1.会社説明会資料を読んでの疑問点
上方修正があったシステムディ。会社説明会の資料も出たのでいろいろ分析したよ、という話の続き。
会社説明会資料を読んでいくと、いくつか疑問が湧いてきた。疑問は主に資料P16の周囲から湧いてくる。
これがそのP16だ。
湧いてきた疑問は以下の2つ。
疑問① ストック収入が半期に941百万円って多すぎないか?
本当にストック収入なら、通期で1,882百万になるのか?
資料には「通期見込み1,367百万円」のままになっているけど?
疑問② Volume Businessの顧客数は半期で6,554から6,712に増えている(+158社)。
「サポート・クラウド契約数」は6,272から6,425に増えている(+153社)。
これは、通常の顧客がクラウドの顧客へ行く流れが終わったってことか?
これだけでは何を言っているのかピンとこないと思う。順番に説明します。
2.疑問① ストック収入が半期に941百万円って多すぎないか?
「ストック収入」とは、クラウド等で月額使用料をいただくような収入が当てはまるはずだ。月額使用料なら、顧客数が変わらない場合、上期も下期も同じ売上になるはずだ。つまり、上期の売上が941百万円なら通期でその倍の1,882百万円になるはずだ。
しかしそれなら通期見込みが1,367百万円のままであるはずがない。
確認のため、2018年度の会社説明会資料をチェックしてみる。
まずは2018年中間期の会社説明会資料。
P18にはストック収入が829百万円とある。これが全て月額使用料からのストック収入だと考えると、通期のストック収入は1,658百万円になるはずだ。
しかし、2018年の通期の会社説明会資料では、ストック収入が1,215百万円だったと書かれている。
通期のストック収入が中間期の倍なら1,658百万円になるはずだ。それがたったの1,215百万円だったんだ。
これは、株価がストップ安になるのも仕方がない。
IRに聞いてみた
なぜストック収入が半期の倍にならないのか?と、IRにメールしてみた。
その回答はこうだった。
「月額課金制でも1年分の使用量を期首に払い込むユーザーが少なからず残っている。特に学園ソリューション事業では4月に一括して計上するケースが多い。」
「あと、ストック収入と書いているけど、それが全部クラウド契約しているわけではない。サポート契約しているだけのユーザーもいる。そういう収入も全てストック収入って事になっている。」
まあ、このあたりは予想通りだった。
ストック収入って言うんなら、期首に全部計上するのは変じゃないかとも思うけど。
3.疑問② 通常の顧客がクラウドの顧客へ行く流れが終わった?
Volume Businessの顧客数は半期で6,554から6,712に増えている(+158社)。
「サポート・クラウド契約数」は6,272から6,425に増えている(+153社)。
顧客数の伸びと「サポート・クラウド契約数」の伸びがほぼ同数になっている。これは、顧客のほぼ全てが「サポート・クラウド契約」を結んでしまったということか?
システムディは、売り切りのパッケージソフトのみを売るビジネスから、利益率とストック性の高いクラウド契約に変更する流れが来ている。この流れの中で利益がビュンと伸びるだろう。そう考えてシステムディを買ったんだ。
もう顧客全てがクラウド契約を結んだとすれば、利益が急激に伸びる伸びしろを使い切った事になる。それは、株主である理由を揺るがす事態だ。
これもIRに聞いてみた
このことについてもIRにメールして聞いてみた。
すると、こんな答えが帰ってきた。
「ストック収入にはクラウド収入も含まれています。しかし、クラウド収入のストック収入に占める割合は半分もございません。」
この情報は重要だ。
まだまだパッケージソフトのユーザーはクラウドに移行していない。
ユーザーがクラウドに移行するメリットは大きい。情報セキュリティ対策の面からも、社会や法令の変化に対応するアップデートのやりやすさからも、ゆくゆくは全てがクラウド契約に移行すると考えている。
クラウド契約は間違いなく単価が高い。まだ半分以上の顧客がクラウド契約に移行していないならば、まだまだ利益が急激に伸びる余白があるはずだ。
4.満足した
IRへの問い合わせの回答はとても満足できるものだった。
安心して保有を継続することにした。
システムディの中間決算まとめ、あと1回続きます。
↓ 90秒で説明できない会社には手を出すなと。
2週間ほどかけて説明していますが、それは説明者の技量の問題です。
ピーター・リンチの株の法則---90秒で説明できない会社には手を出すな