あの雨の日、子猫を拾った日が、その不良の人生の転機だったのだ。
4.ミクシィの例
何の妄想を垂れ流しているのか?
いえ、株の話です。
一時的な変化はもとに戻る。ちょっと反応した株価ももとに戻る。「子猫をひろっただけの不良」みたいな株は買わないほうが良いだろう。
しかし、それが「ビックチェンジ」となれば話は別だ。
ぜんぜんパッとしない企業でも、何かをきっかけにして大きく変わることがある。
わかりやすい例は「mixi」だ。
ミクシィはほぼ日本最古のSNSであり、多くの人が利用していた。2011年4月の段階で3,900万のIDが発行されている。ある程度の年齢の方なら覚えているだろう。私も少しだけ利用していた記憶がある。
しかし、ミクシィはいろいろな問題もあり利用者が激減した。
利益がじりじり下がってきて、2013年3Qには赤字に転落している。もちろん、株価もずるずると下がっていった。
しかし2013年の4Qには黒字に戻った。そしてそのまま大きく飛躍した。
これはミクシィの10年間の株価チャートだ。
2014年頃から暴騰している。一体何が起こったのか?
理由ははっきりしている。
「モンスターストライク」が大ヒットしたんだ。
これ以上の説明は不要だろう。
オワコンになったSNSを細々と運営していたミクシィがスマホゲームに参入した。そこで「モンスターストライク」という大ヒットを飛ばして復活した。
これが「ビックチェンジ」だ。
ビックチェンジにいち早く気付き、その株を買うことができればすごく良い。
あとはどうやって「ビックチェンジ」にいち早く気づくかだ。
というわけで、次回は「ビックチェンジ」の気づき方について書きます。