中1の息子に教える株式投資の始め方

40代の兼業投資家です。2019年の秋に株式投資を始める予定の息子「くま」に、投資の心構え、決算書の読み方、ビジネスモデル等をやさしく教えます。

株式投資と不動産投資

家探しのイラスト

1.不動産投資は難しい、たぶん。

大家さん、という職業を初めて知ったのは「おじゃまんが山田君」というアニメだった。主人公の山田君のお父さんは、ボロアパート「山田荘」のオーナーだ。だからアパートの住人から「大家さん」と呼ばれていた。

「大家さん」っていうのは、働かなくても家賃としてお金が貰えるのか!

そんなことを思った記憶がある。働かなくても貰える金、というのは実に魅力的だ。

 

記憶はそれっきりだ。その後「自分も大家さんになりたい」と努力した覚えはない。そして今後も努力する予定はない。

 

前回の話で、社畜にならずに済む方法をいろいろ書いた。会社からもらう給料だけに依存するのではなく、収入を多様化するという方法も書いた。収入を多様化する方法のひとつとして、アパートやマンションの大家さんになるというものがある。不動産投資というやつだ。

 

不動産投資のやり方は知っている。

① 良さそうなアパートやマンションを見つける。あるいは土地をみつける。

② それを買う。土地を買った場合は建物も建てる。

③ 入居者を募集して家賃をいただく。

たったこれだけだ。

これで誰でも大家さんになれるし、働かなくても家賃がもらえるようになる。悪くない話のように思える。

でも、やった事がないので本当の事は知らないが、不動産投資は難しい。多分。

 

 

2.不動産投資は物件を探すのが難しい

良いものを安く買う、というのは家計の基本だ。株式投資でも、良い会社の株を安く買えば、一番確実に儲かる。

そして、不動産投資もおんなじだ。良い物件を安く買えば、間違いなく儲かる。毎月10万円の家賃でも入居者が付くような物件が2000万円で買えるのなら、私でも買う。2年足らずで元が取れるのだから。

しかし、その物件がその値段で売られる事はあり得ない。そんなにいい物件なら、不動産屋がその価格で売り出さない。自分で買い取った方がずっと儲かるのだから。

だから営業マンが電話で売り込んでくるような物件が、安くてよい物である可能性はとても低い。そんな物件のオーナーになっても儲かるわけがない。

 

不動産は、すべての物件が1点ものだ。それをプロである不動産屋がチェックして値段を付けていく。本当に確実に儲かるような物件が安く手に入るなら、その不動産屋が自分で買い取るだろう。不動産投資をする人は、プロである不動産業者より物件の目利きができると考えているのだろうか。

 

その点、株はいい。注目されずに安値で放置されている優良企業の株は存在する。値段を付けるのはマーケットであり、株のプロではないのだから。

そしてそれを安く買うチャンスは誰にでもある。株は1点ものではないのだから。

 

 

3.不動産投資は税金や手数料などのコストが高い

 不動産を購入するときは、物件の3%程度の手数料を不動産屋に払わなくてはいけない。不動産取得税という税金も、原則4%かかる。買った不動産を自分のモノとして登記するときにもお金がかかる。不動産は買うだけでずいぶんコストがかかるんだ。

買った時だけでなく、所有しているだけで毎年固定資産税がかかる。

さらにアパートやマンションは修繕費がかかる。1年ごとに築年数が増えていく。財産価値はどんどん減っていくのだ。

下りのエスカレーターを駆け上がるような気分にならないだろうか?とてもじゃないけど、私には不動産投資は無理だ。

 

その点、株はいい。購入手数料は数百円~数千円で済む。株式取得税のようなものは存在しない。儲かった時だけ税金を払えばいいのだ。

しかも、持っているだけで配当や株主優待が貰える。修繕費も必要ないし、会社が成長する限り、その本質的な価値は上がり続ける。

不動産投資と比べて、とても条件がいいんだ。

 

 

4.不動産投資は流動性が低い

 急にお金が必要になって、所有するアパートやマンションを売る事になったとする。そんな時は、不動産屋に売却を申し込んで、買い手が現れるのを待つ必要がある。望む値段では売れないかもしれない。売るのを急げば安く買いたたかれる。

しかも、売るときにも不動産屋に仲介手数料を払わなくてはいけない。

 

その点、株はいい。基本的に、売りたいときはすぐに売れる。買ったその日に売る事も可能だ。このような「売りたいときに売れ、買いたいときに買える」という特徴を「流動性が高い」という。

株は、不動産と比べて圧倒的に流動性が高いのだ。

 

 

5.不動産投資は経験を積む余裕がない

 不動産は価格も高いし、手続きも大変だ。素人の投資家が、生涯で10回以上不動産を売ったり買ったりすることはほとんどないだろう。10回程度では経験が積めない。経験が積めない事は、上達する可能性がとても低い。

 その点、株はいい。売り買いして経験を積むことができる。痛い目にあっても再起することができる。

不動産投資で痛い目にあったときは、もう再起するのがとても難しい状況になっているだろう。1件あたりの投資額が多すぎる。

失敗を経験として将来の肥やしにする余裕は、たぶん、ない。

 

 

6.スマートディズの「被害者」の自信の根拠は?

不動産投資は、これほどまで不利な条件が揃っている。それを理解して、スマートディズの「被害者」の方々は、シェアハウスのオーナーになったのだろうか?

1億円近い借金をしてまで投資するのだから、よほど自信がないとできないはずだ。その自信の根拠は?上に挙げた不利な条件をクリアする、論理的な根拠があったのだろうか?

 

特に2.に挙げた条件をクリアする根拠だ。絶対に儲かる物件なら、絶対に売りに出されない。これは、絶対だ。リスクは必ずある。

どのようなシステムを組んでも、「絶対に儲かる物件」だけは絶対に売りに出されない。儲からないリスクは必ずある。必ずある儲からないリスクを、どのようにクリアするのか?それをクリアする根拠が必要だ。

 

根拠のない自信は実生活に役立つことがある。でも、根拠のない自信を同伴して投資すると、だいたいひどい目にあう。

 

とりあえず私は不動産投資を勧めません。息子が不動産投資をやると言い出したら、全力で止めます。

 

 

 ↓ けっこう面白かったです。気分転換にどうぞ。